Charakter

万魔殿パンデモニウムで迎えた辺獄編
一層結呪で散開事故、氷火も調整が噛み合わず惨敗だった
フィールドに響く募集主のため息、どこからか聞こえる「今週も未踏破だな」の声
無言でギブアップ投票し始めるメンバー達の中、ヒカセンは独りベンチで泣いていた。
漆黒で手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できる固定メンバー・・・
それを今の暁月で得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」ヒカセンは悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、ヒカセンははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰って木人を叩かなくちゃな」ヒカセンは苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、ヒカセンはふと気付いた

「あれ・・・？PTメンバーがいる・・・？」
石の家から飛び出したヒカセンが目にしたのは、エーテライトを埋めつくさんばかりの冒険者だった
千切れそうなほどにサイリウムが振られ、地鳴りのようにshoutが飛び交っていた
どういうことか分からずに呆然とするヒカセンの背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「おい、リセット日だ、早く行くぞ」
声の方に振り返ったヒカセンは目を疑った
「さ・・・サンクレッド？」
「どうしたんだ英雄、居眠りでもしてたのか？」
「す・・・水晶公？」
「なんだ相棒、いつまでその呼び方をしてるんだ」
「エスティニアン・・・」 　
ヒカセンは半分パニックになりながらチャットログを見上げた
MT:サンクレッド　
ST:グラハ　
H1:ウリエンジェ　
H2:アルフィノ　
D1:エスティニアン　
D2:内川　
D3:アリゼー　
D4:ヤシュトラ
暫時、唖然としていたヒカセンだったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ！」
ラザハンで天文装備を受け取り、パンデモニウムへ全力疾走するヒカセン、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

翌日、FCハウスで冷たくなっているヒカセンが発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った