Charakter

～A certain daily life～


波の音が聴こえる。
ここはコスタデルソル。

「今日は何釣るんだぁ？」
隣でバケツをぐるんぐるん振り回すメルココが問い掛ける。
「んー、そうだなぁ」と釣り竿を肩にぽんぽんとしながら私は海を見詰める。

「今夜のメニューに刺身を入れたいから、肉厚なアッシュトゥーナにすっか？」
「おぉー！いいじゃん。あと焼いても美味いよなっアレ。」
「そうそう、最近ミコッテの客が来るようになってからさ。
人気がある魚のメニューを増やしたいと思って。」
「なるほどなぁ」

そんなやり取りをしていると、、

「ちょっとそこのちみ達っ」
と声を掛けられた。



～・～・～・～・～・～・～・～

げっ

「そう嫌そうな顔をするでない。」
そう言ったゲゲルジュの後に、隣に控えていた秘書が続ける。
「ゲゲルジュ様は”丼”という、ひんがしの国の料理をお召し上がりになりたいとのこと。
失礼ですがご用意いただけませんでしょうか？」
そして眼鏡の縁をくいっと上げて
「もちろん、礼は弾みますので」と付け足した。

「仕方ねーなぁ。それじゃー肉厚なアッシュトゥーナを仕入れてくれよ、ウチの今夜のメニューにするからさ。」
そのワードを聞いた秘書はぴくっと尻尾を一度震わせて、畏まりましたと短く答えた。

～・～・～・～・～・～・～・～

「ほらよっ、ご注文の丼だ。ちょっとコスタ風にしてみたぜ。」



満足そうにがっつくゲゲルジュの後ろでは、こちらも満足そうに
くいっと眼鏡の縁を上げて、軽く会釈したミコッテの姿があった。

「それは俺様からのサービスだ。」
その手にはアッシュトゥーナの海鮮焼きが見えている。