※エオコンの内容及び暁月までのストーリーのネタバレ満載でお送りしていますので、注意※
かつて、8年ほど住んだ東京に降り立った。相変わらずの忙しなさを懐かしむ暇もなく、足早にチェックインなどを済ませ、会場に向かう電車に乗り込んだ。ちらりと周りを見ると、ジョブピンバッチをつけている方やアーモロートのストールを羽織った方などがいて、光の戦士が集っていることになんだか胸がそわそわした。
いつもエオルゼアでしか見ない光の戦士たちがリアルに集結しているという場面を、生で目の当たりにしたのが初めてで不思議な感覚だった。久しぶりに会う友人と積もる話もしながらグッズを買ったり、クレープを食べたりなどし、コンサートへの気持ちを高めつつ入場した。
勘違いをしており、てっきりバルコニーだと思っていたが、アリーナのほぼど真ん中のステージに近い席だった。演奏者の方々が肉眼でよく見える。入場した時には、過去のパッチの映像が流されており、それだけで胸にくるものがあった。そわそわとしながら、座席で待ち、時間になった頃によくあるコンサートの注意事項のアナウンスが始まった。しかし、なんだか普通のアナウンスではない。文末が、「くぽ」になっており、祖堅さんだと気づく。会場からはクスクスと笑い声が聞こえてきて、なんだか緊張していた空気が少し和らいだような気がした。
そして、いよいよ演奏が始まる。
指揮者がいらっしゃり、ああ、これはオーケストラコンサートなんだという引き締まったようなそんな気持ちがする。そんな中始まった「天より降りし力」。オーケストラの音だ!これが生の音なのかあすごいなと眺めつつ、曲もバトルの曲なので力が入る。
続けて、「希望の都」。この辺でようやく私の緊張が少し解けた気がする。私はグリダニアスタートのプレイヤーではあるが、ウルダハのこの曲はなんだか始めた時のことを思い出す。若葉を歓迎し、応援する曲のような感触がある。
ワールドの概念が分からなく作りたかったワールドとは違うところに作ってしまったこと、いろんな人に名前で呼ばれるからちゃんと考えないといけないこと、その辺を間違えて1番最初の馬車のシーンだけ何度もやり直した。画面の情報が多すぎて、こういうのがMMOなのかと面食らった。そんな2年前のことを思い出すと、随分遠くまで来たような、でも2年前ってそんなに昔じゃないよなあと考えたりなどした。
曲が終わると吉田Pと祖堅さんが登場した。てっきり最後らへんに少しだけとかなのかなと思ってて、ちょっと驚いた。我々が緊張していることを分かってか、ロールを聞いてくれ、DPSは拍手による火力を出すこと!と言ってくださった。火力と聞くと頑張らないわけにはいかない。私と同じようにそう思った光の戦士も多いんじゃないかと思う。
この後は「静音の森」だった。個人的にこの曲も思い入れが深い。グリダニアスタートなので、よく聴いた思い出がある。自分が最も落ち着く曲でもある。
そして、「究極幻想」。大好きな曲の1つで聴けたことが嬉しかった。個人的に今後挑みたいコンテンツへの思いが強くなった。
MCを挟んで「Dragonsong」へ。アマンダさんが登場されて、第一声を発された時から涙が止まらなかった。なんて美しい歌声なんだろう。信じられないレベルの声量に圧倒されてしまった。知っている曲なので、この後高音が来るぞと身構えるが、予想を遥かに上回ってくるので、それだけで感動してしまった。驚くレベルの声量と全くブレずに自然に、そして笑顔でその部分を歌い上げるアマンダさん。感無量。
そして、最愛のオルシュファンの映像が流れる。
光の戦士は忙しい。毎日のルーレットや消化やレベリングなどだけで日々が過ぎていく。勿論、ストーリーは心に刻まれている。しかし、頻繁に過去のストーリーのムービーを振り返ることなどあまりない。だから、私は彼の生前の姿を見るだけで涙が溢れてしまう。そして、あの時言ってくれた言葉を思い出す。
『このキャンプ・ドラゴンヘッドに滞在する間は、自分の家だと思って、くつろぐといい。お前と私の仲だ、遠慮はしてくれるな。』
暖かいスープは私の心を温めてくれた。
そんな彼は逝ってしまった。観ないようにしている亡くなってしまったシーンが流れると涙が溢れて止まらない。
Tell me why create, a circle none can break
教えてほしい、なぜ創るのか、壊し得ぬ輪廻を
Why must you let go, the life you were bestowed
なぜ捨てるのか 与えられた生命を
This I fear I'll never know
わたしには、その答えを知る術はない
Never know
知る術はない......
何故亡くならなきゃいけなかったのか。何度も考えてしまうけれど、それでも進まなければいけなかった。
そんなことを思い出しながら、止まらない涙を拭っていたら、曲が終わってしまった。
悲しい気持ちを思い起こさせる曲ではあるけれど、それごと包み込んでくれるような暖かいこの曲にもっと包まれていたかった。
蒼天の曲が続く。「Heavensward」。大好きな曲で今年演奏にもチャレンジしたので、思い入れが深い。入りのボーカルの方の素晴らしい歌声に感激しつつ、何百回も観た蒼天のトレーラーが流れると、やはり気持ちが高まる。このトレーラーに感激したので、竜騎士のレベリングを始めたことを思い出す。なんだか雰囲気が厳かな街に来て、ワクワクしたこと。大好きだった蒼天の物語。大好きな竜たち。音楽と共にやっぱり蒼天が大好きなことを改めて思い知った。
蒼天ラストの曲は「英傑」。かっこいいこの曲を楽しみつつ、流れている映像は極ナイツだと思ったので、極ナイツやってみたいんだよなあと思いつつ、映像内でうろうろしながら死んでいく黒魔さんを観て、ほっこりしたりした。
MCを挟んで紅蓮へ突入。「鬨の声」。どのような状態でもこの曲を聴くと、テンションが上がる。紅蓮を象徴する大好きな曲。
「塩と苦難の歌」。バトルの曲がやはり盛り上がりどころなので話題にあがりやすいが、フィールドの曲も素晴らしい曲が多い。この曲もそのひとつ。確かにこの曲は紅蓮の大きな思い出の一部分で、プレイ中はバトルよりも沢山聴いている曲なのだ。映像もマウントで飛びながらフィールドをゆっくり進む映像で、なんだか紅蓮を進めていた日々の様子をぼんやり思い返したりした。
「空より現れし者」。こちらは紅蓮ではあるものの今年の春頃にクリアしたので、比較的記憶に新しい。また、映像が零式だったので解除でFCメンバーと行った思い出も蘇ってきた。アルファが宇宙を走るシーンを観ると、なんだかよく分からない涙が出てきてしまう。そして、最後には私が号泣したクエストであるオメガ番外編の映像も少し流れたので、あの時感じた複雑ないろんな気持ちを思い出した。
ここまであっという間に過ぎていき、休憩に入る。7時間ぐらい飲み物を摂取していなかったことに気づき、お茶を飲みつつ、友人と感想を話したりしていたら、あっという間に休憩が終わってしまった。
いよいよ漆黒に突入。「Shadowbringers」でジェイソンさんが登場。オーケストラのコンサートという場所に帽子を被り渋かっこいい姿のまま登場し、本物だ!と思った。そして、力強く歌い上げるジェイソンさん。音源とは違うこの感じもまた心にくるものがある。
何度も観た漆黒のトレーラーだが、こうやって思い返すと本当に大好きなストーリーであったことを改めて感じさせられる。とにかく面白くて夢中で進めたこと、予想出来ない展開に何度もびっくりしたこと、夜が戻ってきた瞬間嬉しかったこと。これを観るとやっぱり暗黒騎士をやりたくなってしまう。「Shadowbringers」として歩んだ冒険は本当にかっこいい。
「To the Edge」。ちょうど前日に討伐ルーレットで当たって、STをやったのだが、タンク2人ともLBをせずにワイプしてしまった。そんなちょっとしたことも思い出したが、この曲はやはりとてつもなくかっこいい。何度観てもかっこいい演出にまた鳥肌が立ってしまった。
そして、「砕けぬ想い」。ここで私の大好きなエメトセルクに想いを馳せないわけにはいかない。彼もまたなかなか動いている姿を頻繁に観るわけではない。ストーリーの序盤で明らかに悪役のような振る舞いをしていた彼を改めて目にして、どんな気持ちだったのだろうと考えしまった。ただ、彼の愛した世界を取り戻したかっただけなのに。それを想うとやはり泣いてしまった。
そのままの感情で「Tommorrow and Tommorrow」に入ったが、またエメトセルクの映像が流れる。どんなに苦しいことか、想像もつかないほどの苦しさなのは分かる。でも、沢山の想いを背負って、ある種呪縛のようなものから解き放たれた彼が、最期にあのような顔をしているのならば、これで良かったと心から思える。
彼が愛した世界の明日はもう来ない。でも、残された者たちの明日は来る。いつだって世の中はそうだ。
ライナの姿を観て、暁や光の戦士の姿を観て、自分と大切な人の明日を一緒に迎えられることがどんなに幸福なことなのかを改めて感じる。
Stand tall, my friend
堂々と立て、友よ
May all of the dark deep inside you find light again
深きにある闇が、再び光と出会うように
This time, tumbling, turning we make amends
今こそ、翻り落ちながら、途切れた夢を繋ごう
Eternal winds from the land ascend
悠久の風が大地から昇り、我らを押し上げる
Here to lift us that we won't end
終わることなどないように歌を終えたアマンダさんが挨拶をしてくださった。自分が英語できてよかった…と思った瞬間でもあった。彼女が我々のことを『Warrior of Light』と呼んでくれたことがなんだかとても誇らしいことのように感じた。
そして、ついに暁月へとセットリストは移っていく。緊張が高まる。
と思ったら、ファットキャットが書いてある段ボールとオタマトーンを持った祖堅さんが登場。指揮者の栗田さんと一緒に段ボールをガムテープで床に固定させていく。思わず笑いが溢れる場内。曲が始まると祖堅さんが足に取り付けたベルと段ボールでズンチャッチャとあの曲に合わせて動いていく。サビになるとオタマトーンでメロディを奏でてくださるのだが、オタマトーンの音程調整というのは本当に難しく少し外れたメロディがなんとも愛らしい。ベルが何度も落ちて四苦八苦しながら取り付ける様子も笑いを誘い、和やかな雰囲気につつまれた。
そして、「Your Answer」。暁の皆と戦っている姿が映し出される。あまり全てのエフェクトありで観ることも少ないので新鮮ではあるものの、当時ここで皆と一緒に戦えるんだ!ちょうど8人なんだ!と感動した思い出が蘇る。また、ヴェーネスの覚悟に思いを馳せずにはいられない。強い彼女のとてもとても長い旅のことを思うと、その辛さと想いの強さに胸が苦しくなる。
吉田Pと祖堅さんがエルピスの花を持って登場。やはりそろそろ出番らしい。ギミックがあるとのことで練習タイムを設けてくださった。祖堅さんが「練習では上手くいくんだけどね」と言うと、あるあるのことなので会場がどっと沸く。指揮者の栗田さんが最善に合図をしたら花を点灯させ、それを見たら次の列の人が点灯させるというギミックとのこと。練習段階でも会場が綺麗だった。
そして再びジェイソンが登場して始まる「Close in the Distance」。初めてウルティマ・トゥーレに降り立ったときのことを思い出す。この場所に来たとき、こんな宇宙の遠い場所まで来たという物理的な距離も思ったが、ついに物語が終わってしまうという意味での"遠い"場所に来たなあと思った。FF14が終わるわけではないけれど、この大きな物語が終わってしまうことへの不安とワクワクがあったし、ストーリーの展開的に、大丈夫なのかな…と思いながらこの土地を少しずつ進んでいった。その足取りをサポートしてくれたこの歌。歌詞の中にも各パッチのことが出てくる。
[Morning]rises on a land reborn from the ashes
灰より新生せし大地に朝が訪れ
7Nesath the heavens
蒼天が広がる
To sunset, blood-red skies tranquil after the storm
夕暮れには嵐が過ぎ、静かなる紅蓮の空
Blessed shadow
漆黒の宵が訪れる
Turning, wending, always night follows day
世界は回り、時は進んで、夜は朝を連れてくる
The sun will shine again
何度だって陽は昇るだろう
Walk on, never look back
振り返らずに行け
Through you, we live...
俺たちはお前の中に生きている、そう…そんなことを思っているとギミックのタイミングが来て、会場中がエルピスの花の淡い輝きで包まれ、ムービーのあのシーンが映し出された。当然のように涙が止まらなかった。
前の方の席なので会場の光は指揮者の栗田さんは映した映像のほうがよく見えた。栗田さんの後ろで揺れるその光は、私たちを温かく包み込んでいた。
その光に包まれたまま『Flow』。再びアマンダさんが登場して歌い上げる。一人一人にそっと語り掛けるような歌い始めで涙が出る。ヴェーネスの想い、可愛らしく笑顔を見せるメーティオン、最期の闘いの場面を見ると、実際にプレイしたときのことを思い出してしまう。
笑顔で歌うアマンダさんの美声が本当に素晴らしく、とてつもなく印象に残った。
しっとりとした気持ちになったまま、最後の挨拶があり、「ENDCALLER」が流れる。大好きなかっこいいこの曲は、ゾディアーク討伐戦の曲だ。ここで戦うってことは物語がどうなっていくんだろう?と思ったことや、体を乗っ取られ絶望したことを思い出した。
あっという間に終わってしまったが、ここでもちろんアンコールである。最大火力で迎えるアンコールでは、「そして世界へ」だった。有効部族クエストの様子などストーリーだけでなく、日々のことを思い出す映像で、自分が生きているエオルゼアという世界の美しさを改めて感じた。
アンコールはもう1曲「終焉の戦い」。本当に大好きな曲でやらないわけがないと思っていたが、やってくれてうれしかった。暁月の最後の闘いとなったこの曲にはすべてが終結されている。想いもそうだし、曲もそういった構成になっているのが印象的である。最後には見たことのない新しい絵が出てきてそれもまた感激した。暁月のメンバーと笑いあうその絵は、ここまで進んできて良かったと思った。
そうしてコンサートは終わりを告げた。
コンサートってどういうものなのだろうと思っていたが、自分のエオルゼアの冒険を振り返るようなそんなコンサートだった。
音楽と、そして光の戦士の皆さんと共に、ストーリーや思い出を振り返れたことを幸運に思う。
「Flow」の最中に、メーティオンの台詞を思い出した。
『たくさんの……こんなにたくさんの人がいて……あふれるくらい、想いがあったのね……。
たったひとつの答えなんて、本当になかったんだわ……。命の意味も……生きる理由も……。
いろんな形の歓びを拾い集めては、失って……また見つけながら生きて、生きて、生きていく……。
死が、あなたの優しい隣人になる、そのときまで。私が翔ばなくたって、ヘルメスの探してたものは、
あの星に、あなたの世界にあったのね……。』
この台詞が大好きで。
暁月のフィナーレは人間賛歌の話だと思っている。
FF14ではストーリーだけでなく、沢山の想いが存在している。
楽しいことや嬉しいことだけではなく、悲しいことや辛いことも思い出になっている光の戦士も多いと思う。沢山の光の戦士と毎日過ごしていると色んな事がある。戦いに挑んで落ち込むこともある。
そんな中でも私たちはメーティオンが教えてくれたこの言葉があるから、きっと光の戦士でいられる。
膨大なストーリーと思い出を振り返ることで、忘れかけていたものを思い出したような気がした。
始めた時からとても遠い場所に来てしまったけれど、沢山の想いを抱えて、私たちはまた歩き出すのだ。
そう、私たちは光の戦士なのだから。