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Meisterin der Träume

Charles Magus

Ultima [Gaia]

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【RPSS】『 シャルル・メイガス ❖ 追憶之抄 』~序章~

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       そのような設定はございませんので
       ご注意ください。〕
 前置きが長くなってしまい、大変申し訳ありません。
 ご協力の程何卒よろしくお願いいたします。
 それでは、お楽しみいただけますと幸いです!




                   

『 シャルル・メイガス ❖ 追憶之抄 』

―目次―

序章

第1話

❖ 第2話 ❖
前編 / 中編 / 後編

❖ 第3話 ❖

❖ 第4話 ❖

❖ 第5話 ❖

                   




* * * * *




「はい、これ。頼まれてた眼鏡」

 差し出された黒縁のクラシックグラスは、数日前の無体を微塵も感じさせないほどの完璧な出来で仕上がってきた。シャルル・メイガスは復活したその相棒を受け取ると、太めの弦をそっと耳介の裏側に滑り込ませる。

「……うーん、これこれ!まさにピッタリ!さっすがルリハさん。修理も早いし、クオリティも完璧よ。こんな修理、あなた以外には頼めなかったわ!」

 つるりと磨き上げられた双の鏡面から、シャルルは思わず歓喜の笑みを覗かせる。だが、ガラスの向こうに小さく映るその人は、依頼人の興奮にちっとも絆される様子がない。それどころか、刃よりも冷たい口調で毒づいた。

「相変わらずよく回る口。口も頭もそのくらい回るなら、せめて同じ失敗を繰り返さないために必要なことを、少しは考えたらどう?」
「あ、あはは~。ごもっともでございます、ルリハさん……でも!感謝しているのは本当なの!」
「言いたいことはそれだけ?」
「……ごめんなさい、もうしません……」

 超近眼のシャルルにとって、眼鏡は最早「本物以上に本物の目」と言っても過言ではない。故に、彼女にとっての眼鏡はかけがえのない相方のようなものなのだ。それなのに、不測の状況下で、それほどまでに大切な相方を木っ端微塵にしてしまうことは、残念ながら今回が初めてではなかった。それは、悪運や悲運というより、むしろ約束された運命なのかもしれない。

*

 数日前、北ザナラーンはガレマール帝国の軍事拠点にて、大型魔導兵器の自爆攻撃に瀕した際に、彼女の眼鏡が被った被害は大きかった。言い換えるならば、「眼鏡以外は無事だった」のである。粉々にひび割れた眼鏡をポケットに突っ込みながら、どのようにしてゴブレットビュートまで辿り着いたのだったか。

 同日、幸いなことに、納品作業で拠点を訪れていた職人が居た。職人こと、オリゾメ家のルリハは、彫金をはじめとした微細加工技術のエキスパートであった。仏頂面の彼女に泣き落としを重ね、土下座を繰り返し、どうにかして無残な姿の相棒の修復を取り付けた。

*

 結果として、法外な修理費が代償として待っていたことは言うまでもない。シャルルは拠点の金庫からそこそこのギルを引き出すと、先ほどまでの勢いはどこへやら、目に涙を浮かべて代金を差し出した。

「うっ……分かってたけどさあ、こんなのってないよぉ……」
「額面通りで結構。これに懲りたら、次からは保護魔法でも入念に掛けておくことね……」
「保護魔法は必要な触媒が高価で貴重で手に入らないの!ていうか、手に入っても園芸師ギルドに献上しなきゃならないの!分かってるくせに!ルリハのバカ!ブロックス!ポンコツトームストーン!」
「バカでもブロックスでもトームストーンでも結構。……それじゃ、失礼」

 まったく相手にされていない。振り向きざま、季節外れのイースタン・チェリーが香る。絵画のような微笑みを見せて、その職人は去っていった。

*

 開け放たれた窓に耳を澄ませば、庭の標本植物を住処とする百蟲網たちの囁き声。涼やかな音色で夏の終わりを歌っている。心地よい音色がカーテンを揺らす。ふわり、ふわり。噎せ返るような緑の香りと、ちょっぴりの湿気を含んだ、昼下がりの南風。午後3時の日差しに照らされているのは、シャルルの書き物机だった。

 『希少な法典を求めて』との見出しが書かれた薄いノートが4冊、その隣に同じような体のノートが開かれた状態で1冊。シャルルは椅子に座り直すと、開かれている方のノートを指で捲った。

「今回の調査日誌を書くのも、これで最後かぁ」

 星4月上旬より、彼女はとあるトームストーンの独自調査に取り組んでいた。2週間にも及ぶその日程も、4日前に、無事終了したばかりである。今はこうして調査日誌の細部を修正したり、某所に提出するための調査報告書を取りまとめたりする作業に追われているのであった。

「調査日誌は概ね良いとして、報告書は骨が折れるなぁ……さて、どういう構成で書こうかしら、っと……」

 机の横に掲げられた大きなボードには、協力者らしき冒険者たちの大量の写し絵……もとい、彼らが苦労して入手したと思しき貴重な品々の写し絵が所狭しと並べられていた。異種族の神の祝福を受けた霊馬や霊鳥、人間では到底調教困難な騎乗獣、異国の幻獣、魔法仕掛けの人形たち……そのひとつひとつを見つめる度に、シャルルの顔は自然と綻んでいた。

「……最初は、こんなに多くの人が協力してくれるとは思わなかったけど。募集、してみるものね。お陰様で、調査結果以上に得難い経験ができたし」

 突然「おっといけない」と飛び跳ねて机に戻る彼女であったが、実はここ数日、この一連の流れを何度も繰り返している。報告書を一行書こうとしては、写し絵が目に入り、それらを眺めて幸せな気持ちになり、気が付くと短くない時間が経っている。反省して机に戻っても、資料選びと称してまた写し絵を楽しむこととなり……このままでは、何日経とうとも課題が進まない。シャルルは自らの平手で両頬を2度打つと、右手にペンを握りしめた。実は、その行為ももう4度目なのだが。

 だが、とういか、やはり、というか。彼女の筆は進まなかった。しかし今回の原因は写し絵ではない。白銀のボディに、空色の筋模様、冒険者ならば一度は目にしたことがある「それ」は、よく見るとその身体に小さな欠けや擦り傷を負っていた。一見すると傷物にも見えるそれを、シャルルは自らの書斎机の上の、一番目に付く場所で、大切に飾っているのである。それが目に入ったのだ。

「リシェルさん……元気にしてるかな」


* * *


 このトームストーンを見つけた冒険者の名を「リシェル」と言う。件の調査の11日目、バルナード海方面へと乗り出した先で見つけた空中庭園を探索していた時のこと。

「シャルルさん、見て!」
 庭園の草木に気を取られていたシャルルの足元で、リシェルは驚きの声を上げた。

「この茂みの中に、何か光るものが……!」

 リシェルが示す場所を、周囲一同が釣られて見入ると、そこには蔦植物に絡めとられた「希少トームストーン」が1個、ぽつんと佇んでいるのであった。

 だがよく見ると、そこにはいくつかの小さな傷が付いていた。この類の傷では、一般的な取引において納品を拒否されるケースもあるだろう。しかしながら、重要なのはそこではなかった。今まで「希少トームストーン」は、調査を終えた冒険者の持ち物の中に、音も立てずに入っているか、あるいは運が良ければ空から降ってくるのを見ることができるか、入手の瞬間はその2つに1つだったのである。つまり、リシェルは「前例のない」状況で希少トームストーンを発見したのである。

 この「希少・オブ・希少トームストーン」。そこそこ熾烈な譲り合いになったものの、最終的に持ち帰ったのはシャルルであった。研究所に着いてすぐ、ダークスチールで成型した台座を用意させ、そこに「希少・オブ・希少トームストーン」を座らせた。良い気分だったし、何より、安心した。冒険者ならば、手柄は明日の食い扶持に直結する。それを敢えて自分に譲ったリシェルに、本当の意味でお礼ができたような気がしたのだ。


* * *


 リシェルのトームストーンは、晩夏の強い日差しを受けて、つやつやとしている。まるで日光浴しているみたいだね、と語りかけると、白銀のボディがキラッと光った気がした。シャルルはそれに気分を良くすると、大きなあくびをひとつ、蒸かした。昼下がりの小さな幸福の中、シャルルはまどろみの世界へと誘われていった。



* * * * *



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