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Makai-Astrologe

Tohgen Akishima

Carbuncle [Elemental]

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とあるパッパの奮闘記~赤面編~

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 フルシュノが目を覚ますと、そこはまた見知らぬ天井だった。ゆっくりと体を起こし辺りを見ますと天井には豪華なシャンデリア、側面には金色に輝く壁紙、赤色の絨毯には細かく手入れのされた植物などが置かれていた。確か自分はウルダハにいたはずなのでは……必死に記憶を手繰ろうと頭を抱えていると、扉が開く音が聞こえ中からメディキャップを被ったヒューランの女性が現れた。
「あ、体調はいかがですか?」
 薄く笑いながらフルシュノに近づき容体を聞いてきた。フルシュノは特に痛む箇所はないと答えると、女性は何やらカルテにさらさらと書きバインダーを閉じた。
「それはよかったです。ここに運ばれたとき、あなたは白目をむいて運ばれたんですから」
「し……白目……だと」
「はい。それはもう……真っ白でした。逆にあそこまで真っ白な目は今まで見たことがないです」
「う……う……ううむ」
 普段から患者を診ている人から見て、フルシュノの状態はそうそう見ない状態だったようでそのヒューランの女性は「不謹慎ではありますが」と前置きし「ちょっとだけどうしてこうなったって気になっちゃいました」と悪戯っ子のように笑いながら言った。それに対しフルシュノは何も言えず、ただ唸るしかなかった。
「ところで……わたしが運ばれたここはどこなのだ……」
 気になっていたことを口にすると、ヒューランの女性はにっこりと笑いながら答えた。
「あ、そうでした。ようこそ、ゴールドソーサーへ」
 ごーるどそーさー……。また聞きなれない言葉にフルシュノの頭は再び疼き始めた。


 フルシュノが医務室を出て、まず目に入ったのは巨大なサボテンダーの建造物だった。その建造物の周りをぐるりと囲ったテーブルには従業員が遊びに来ているゲストの案内をしていた。一般の人たちのほかにもアルフィノのような冒険者も息抜きにやってきているように見え、賑わっていた。思わず口を開けたままゆっくりと歩いていると楽し気に会話をしている声があちこちから聞こえてきた。
「ねぇねぇ。今度はどこに遊びに行く?」
「モーグリキャッチャーであそぶー!」
「トリプルトライアドの大会があるんだって! ちょっと見に行こうよ」
 これまた聞いたことのないものがどんどん飛び交う会話についていけないフルシュノは、再び訪れた眩暈に思わず膝を落とした。
「うっ……」
 膝を落としゆっくりと呼吸を整えていると、フルシュノの目の前に誰かが立っている気配がした。だけど、眩暈はまだ残っていて誰かを確認するまでにはもう少し時間を要した。
「アラ。あなた、大丈夫?」
 ……なぜだろう。フルシュノはとても嫌な予感がした。なぜか。フルシュノの目の前に立っている人物の足元だけは確認ができたから判断材料がそれだけになってしまうが、それだけでも少しおかしい。甘い言葉遣いに対してとても逞しい両足、そしてそのまま視線を上に持ち上げていくとどこかで鍛えていたのではないかと思うくらい筋肉に満ち充ちた上半身があった。サイズがあわないのだろうか、時折「ミチィ」という衣服からの悲鳴が聞こえる。上半身から流れるように顔へと向けるとそこにはカラスのようなマスクを被った人物が立っていた。そして、フルシュノは即座に判断した。


(声の主はこいつだ)

と。頭ではわかっていても中々声が出せずにいると、その人物はフルシュノと同じ目線になるように屈み手を差し伸べた。
「きっと人の多さにあてられちゃったのネ。ゆっくりでいいからお立ちなさい」
 なんとも言えない感情の中、フルシュノは差し伸べられた好意を無碍にするわけにはいかず、素直に手を取りゆっくりと立ち上がった。少し頭はふらつくも、さっきより眩暈はなくなり意識もはっきりとし始め、フルシュノはまずお礼をした。
「困っている人がいるのなら当然でしょ。ウフ」
 なんかどこかでこのようなやりとりをしたような気がしたフルシュノは、小さく息を吐き再度ここはどういったところなのか説明を求めた。
「あら。あなた、ゴールドソーサは初めてなのかしら? まぁ、簡単に言ってしまうと巨大遊技場ってところかしら。みんなを元気にしたり誰しもが主役になれる場所……私はそう思ってるわ」
 仮面を被った人物から説明を受けているとき、フルシュノはふと思った。そしてなんでそれを聞かなかったのかと自分を思いきり叱責した。


なぜ自分がここにいるのだと

確か自分は裁縫師ギルドにいたはずなのでは。そしてなにかがあってここにいる。今知りたいのはその裁縫師ギルドにいたときから医務室にいたまでの記憶だ。この仮面を被った人物が知っているかどうかはわからないが、フルシュノは意を決して聞いてみた。すると、その仮面を被った人物はあっさりと答えてくれた。
「あら。あなた覚えてないの? 途中までは裁縫師ギルドのマスターがここまで運んできて、それを私が変わって医務室に運んだのだけど……なにかまずいことでもあったのかしら?」
 まずいことはないのだが……フルシュノは自分が作ったドレスをあいつが勝手に持ち出したことに腹が立ってそれから……あれ。なにか抜けてるような……何かがあると言っていたような……と首を捻っていると、落ち着いた館内チャイムが鳴った。
「まもなくイベントスクウェアで本日限定イベント『ブライダルフェスタ』を開催致します」
「もうそんな時間なのね。私は関係者だから先に行かなきゃいけないけど……あなたはどうする?」
「……ここに一人でいるのはなんとも。ご一緒してもいいでしょうか」
「もちろん。さ、こっちよ」
 フルシュノは仮面の人物の案内の下、ブライダルフェスタというイベントが開催される場所へと向かった。


 イベント会場である「イベントスクウェア」という場所は、巨大な円形のステージのことだった。円形のステージ上には実行委員会らしき人物があれやこれやと準備を進めていた。漏れがないことを確認し、並べられたテーブルの上には「解説席」と書かれた札があった。三人程度が座るのだろうか。椅子は三人分用意されていて、内二人は着席をし準備をしていた。残る一人は誰なのだろうと思っていると、どこからともなく巨大な人物がのっしのっしとその椅子に向かって歩いている。そして椅子に座ったときのカラスのような仮面をみたとき、フルシュノは思わず声が出そうになるのを必死に堪えた。
(あいつ……関係者とは言っていたけど……審査員なのか!!!!!)
 なんとなく騙されたような気がしたフルシュノは、その気持ちをどこにぶつけていいかわからず自分の中で留めるしかなかった。
「それでは間もなく、新作ウェディングドレスの発表を行いたいと思います」
「新作がたくさんあるって聞いてるから、とっても楽しみだわ」
「そうですね。では、さっそくみていきましょう!」
 司会者がそういうと、審査員席に向かって新作ウェディングドレスを身にまとった人物がゆっくりと歩いて行った。
「ふむ。しっかりとしたボリュームに誰にでも着こなせるようシンプルなAタイプのドレスね。アクセサリーで勝負したいわね」
 Aタイプと呼ばれたドレスを紹介している仮面の人物は、さっきまでの甘い口調とは異なり少しぴりっとした口調だった。それだけあの人物は衣装に対する熱意があるというものなのだろうかとフルシュノは感心していた。
「次は……プリンセスタイプね。自然なふくらみがとってもキュートね。製作者の心がとっても伝わる作品ね」
 次はプリンセスタイプと呼ばれたドレスだった。ドレスはどんなものがあるのかさっぱりわからないフルシュノに対し、あの仮面の人物は一目見ただけでどのドレスタイプなのかがわかってしまう、その知識量もすごかった。思わず感嘆の声を漏らしていると、次のドレスが出てきたときフルシュノは思わず目をむいて驚いた。
「次はマーメイドタイプのドレスね。生地選びから製法もばっちりよ。言うことないくらいだわ」
(あ……あれは……わたしが作ったドレス……!!! そうだ! 思い出した。確かあいつにわたしがつくったドレスがどうたらこうたらって言われて……あぁああぁああああぁぁ……)
 自分が倒れた理由を思い出したフルシュノは、頭を抱えながらその場にうずくまった。確かにあいつはここに持って行ったと言っていた。そしてそれはこのブライダルフェスタというイベントに出すためだったと……いつの間にか増えてきている人の前で叫びことはできないため、フルシュノは精一杯声を押し殺して叫んだ。


 いつの間にか終わっていたブライダルフェスタ。さっきまで賑わっていたイベントスクウェアも人がまばらになり、今では数えるほどしか見当たらなかった。イベントスクウェア脇のベンチに腰を掛け天井を眺めているフルシュノの目には穏やかさが戻っていた。何度も小さな溜息を吐き、周りの様子を眺めているとあの仮面を被った人物がフルシュノに向かって手を振っていた。
「やっと見つけたわ。急にいなくなったからどこに行ってしまったのかと心配したわよ」
「ああ……」
「それにしても素晴らしいドレスばっかりだったわね。特にあのマーメイドタイプのドレス。私気に入っちゃったわ。製作者に会いたいくらいだもの」
 あまりに嬉しそうに話す仮面の人物に思わず心が動いたフルシュノは、思い切ってあれは自分が作ったものだと打ち明けた。すると、仮面の人物はより声高になって喜んだ。
「まぁー! あんな素敵なドレスを作った人物が目の前に……私、幸せだわ!!」
「そ……そんな……」
「ねぇ、あのドレスを作ろうと思ったきっかけはなに? モデルとかいたのかしら?」
「そ……それは……」
 ぐいぐい迫ってくる仮面に困っていると、フルシュノは一つの答えを見つけた。


(そうか……結局はあいつらと同じだったのか……)

 導いたものを口に出そうとすると、思わず笑ってしまいそうな答えだった。結局は、自分もアメリアンスに似合う服を着せたいというのが答えだった。最初はアルフィノたちが着せようとしていたものと同じものを作り着せて牽制しようとしていた気持ちから、いつしか着てもらいたい人物を思い描くようになりそれが形となって今がある。一つの衣装を作るのに素材や手間、時間は確かにかかるがそれを惜しまずに丁寧に製作していけば、きっと誰かの心に届くものがあるとフルシュノは学んだ。
「あなた。きっといい裁縫師になれるわ。これからもたくさん素敵なお洋服を作っていってね」
 仮面の人物に思わずハグをされ、意識が遠のきそうなのを堪えフルシュノは小さく「ありがとうございます」といい、ゴールドソーサーを後にした。そして、短期間ではあったがお世話になった裁縫師ギルドもといウルダハに別れを告げ、オールド・シャーレアン行のチケットを購入。出航までまだ時間があるといい、フルシュノは最初に立ち寄った果実屋のテントを覗いた。
「あ! あのときのお兄さんだ。元気してたかい?」
「お、覚えててくれたのか?」
「そりゃあもちろん。んで、今日は何か買っていくかい?」
「そうだな……わたしがこの前食べた果実をいくつか貰おうか」
「毎度あり!」
 店番をしていたのが、ちょうどあのときフルシュノに果汁たっぷりの果実をすすめてくれた店員だった。最後の挨拶がてら居ればいいかという気持ちだったが、その気持ちが通じたのかあのとき見た満面の笑顔を見れたフルシュノは何となく嬉しかった。
「ほい。お待たせ~! 全部で800ギルだよ」
「ああ。世話になったな」
「え? お兄さんどこか行っちゃうの?」
「あぁ。自分の国に帰るんだ」
「そっかぁ……。でも、また遊びに来てね」
「もちろんだ。約束する」
「えへへ。そう言ってもらえると嬉しいね。気を付けてね」
 無言で手を振り、出航の合図が出た乗り場まで歩くと今まで経験したことが濁流のように押し寄せ、如何に自分が世間知らずだったかを思い知った。今回、感情的に出てきてしまったことは反省し、また外へと出る機会があるときはもう少し自分を解放してもいいのではないかと思った。包みに入ったあの果汁たっぷりの果実を手に、海路を進む船の揺れは優しくフルシュノを眠りへと誘った。
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