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Manjiro Hanada

Alexander [Gaia]

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【架空サブクエ】黒衣森の霊銀道士 第2話

Öffentlich
※架空のサブクエスト・エピソード妄想。二次創作小説です。
※新生エオルゼア(パッチ2.0)の6年前の話。
※配達士クエストのネタバレあり。
※捏造設定多めです。


第1話
第2話
第3話
第4話
第5話(終)

   ◇

「……ダラガブって、あんな色だったか?」
小川の畔で、ふと宵の空を見上げた俺は、一人呟いた。

月の衛星、ダラガブ。元々赤味を帯びた目立つ星ではあるが、近頃何となく、赤い光が強く、冴えて見えるようになった気がする。
「ま、いいか」
ランドゥネルの言ったとおり、夜の森の一人歩きは厄介だ。めぼしい収穫がなければ、早々に切り上げよう。
そんな算段をつけて、一先ず鍋に水を汲むため、川面の間近まで足を進めた、その時。

――声と、物音が聞こえた。
それも、どこか物騒な色合いを帯びたものだ。

その場で耳を澄ませてみると、複数人の乱雑な足音に続き、今度ははっきりと、怒声が森の中に響いた。
「待ちやがれっ、このガキ!」

俺が思わず身構えるのとほぼ同時に、目の前の茂みから、転がるように人影が飛び出してくる。
「うわわっ、こっちも!?」
現れた人物は、俺を目にするなりそんな悲鳴を上げてつんのめり、辛うじて体勢を立て直すと、進行方向を変えて、再び脱兎のごとく駆け出した。
「あ、おーい……」
何か誤解がないか、と呼び掛けようとしたが、相手の耳には届かなかったようだ。

一瞬の邂逅ではあったものの、ランタンに照らされた顔は、アラミゴ系のハイランダーの特徴を備えていると分かった。上背こそあったが、まだ少年らしい面立ちと声だ。
この森で、アラミゴ人は滅多に見かけない。それも、こんな時間に子供が一人で駆け回る事態など――何が起きている?

思考が追い付かないうちに、新たな足音がどたどたと近づいてきて、先程少年が飛び出してきた茂みから、これまたハイランダーの男達が、三人ばかり現れた。こちらは、とうに成人しているように見える。いずれもがっしりした体格で、短剣で武装までしていた。

「あそこだ!」
先頭に立った男が叫ぶ。
彼の指し示した先には、渓流の脇の岩場で立ち往生している少年の姿があった。

どうも、少年は男達に追われているらしい。
俺と出くわして、急に方向を変えたために、まずい事に上流側へと逃げてしまったのだ。
あの辺りは大きな岩が多く、余程森に慣れている釣り人でも、すいすいとは登れない。岩は濡れて滑りやすくなっているし、逃走経路としては危険だ。
実質、袋小路に追い詰められたと気づいた少年は、男達の方に向き直り、岩の隙間をじりじりと後退る。

「ちょろちょろ逃げ回りやがって!オラ、さっさとその厄介なブツを寄越しな!」
「嫌だね!」
距離を詰められながらも、少年はきっぱりと言い返し、手に握る何かを、男達から遠ざけるように胸元に引き寄せた。
「このっ……始末つけるしかねえようだな!」
男の一人が、腰に帯びた剣を抜き放つ。
流石に見過ごせない状況だ。咄嗟に、俺は声を上げた。
「ちょっと待ってくれ」

男達が一斉に振り返って、こちらを睨む。
「ああ!?何だてめえ、引っ込んでろ!」
『チンピラの教科書』でも出版されれば、第一節に載りそうな脅し文句を放つ男の前に、俺は数歩分進み出て、言葉を繋いだ。
「って訳にもいかないだろ。揉め事なら話を聞くし、近くの街までひとっ走りして、役人でも呼んで来るがね。何があったんだ?」

「チッ、しつけえ奴だな」
男が舌打ちをして、俺の方に歩を進める。揺らめくランタンの灯りの中、上から下まで俺を観察した彼は、
「……漁師か?」
と、訊ねた。妥当な推察だと俺は頷く。
「そんな所だよ。副業として、御用聞きというか、よろず使いっ走りというか……そういう事もやってる」

「何モンだろうがどうでもいい」
素気無い調子で鼻を鳴らすと、男は手にした剣を一つ回して、こちらに切っ先を突きつける。
「てめえはここで何も見なかった。いいな?川魚の餌になりたくなきゃあ、黙って帰れ」
「だからそれは無理だ。寝覚めが悪過ぎだっての、こんなもん見過ごしたら――」
そんな言い分を、吐き終える猶予もなく、
「面倒だ、やっちまえ!」
リーダー格らしい男の指示が飛んだ。

既に腰の短剣に手をかけていた両サイドの男達が、待っていたとばかりに得物を抜き、斬りかかってくる。
「おいおい!『短気は損気』って東洋のことわざに」
勿論、聞き入れられない。こうなればこちらとしても、態度を改めるしかない。

俺は左右からの白刃を飛び退いて躱し、小脇に抱えっぱなしだった鍋を振り被った。
短剣を腰だめに構え、突っ込んできた男の額に、丁度良く鍋底がぶち当たり、パカンと余韻の残る金属音を立てる。
唸り声を上げて昏倒する男を横目に見つつ、逆方向から襲い来るもう片割れ目掛けて、返す刀で鍋を放り投げた。

この一投は流石に直撃せず、剣を持つ腕に叩き落とされる。その間に俺は、大きく相手から距離を取った上で、片手に提げていたランタンの火を吹き消した。
一瞬にして辺りが宵闇に包まれ、男達の戸惑う気配が伝わる。俺も特別夜目の利く方ではないが、大雑把な敵の位置が分かれば十分だ。

思い切り腰を沈めて背中のハープーンを手に取り、一気に間合いを詰める。地面すれすれを掠める形で穂先を振るい、相手の脚を捉えた所で、勢いよく掬い上げた。

「うわあっ!?」
ひっくり返った男の喉元に、ハープーンの先端を突きつけて、軽く首を傾げてやる。
「魚の餌になりたいって?」

「ぐ……」
男は呻き、今一人の仲間に、懇願するような視線を向けた。
が、その仲間はというと、既に逃げ腰――というより、完全に逃走態勢に入っている。
「てっ、てめぇ!ただで済むと思うなよ!」
形ばかり、剣を突き出すような格好と共に、啖呵を切ってみせてから、男はくるりと背を向け、仲間達を置き去りに、夜道を駆けて行ってしまった。

「……ありゃ」
リーダーと思われた男の、清々しいまでの薄情ぶりに、俺はいささか、自分の足元に転がった二人への同情を覚える。
喉元のハープーンを引くと、男は仰向けになったままいくらか後退り、まだ目を回している仲間を無理矢理叩き起こして、あとは一目散に逃げ去った。

呆気ない幕切れである。
俺はひとつ息を吐いた。朝飯前ならぬ夕飯前。空腹時に、とんだ運動だった。

「おーい、大丈夫か」
小川の畔、大岩の合間に取り残された少年へと、一先ずそう声をかける。
少年は、緊張の糸を切って良いものかどうか、といった顔つきで呆然と突っ立っていたが、俺の呼びかけに対して、案外冷静な態度で「……うん」と頷いてみせた。
「あ、ありがとう……おじさん、強いな。何してる人?」

「おじさん……」
口の中だけで、ぼそりと俺は復唱する。見た所、少年は十五、六といった年頃だ。まあ、その認識も致し方ないか。
「……さっき言ったとおり。釣り道楽のよろず屋ってところだ」
答えつつ、地面に散らばった鍋だのランタンだのを拾い上げていく。鍋はへこんでしまっていた。

「グリダニアの、ええと……キコクタイじゃないんだ?」
「ああ、別にどこの所属って訳でもない。――そんで、君は?家はどこだい?」
わざわざ公的組織である鬼哭隊との関係を訊いたという事は、この少年も何かしらの訳ありだろうか、などとあれこれ勘繰りながらも、単刀直入に質問する。
これまた案外、冷静かつ素直に、少年は回答した。
「おれ、カミル。カミル・モルゲンロートっていうんだ。グリダニアで魔法の勉強がしたくて、ザナラーンから歩いて来た」

   ◇

「東ザナラーンの家から、一人でここまで、か。てめェ以外にも、無茶する奴ってのはいるモンなんだなァ」
何故かしみじみと、ランドゥネルは呟いた。

俺はカミルと名乗ったハイランダーの少年を連れて、イウェインとランドゥネルの待つ野営地に戻っていた。
森を逃げ回るにあたって、カミルは自分の手荷物を粗方放り出してしまったらしい。このまま手ぶらで夜を明かさせるのは忍びない。空腹でもある様子だったので、とりあえず焚火の前に座らせて、スープを渡したところ、瞬きほどの間に食べきってしまったので驚いた。

「めっちゃくちゃ美味かった!」
かぶりついていた椀から顔を上げて、カミルはそう声を上げる。
作り手である俺は、つい上機嫌になって、
「お、そうか。おかわりいるかい」
と、空の椀に鍋の残りを注いでやった。

実際のところは、空腹が最高のソースになっているだけだろう。鍋の中身は、萎びきった干し野菜とハーブ、小瓶の底にこびり付いていたゼーメルトマトのペースト、それに、どうにか一匹釣り上げたフェアリーバスの切り身を、ごった煮にしたものである。お世辞にも豪勢とは言い難い。

「それで――」
椀を受け取ったカミルが、またがつがつと食べ始めたので、イウェインはこちらに話を振った。
「このザナラーンからの家出少年、どうすんだ?魔法の修行がしたいって?」
「家出じゃねえよ、ばあちゃんは知ってるから。幻術士ギルドに紹介状も書いて貰った」
スープを飲み下したカミルが反論する。
「父さんと母さんには黙って出てきたけど……」

「そりゃ、ほぼほぼ家出だ」
俺は顔をしかめてから、カミルに問いかけた。
「お祖母さんってのは、グリダニアに伝手のある人なのか?」
氏名からしても、やはり彼はアラミゴの血を引いていると思われる。が、グリダニアとアラミゴの関係は、長年に渡り良好とは言えない。
問われたカミルも、眉尻を下げて頭を掻いた。
「知り合いの知り合い……の知り合いくらいが、グリダニアで幻術士やってるって。ばあちゃんも、治療師とかしてた人でさ」

「魔道士や治療師目指すってンなら、ウルダハが便利なんじゃねェのか?ザナラーン生まれだろ?」
ランドゥネルの助言に対して、カミルは俄かに、眦を吊り上げる。
「生まれはアラミゴだよ!それに、ウルダハには行きたくねえ!」
そっぽを向いてしまったカミルを、面喰らった様子で見つめたランドゥネルは、ややあって、「ヒャッヒャッヒャ!」と妙な笑い声を立てた。

「そうかよ、オゥ、悪かったな!俺にそんな口が利けるたァ大した度胸だぜテメェ!」
何が気に入ったのか、カミルの金髪をぐしゃぐしゃと引っかき回すランドゥネルである。
昔の自分でも思い出したのだろうか。細かく編み上げた長い髪を乱されたカミルは、迷惑そうにしている。

それにしても、この年頃で「生まれはアラミゴ」という事は――祖国が崩壊した時、まだ幼児か、下手をすると乳児だったのだろう。記憶にすらない故郷への思い入れが、かえって強く複雑なものになる感覚は、俺にも多少理解出来た。

「んじゃ、君の目的地は俺達と同じ、グリダニアか。……ああでも、その紹介状ってのも、放り出しちまった手荷物の中か?」
「うん」
気を取り直して質問を続けると、カミルはしゅんと肩を落とし、肯定した。
「あいつらの所に、置きっ放しだ……小遣いだとか、金目の物は盗られたかも。今持ってんのはこれだけ」
と、彼は懐のポケットから、何かを取り出す。
ロール状に丸められた、片手に収まる程の小さな羊皮紙だ。

『あいつら』とは、彼を追いかけていたチンピラ達の事だろうか?思い返せば、あの追っ手達は、カミルに何かを寄越せと要求していた。それが、この羊皮紙か。

「それは?」
「いざって時に使えって、ばあちゃんがくれたお守り」
カミルは慎重な手つきで、ロールを広げた。
成程、護符である。広げられた羊皮紙の表面には、魔紋と思われる紋様が書き込まれていた。ただ恐らく、エオルゼアで普及している魔法とは系統が異なる。

俺は魔法にはてんで疎いのだが、察するにこれは、巴術士の使うような魔道書の一ページを、もう少し初心者向けに練り上げた魔器ではないだろうか。予め、発動する魔法の効果も必要なエーテルも、紙の中に封じ込めておいて、ごく微弱な魔力を注入するだけで、その威力が発揮されるような類いの。

「……お前のばあさんってのは、結構凄いソーサラーなのか」
イウェインも同じ所見であるらしく、羊皮紙を眺めて、感心した様子で顎を撫でる。
カミルは至って堂々と、胸を張った。
「そうさ。すげえんだよ!」

「そんな大層な魔器、俺らに見せちまっていいのかよォ。悪ーい連中の仲間かもしれねェぜ?」
軽くからかう口調でランドゥネルが笑うと、カミルはきょとんとして俺を指し示す。
「このおじさん、助けてくれたのに?」
「あー」
俺はこめかみを掻いた。この少年、良くも悪くも率直で素直な性格であるらしい。
「助けてくれる奴が、みんな善良とは限らなかったりもするんだが……ま、とりあえず俺達は取って食ったりしないから、しばらく信用してくれ。こっちの怖いおじさんも」
「あンだと、おい」
ランドゥネルを指差してやったところ、すかさず肘で小突かれた。ほら怖い。

「分かった。……あの、じゃあさ。本当は鬼哭隊とかに相談しなきゃならないのかもだけど。言ってもいい?」
ややおずおずと――スープを食べ尽くした時の勢いより遥かに遠慮がちに――カミルが口を開く。
どうやら、先程俺に鬼哭隊所属かどうかを訊ねたのは、元々そちらに用件があったためらしい。
「何だ。手荷物を取り返して欲しいって話か?規模にもよるが、こそ泥のねぐらくらいなら――」

「違うんだよ」
イウェインが先回りをして答えるのに対し、カミルは首を振って続ける。
「『あいつら』、もうちょっとヤバい奴らで……ヤバい事になってんだ。大勢の人が騙されたりしてる」
思いもかけず物々しい話を切り出され、俺達は揃って、互いの顔を見合わせた。

 <第3話につづく>
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