RTX3080のPowerLimit検証に続いて、Undervoltage(最大クロックを変えずに低電圧化)の効果を検証しました。
電圧設定を細かく調整しながら何種類も検証するのは労力を要するので、問題なく動作するところを決め打ちして、その設定のままPowerLimitを変化させてスコアや消費電力を調査しています。
〇システム環境OS:Windows 10 Pro 64bit
CPU:Intel Core i9-9900K @ 4.8GHz HT有効 (2コア動作時5.0GHz、6コア4.9GHz)
クーラー:R1 Ultimate V2 (トリプルファン)
メモリ:DDR4-3200MHz Corsair VENGEANCE LPX
VGA:ASUS TUF-RTX3080-O10G-GAMING
M/B:ASUS ROG MAXIMUS XI CODE
SSD:Samsung 970 Evo 500GB/250GB (OS用/ゲーム用)
電源:Seasonic PRIMEシリーズ SSR-1000PD (吸気ファン下向き)
ケース:CoolerMaster MasterCase MC500P (トップ排気に140mm×2増設)
モニタ:Acer Predator XB271HK (3840*2160 60Hz G-Sync)
ドライバ:Geforce Game Ready Driver 457.09
定格電圧での4Kにおけるベンチ結果は
こちら(ドライババージョン違い)
〇Undervoltage(Undervolting)とは特定のクロックで動作するために必要な電圧の設定を下げるように調整することを指します。
言い換えれば、
低い電圧でも高いクロックで動作させるようにするということです。
手持ちのASUS TUF-RTX3080-O10G-GAMINGの場合、最大クロック1963MHzに達するのは1106mVで、最低クロック・最低電圧から電圧を上げるごとに少しずつクロックが上昇していきますが、これをもっと低い電圧で最大クロックに到達するようにしたり、各電圧に対する動作クロックを高く(クロックに対する電圧を低く)したりすることができます。
上図のように、デフォルトよりも低い電圧で高いクロックに達するよう調整して、最大クロックは変更していません。
ある程度の負荷がかかるゲーム中やベンチマーク中は常に一定以上の電圧とクロックで動作するので、その電圧を下げるということは実質的には
平均クロックが上がるということを意味します。
今回はこの設定(一般に「OC Curve」などと呼称されます)に決め打ちして、PowerLimitを変更しながら検証しました。
ちなみに、今回はまだ
ベンチマークやゲームで問題が発生しないか短時間で確認した程度であり、全てのクロックにおける電圧が充分な値か否かの厳密な動作確認は取れていません。
そのため、特定の低クロック時に電圧不足で落ちる可能性もゼロではない状態です。
〇実行結果ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク
計測日時: 2020/11/7 12:26:54
SCORE:
15274平均フレームレート: 101.7212
最低フレームレート: 43
評価: 非常に快適
-非常に快適に動作すると思われます。お好みのグラフィック設定でお楽しみください。
ローディングタイム:
シーン#1 1.632sec
シーン#2 3.51sec
シーン#3 3.859sec
シーン#4 2.631sec
シーン#5 1.631sec
合 計 13.263sec
画面サイズ:
3840x2160スクリーンモード設定: フルスクリーンモード
DirectX バージョン: 11
グラフィック設定のプリセット: 最高品質
最新ドライバにおけるデフォルト電圧・デフォルトPLのスコアは
14812なので、
平均クロック上昇分で3%ほどスコアが伸び、平均フレームレートも100の大台に乗りました。
〇Undervoltage且つPowerLimit時の実行結果ここからは、OC Curveを調整してUndervoltageした状態で、更にPowerLimitを最大50%まで掛けた場合のベンチマーク結果です。
上のグラフは、青い棒グラフが
PLに対するスコア、赤い折れ線グラフがベンチマーク実行中における
GPUの平均消費電力の変化です。
消費電力は順当に低下し、スコアは
PL80%まではデフォルト設定よりも高い結果となりました。
おそらく、一定のPL以上ならベンチマーク実行中は電圧も一定以上で推移して、Undervoltageの効果で動作クロックが全体的に高くなるためにスコアも上がるということだろうと考えられます。
ただし、PL50%となると急激にパフォーマンスが落ちていることから、電圧とクロックが低く推移してスコアが悪化しているのだろうと見受けられます。これは定格電圧におけるPL60%と同じことが、50%の時点で起きたということでしょう。
平均消費電力は誤差範囲(定格電圧時と同等)で、PL100%の場合のみ定格電圧より明らかに低下しています。
こちらのグラフは、青い折れ線が定格電圧・PL100%の
デフォルト設定を100とした場合の各PLにおけるUndervoltage時のスコア比率で、赤い折れ線がスコア/平均消費電力(いわゆる
ワットパフォーマンス)です。
ワットパフォーマンスが最大化するのはPL60%のときで、50%になるとスコア低下により再度悪化します。
通常プレイの範囲でよく経験するような、リムサエーテライト周辺や50人程度のバトルで
60fpsを維持できるのはスコア14000程度からなので、普段の
PLは70%か80%が丁度いいだろうと考えられます。
フルロード時のMaxパフォーマンスは変わらないので、100人規模のモブハントではPL100%でも60fpsは維持できないはずですが、そのようなときにだけPL100%にして少しでもフレームレートを稼ぐか、割り切って50~60fpsでプレイするかということになるでしょう。
追記Undervoltage且つPL無し(100%)で100人表示・数百人参加(エリア人数満員になる参加者数)のモブハントツアーへ行ってみたところ、最低fpsは53~55fps程度までは記録されるものの、ツアー全体の大半が60fpsを維持できており、平均fpsも59fps(他人のエフェクトのみ非表示)ほどになっていました。
最大クロックは変わっていないのですが、何故かパフォーマンスが若干良化しているようです。
推定ですが、フルロードに近い状態でも最大クロックが維持されない時間帯というのは確かに存在するので、その際のクロックが若干高くなっているということなのかもしれません(他に説明可能な原因が思い当たらない)。