(※ここから先、ロールプレイ的日記、つまり創作物があります。また、若干のネタバレを含むことがあります。ご注意ください)
◆霊3月1日◆
術式はおおむね完成といったところか。単純な無力化程度では解除されない、それでいて暴走もしにくい構造ができた。
割と偶発的なものなので、もう少しきちんと調整しなければならないが……
大剣の扱いもそれなりに慣れてきた。魔力による加速や、魔法剣の要領で魔力を纏わせるのも自在。なにしろ私自身からつくられた剣だからだ。
もう一歩、確実にするには……実際に物質要素を取り入れるのがいいか。
ちょうど髪も伸びてきているし、いくらか使ってみるのもいいかもしれない。
◆霊3月2日◆
物質要素を加えることで安定性が増し、現出したときの物理的な……”存在の強さ”とでもいうべきか。それも確保できそうな具合だ。
とはいえ大きいものを作るので少し覚悟がいる。
髪を切ることはともかく、触媒として一度きりとして固着するため、失敗はできないわけだ。
慎重に行うことはこれまで通り。だが、確実に成功に近づいている。
◆霊3月3日◆
術式に際して最終的な確認を行った。ベースは防御術。
密度というか、複雑さで言えば再生術式に近いものだ。エーテルを利用して物質を生み出す。
それの要素も取り入れた。……つまり、空間エーテルや私のエーテルを利用して鎧の損傷を防ぐというもの。
あとは触媒を使って、これを”記憶された術式”として刻めばいい。ちょうどいいクリスタルの入手を急ごう。
◆霊3月4日◆
今日は実戦でのテストもかねて、あちら側での宝探しに参加してきた。
あまりこれといった財宝などはなかったが、術式に実用上の問題がないことは確認できたのでよしとする。
しかしそうなるとあちらでの財宝というのも気になってくる。今度市場などで探してみよう。
◆霊3月5日◆
触媒にもう少し髪を使うべきだろうか? 髪をすいてもらって結んでいた分は既に使ったが、より強固に……
しかしこの手法に頼りすぎるのもよくはない。何しろ補強術式のときに毎回都合よく髪が伸びているとは限らないからだ。
とはいえ、当面はこれで問題ないだろう。
◆霊3月6日◆
今日はアコニの調査依頼だったか……何事もないといいが。
私自身は今日明日はゆっくり過ごすことにする。術式もひと段落したし。
ロスの剪定……は、まだ大丈夫そうだ。
◆霊3月7日◆
今日はクガネの温泉へ行ってきた。
しかもただの温泉ではない……屋上の、ちょっと運動した先のところだ。
ちょうど誰もいなく、ロスもなんとかついてこられたので一人と一匹で雑踏を見下ろしながらの入浴となった。
相変わらずクガネは賑やかな場所だ。船は出入りし、人も同じように出入りし、行き来し、さまざまな商談や相談が飛び交う。
もちろんこちらに聞こえてくるわけではない。雨の日に室内にいる時の、屋根に雨が当たっている音を聞くような。そんな、不明瞭だけど、たしかにある声達。
悪くないものだ。
適当なところで切り上げ、戻ってきた。
明日からはまた術式の改良や、魔導書の解読……あとはラケティカ大森林の調査なども行うことにしよう。
◆霊3月8日◆
クガネからの帰りに日用薬の依頼を貰ったので、それの配達をしてきた。
忘れがちではあるが、一応そういうものも扱っているわけで。
喉がよくないとのことだったので、それ用のシロップも入れておいた。
適正な価格で取引し終了。
予備を調合しておくことにする。
◆霊3月9日◆
風の噂だが、なんでもリムサ・ロミンサに異邦の旅人だかが来ているという。
アルデナードで異邦、というとこちらひんがしが多いが、そうでもないようだ。
話を聞きに行くのもわるくないかもしれない。
◆霊3月10日◆
ロスにえさをあげることが可能だということが以前からわかっていたので、今回、ロスのために植物性の栄養剤のようなものを作って与えてみた。
成長促進とかそういう大仰なものではなく、(おそらく)味の改善した栄養剤のようなもの。
とはいえコロポックルの味覚など知る由もないので……反応としては悪くなかったが、なんとなく無理して喜んでいるような感じがした。
何がいいのだろうか?
いっそ単純にハチミツでも固めてみるか……?
◆霊3月11日◆
以前分けてもらった黄金蜂蜜なるものがあったので、これをもとにして小さなキャンディを作った。
で、それを与えてみたところ、ロスは両手をパタパタしたので多分喜んでいる。多分。
となれば、行楽のお供ということでおやつに使えるだろう。あげすぎには注意したほうがいいだろうが。
◆霊3月12日◆
そういうわけで、ロス用のおやつ……名前は……ロス飴? なんか逆に素材になってそうな名前だけど、まあ仮称としてロス飴が結構な量できたので、今後ロスには定期的にこれを栄養剤兼ごほうびとしてあたえていくことにする。
ご褒美といってもまあ……留守番とかか。侮ってはいないが複雑なことは難しいだろう。丸いし。
◆霊3月13日◆
大剣を魔力で最低限に出力する術式を編んだ。これは簡単で、「剣」という属性を付与すれば良いだけだ。
緊急用の魔力杖とほぼ同じ用法で、手元に何もない時に使う。
防具はそれと別に、同時に魔力を走らせることができるようにもした。
ひとまず装備周りはそんなところだろうか……?
◆霊3月14日◆
長く使っている魔術の術式を改善したり、詠唱に工夫ができないかと振り返ってみた。
古典的な術式であるから、あまり新たな手法は適合しない。とはいえ、多少効率化できたように思う。
もっとも、結局は従来のやりかたも残してあるわけなので……魔力や記憶力、というリソース面の話になると微妙なところだ。
◆霊3月15日◆
さて、本格的に”再現”の術式が組みあがってきた。
ダエグ=ティールのもつ「泡」と合わせて、あの場で実際に何が起こったのか、これで知ることができるはずだ。
場所と規模に合わせた調整が必要なので、”ほかの再現”は容易ではないが……
ホルミンスター、という村についての再現術式はこれでいいはずだ。
あとで人を集めて調査依頼というかたちで擁書楼に貼り出しておこう。
◆霊3月16日◆
このところ、奇妙な夢を見る。
何者かが語り掛けてくる夢で、それは……とても手に負えない何か。
私は夢の中でその囁きに抗し、何かを言い放った。
するとその何かは……そう人智を超えたようなそれは、しかし呆気にとられ、けれど楽し気にまた何かを言う。
……それくらいだ。今日が一番鮮明だった。
それでも会話の内容などは覚えていない。結局、あれはなんなのだろうか?
◆霊3月17日◆
魔導書の解読が進む。
大剣を使った魔剣技の理解も深まり、だいぶ形になってきた、と思う。
”泡”への突入にはどうするべきか。普段の術式優先か、あるいは大剣か。
まあ、当日のメンバーで考えれば良いだろう。
予定日を策定しなければ。
◆霊3月18日◆
何やら通信が賑やかだった。温泉がどうとか……
そういえばレイクランドには温泉があるという話だったか。いや、だからどうということはないのだが。
ホルミンスター跡地の下見がてら、探しに行くのも悪くないかもしれない。
◆霊3月19日◆
今日はロスにパンのかけらを与えてみる。問題なく食べることができたようだ。
それはさておき、術式で編んだ鎧にほころびが見つかったので調整。
これに関しては全身を使った血唱術のようなものなので、下手なミスは避けたい。最も、私自身が直結しているため安定はしているのだが。
いざというときに守りが薄くては困る。
◆霊3月20日◆
このところ、術式や魔導書の解読などでこもりきりだ。
たまには気分転換や新しい刺激のために外出することも必要だろう。
アジムステップあたりに出てみようか?
あちら側のフィールドワークも悪くはない。
◆霊3月21日◆
一時的なものだが、頭痛が酷かった。珍しいことだ。
ポーションやハーブティーを使って、あとは安静にして……いつのまにか眠って、目覚めたら鎮まっていた。
魔術に由来するものでなければいいが。……もしそうだとしたら、ちょっと厄介なことになるからだ。
◆霊3月22日◆
魔術に関する作業や魔導書の解読をしているときに頭痛が起こるというわけでもない。
そもそも今日は頭痛が起こらなかった。昨日のは一体なんだったのだろう?
健康面の問題……ということはないだろう。簡易的なものとはいえ疾病等を避ける儀式などはしている。
こういうときはやはり、少し気分転換をするのがいい。……あまり遠くないところで考えておこう。
◆霊3月23日◆
杖の補強術式を終了。この素材もよくもってくれている。もちろん、それも含めた補強をしているのは事実だが。
これほどまでに身近に置き続け、使い続けた杖ともなれば、もはや身体の一部も同然だ。同時に、何かしら私ですら知らないものを秘め始めている可能性もある。
きっとこれからも使い続けていくのだろう。今までと同じように、大切に使い込んでいこう。
◆霊3月24日◆
魔術師において身に着けるもの、手に持つものは大きな意味がある。
とりわけ、それが長くつかっているものならなおさらだ。
ローブは防汚と調温の術式をかけ、長期の旅に耐えられるようにしてあるし、杖は短距離であれば手元に呼び出すこともできる。
時には変えようかと思うこともあるが、一時的なものだ。私のともがらとはこれらの術具である。
もっとも、破壊されたときへの備えも必要ではあるし、事実アルデナードを離れる直前、あの屋敷でローブを無力化されたあとは、同格の品を用意するのにずいぶん苦労したが……
なにか、そういうものを準備する伝手は増やしておいてもいいかもしれない。
◆霊3月25日◆
この頃ロスの元気がいい。……やはり何か食べることは必要だったのだろうか?
言葉が通じない以上仕方ないが、かといって植物網だからと水と太陽光だけで充分だというのも早計だっただろうか。
しかし本人(?)から不満の気配はしないし……というかのんきすぎる。
なくてもいいが、あればなおよい、といったところか。
コロポックルについての生態を研究した書物でも探してみるか……
◆霊3月26日◆
このところ暑い日が多い。夏が近い……というか、既に初夏であるから当然か。
ローブを着ている間はいいが、そうでないときには防御術を利用して軽減するしかない。……鎧にも調温術式を仕込むべきだったか。
ロスの健康管理も重要だ。何しろしおれて倒れていた時期が近いのだから……
もっとも、放っておいても外のプールで遊んでくるので、家にいる分には心配はいらないだろうが。
◆霊3月27日◆
テンから借りているこの魔導書は……まぁ、予想はしていたがただものではなさそうだ。
奇妙な夢をたびたび見、そしてそのイメ―ジは最終的にこの本に帰結する。
この本には何かがある。生物か、疑似人格か、あるいは単に精神に干渉するものか。
何かが誘っている……充分に注意しなければ。
◆霊3月28日◆
久々にイル・メグへ赴き、ダエグ=ティールから話を聞く。
”泡”による当時の再現について、細かいところを詰めるためだ。
安全のための終了術式も仕込んだし、あとは現地へ向かって実行するのみ。
とはいえ規模が規模なので、商会への相談もする必要はもちろんある。
適当な時間を見繕って向かうことにしよう。
◆霊3月29日◆
最終的な術式が完成した。あとは相談するのみだ。
……しかし、そもそもなぜダエグ=ティールがこんなことをできるのだろうか? そして知っているのだろうか?
ほかのピクシーは相変わらず私を避けている。そして、彼女は私に接触している。
それだけでも充分奇妙な出来事だ。
いっそ聞いてしまうか?
◆霊3月30日◆
ダエグ=ティールいわく、彼女は「目」であったらしい。
それ以上は……彼女ら特有の言い回しで煙に巻かれてしまった。
”夜明けの剣”の名と、「目」とは、何か関連性があるのだろうか?
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