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Juliette Blancheneige

der lebende Schild

Alexander (Gaia)

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『Sweetest Coma Again』4(後)(『Mon étoile』第二部四章)

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4-4

「そこッ!」
 ソフィアが光臨武器を連射する。短機関銃の形をしたそれは、一発一発がグレアに等しい魔法の光弾を凄まじい速度で連射する。
 その凶悪な弾丸のなかを、サイラスは駆ける。遺跡を盾にし、躱しきれぬものは細剣で叩き落す。驚嘆すべき体術と剣術で、サイラスはソフィアの攻撃を躱し続けている。
「いつまで逃げられるかな!」
 ソフィアが勝ち誇り笑う。右の短機関銃からは直進のみの高威力弾丸を、左のそれからは右のよりやや低速・低威力だが目標を追尾する弾丸を射撃する。タイミングの異なるふたつの弾種を、サイラスは辛くも躱し、追尾弾を剣で払った。
 大きめの遺跡に身を隠すと、被っていた鍔広帽を脱ぐ。いくつもの弾痕が穿たれている。
「なんてこった。お気に入りだぞ」
 肩を竦め帽子を被り直す。それからまた別の遺跡の陰に飛び移る。今いた場所を、追尾弾が驟雨のように襲っていた。
「……連射に一定間隔で途切れがある。おそらく魔力をチャージするための隙だな」
 誰にともなく呟く。
 同時に弾切れを起こさないのは、左右それぞれで弾種を切り替えてタイミングをずらし、右がチャージ中は左だけで広域にばらまく――といったカバーをしているからだ。
 しかも。
「サンクティファイド・パライズ!」
 再び駆け出したサイラスへ、ソフィアは射撃とは別に魔法を撃ってくる。どれだけ魔力があるのか、とサイラスは辟易した。通常のパライズとは違う、ディア並みの詠唱速度の麻痺付与魔法。
「面倒なこった……!」
 胸ポケットから元気薬のアンプルを口で引き出し、器用に首を歯でへし折りながら口中に流し込み、再び遺跡の中へ駆け込む。
 敵の攻撃パターンはだいたいわかった。防御性能が未知数だが、それを確認するよりこれ以上攻撃させないほうがいい。
 こいつは“ノる”と調子を上げていくタイプだ。悪いがもう実力は発揮させない。
 右の短機関銃の射撃が止む。左を今までの追尾弾から弾速の速い通常弾に切り替えての制圧射撃――を、しようとするところで、サイラスは攻勢にでた。
「アクセラレーション」
 体内を巡る魔力、オドをさらに加速させる。軋むような負荷がサイラスの精神にかかる。暴発寸前の魔力を操る、死と隣り合わせのひりついた感覚。
「ヴァルサンダー!」
 迅速魔による詠唱破棄。迸る黒雷は、ソフィアの前面に展開された魔力結界に減衰させられる。
 だが気にしない。ヴァルサンダーが着弾しているときにはもう、サイラスは次の魔法を解き放っている。
 豪炎が真っ直ぐに奔った。ヴァルファイア。
「く……!」
 逃れようとするソフィアを、さらに緑風――ヴァルエアロと、ほぼ間を置かずにヴァルストーンが襲う。結界が崩れかかり、ソフィアも少なくないダメージを受ける。
 そこに、サイラスが生み出したエーテルの剣たちが襲い掛かる。フレッシュ。直後、より広範囲に剣が刺さるコントルシクスト。
「……!」
 ソフィアが言葉を発する隙さえ与えない。嵐が如く、サイラスは更に魔法を連射する。
 ヴァルサンダー。ヴァルファイア。ヴァルエアロ。ヴァルストーン。繰り出される魔法が、ソフィアの結界を破砕してソフィア本体へ襲い掛かる。そこで、サイラスは一気に攻勢に出た。
「マナフィケーション! ――エンボルデン!!」 
 通常は使用しない環境エーテル――マナを、体内に取り入れる。白魔道士や黒魔道士が消費するマナに比べれば微々たるものだ。だが、赤魔道士にとっては激しい水泳の最中に息継ぎをしたに等しい。即座に魔力は行き渡り――更なる高速回転をもたらす。そして威力を上昇させるために、魔力放出のタイミングをよりシビアに絞る。
 二つの秘技を使用した後、サイラスは突然の急加速でソフィアに肉迫した。コル・ア・コル。
「なっ……!」
 驚愕に目を見開いたソフィアの視界内で、赤の魔道士の剣が閃く。
 加速した魔力を、肉体を通して剣に付与する。神速の突きと斬撃がソフィアを襲った。この連続攻撃下で、とっさに物理攻撃への防御魔法を起動させたことは称賛に値する。だが、これは魔法攻撃なのだ。容赦のない剣撃が少女を翻弄する。
 高めた魔力を一気に放出する喪失感を脇へ追いやり、サイラスは後方へ飛びのきざまの一撃を見舞う。そして――
「紛い物で恐縮だが、ご進呈だ!」
 白い輝きが、上空からソフィアへ向かって落下し、着弾と同時に白い魔力の爆発が吹き上がった。ヴァルホーリー。
「ああああッ!!!」
 ソフィアが構築したすべての防御魔法ごと破壊して、白い光がソフィアを灼いた。だが、まだだ。まだサイラスは止まらない。白魔道士には、一瞬ですべての傷を癒す秘奥義、ベネディクションがある。完全に戦闘不能にするまで攻撃を止めてはならない。それが、対白魔道士戦の鉄則だ。
 それに。
 ヴァルホーリーを発動させたことで、通常使用しない魔力回路が解放されている。それはもう、発動寸前まで高まっているのだ。
「とどめだ! スコーチッ!!!」
 “焦がす”という名を冠した赤魔道士の奥義。瞬間的に発生させた空間の亀裂が収縮する力を利用して、亀裂にねじ込んだ自身の魔力を暴発させるのだ。対象は灼き焦がされ、消し炭と化す。
 完璧なタイミングだった。
 それゆえ。
「アブソリュート・シェル」
「なんだと!?」
 サイラスは驚愕した。円形の白い魔力光がソフィアを護り、破壊の魔力を遮る。おそらく再使用時間の長大さと引き換えに、絶対的な効果を得た対魔法結界。
「……レ……フ」
 そもそもヴァルホーリーの時点で瀕死だったソフィアが、傍らに現れ結界を行使した青年を見て安堵の声を漏らし――気絶した。崩れ落ちる身体を支え、青年は彼女を横抱きにした。
 ソフィアのローブと共通した意匠の白いサーコートに長身を包んでいる。口元だけが露出した銀の仮面。ローブは被っておらず、青みがかった長い黒髪が見えている。意志の強さを感じさせる、引き結んだ唇。サーコートの胸に、『聖七天』の聖印が揺れている。
 静かな、けれども圧倒的な存在感だった。ソフィアを抱いていることで、両手は塞がっている。斬りかかればいい。だが、サイラスはそうしなかった。背中がぢりぢりと焦げるようだ。己の危険察知能力が告げる。――コイツは強い。やるなら、“奥の手”含めて全開でやらなければならない。
 おそらく、この状態でも戦えるのだろう。逃げる隙を窺うでもなく、青年はまっすぐにサイラスを見た。
「何者だ」
 青年が問うた。耳に心地よい美声で、余計なものをすべて削ぎ落とした問いを発した。
「それはこっちの台詞だと思うが」
 サイラスは苦笑したが、そのまま続けて答えた。
「赤魔道士さ。ちょいと古株の、な」
 対するサイラスの問いも、端的なものだ。だがこれは誠実な答えだ。そこに、彼の秘密は凝縮されているのだから。
「……!」
 青年がわずかに目を見開いた。答えの意味を知った、ということだ。つまり、気付ける立場の者ということになる。
「お前さんこそ、何者だい」
 サイラスの問いに、青年は即答しなかった。その代わりに、周囲を見渡す。
「ヂィィィィィィ!!!」
 白い異形――咎人の絶叫が響いた。光に包まれ、崩壊していく。
「サイラスさん!」
 リリと、やや遅れてバティストが駆けつけた。バティストはもう黒い仮面を付けていない。さりとて鬼哭隊の仮面を付けなおす暇はなく、素顔のままリリの前に立って槍を構えた。
「……あんた誰」
 幾分緊張した物言いで、現れたラヤ・オが青年に問う。彼女もサイラス同様に感じているのだ。おそらく、ここにいる者全員が死力を尽くして戦わなければ勝てない相手だ、と。
 青年は、問うたラヤ・オと、それからリリをしばらく見つめた。
 それから、はっきりとした声で告げた。
「『純潔派』、『四善(アガトス)』が一、『徳義(モラリティ)』」
 全員が息を呑んだ。遺跡の警備部隊を壊滅させた、『恪勤(ディリジェンス)』、『公平(インパシアリティ)』と自称していた者たちと同じ、『純潔派』の教義による四つの徳目――『四善(アガトス)』のひとつを青年は自称した。
 それがおそらく幹部クラスを指す呼称なのだとサイラスは予測した。残り三人もこの青年と同程度の強さなのだとしたら、『純潔派』は相当に危険な組織と言うことになる。
「ここは退かせてもらおう」
 『徳義』はそう言い、踵を返そうとする。
「待って!」
 リリの声に、『徳義』は動きを止めた。仮面の首が、微かにリリのほうを向いた。
「貴方たちは――本当に、アムダプールの『純潔派』なのですか? 千五百年以上前の組織が、どうやって……いえ、今、何をしようとしているんですか?」
「……」
 その問いは、『徳義』の心を動かすものであったらしい。彼は向き直り言う。
「この星に生きるすべての“人”への、救済と断罪を」
「救済と、断罪……?」
「――第六霊災のとき。我々は、これで世界が浄化されるのだと思っていた。世界が一新し、教義によって備えを怠らなかった我々のみが生き残る。そういう世界がくるのだと。
 だが。結果は違った。生き残り、にもかかわらず、わずかに残された土地を巡り争う人々。他者を蹴落とし、それを良しとする者ども。
 世界は邪悪を許したままで、許された悪はそのまま世界中に広がった」
 リリが眉根を寄せた。言葉を遮り反論したい衝動を抑える。
「霊災でも人の心は矯正できない。それは、そうだろう。野生の獣が学習しないように、彼らもまた、懲りると言うことをしないからだ」
 冷たく突き放すような言葉を放ち、『徳義』は首を振る。
「第六霊災、そして第七霊災。二つを経ても、人は変わらない。争いを欲し、他者を踏みつけ、調和に唾を吐き、人と世界のありかたになど欠片も興味を持たない」
 ぞろり、と身の裡からにじみ出るような憎悪を溢して『徳義』は言った。
「そのような邪悪は正されねばならない。世界が手緩いなら、我々がそれを行う。救われるべきものを掬い上げ、世界を腐らせる邪悪には滅びを与える。それが、我々白魔道士の責務だ」
「そんな……!」
「断じて違うわ!」
 リリとラヤ・オが食って掛かろうとするが、『徳義』はそれを遮って言葉を続けた。今度は、明確に二人のほうを向いて。
「あの場所で学んだ貴方たちにも、その責務はある」
「……!」
「え!?」
「我々の世界へ来てほしい。そうすれば、わかるはずだ」
 『徳義』は、踵を返した。遺跡の外へ向かおうとする彼へ、バティストが鋭く警告した。
「待て!」
 たしかにこの男は強大な力を有しているかもしれない。だが、だからと言ってここで見逃す訳にはいかない。バティストはすでに黒面装の準備に入っている。
 だが。
 バティストが『徳義』目掛けて駆け出すよりも早く、彼と『徳義』の間に、転移の魔法陣が出現した。バティストは慌てて立ち止まる。
 そこで、『徳義』は名を告げた。――己の所有する魔道石像の名を。
「ゼノン」
 魔法陣より現れた魔道石像は人型サイズだ。細身で、体のいたるところに刃のような突起が付いている。その突起はすでに雷状の魔力を発しており、今にでも攻撃を発動させられる状態のようだ。
「退避して!!」
 ラヤ・オが叫んだ。おりしも、咎人を倒した兵士や魔道石像を破壊した兵士たちがこちらへ駆けつけてくるところだった。サイラスが同時に下がり、やや遅れてバティストも続いた。
 一番遅れているのは、リリだ。
「リリ!」
「早くしなさい!」
 バティストとラヤ・オの呼びかけに応えず、リリは震える声で『徳義』に問うた。
「レフくん……なの? エレフテリオス・ラエル、貴方なの……!?」
 それは、あの夢幻のアイ・ハヌムでともに学んだ友の名だ。理知的で冷静で、線の細い少年。
 声に聞き覚えがあった。その口調にも。
 けれど、確信したのは、魔動石像の名だ。
 ゼノン。それは、アイ・ハヌムで彼が創った小型魔道石像に、彼がつけた名前。その形状も、あのときのものをそのまま大きくしたような意匠だった。
 あれは、現実のことではなく、妖異エンプーサが遺跡に残るなんらかの力の影響を受け創り上げた、夢の世界ではなかったのか。
 なのに。
「そうだよ。リリ・ミュトラ。君やセレーネと共に、あの場所で――ラヤ・オ先生やヘカーテ先生に学んだ、エレフテリオスだ」
「……!!」
 『徳義』――エレフテリオスは、淡々とリリへ告げたのだ。
 ゼノンと呼ばれた魔道石像が、全身に眩い雷をまとう。
「待っ……」

「『夢幻宮』へ来るんだ。君なら、あるいは」

 その言葉を遮るように、ゼノンの雷撃魔法が発動した。ドーム状に展開した雷撃の内側のものはことごとく焼き尽くされ、それが終わった時には、範囲内は文字通り灰燼に帰していた。
 『徳義』は姿を消していた。ゼノンもいなかった。
 ラヤ・オに『救出』されたリリは、彼がいた場所をみつめたまま動かない。
「……エレフテリオス……なの……?」
 ラヤ・オが愕然と呟いた。
 夢幻の世界の教え子が実在した。しかも、自分たちのことを憶えている。訳が分からなかった。
「彼が」
 かすれた声で、リリが言った。
「エレフテリオスが、言っていました。『夢幻宮』に、来い、と」
「『夢幻宮』……」
 知らない名だ。
 だが、その名を口にしたとき、ラヤ・オは奇妙ななつかしさと悲しみを感じた。『あちらの』ラヤ・オの記憶にもないはずなのに。
 間違いなく敵の本拠、あるいは重要な場所だろう。
 それでも。
 それでも、行かなければいけないと感じた。エレフテリオスの誘いとは別に、誰かに呼ばれている――そんな気がした。
 
『Sweetest Coma Again』5へ続く
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