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Juliette Blancheneige

der lebende Schild

Alexander (Gaia)

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『Sweetest Coma Again』6(後)(『Mon étoile』第二部四章)

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6-3

「どこまで続くのかしら、この道」
 ラヤ・オが焦れたように呟いた。
 転移後に到着した場所は、広いトンネルのような場所だ。
 円形の壁は白く輝き、空気中にも白い光の靄がかかっていて、先は見通せない。
 一行は、かれこれ一時間程度この通路を歩いていた。
「侵入者対策されていたとしても不思議じゃあないが……」
 言いながら周囲を見渡したサイラスが、ふと後方を見て、うお、と呻いた。
 残りの三人も慌てて振り返る。
 光の靄が晴れている。壁は白く輝いているのではなかった。透明な外壁が、外の光る靄を見せているだけだったのだ。
 そして。空全体が輝く無尽の光の中を、透明なチューブが天からほぼ垂直に垂れ、やがて緩やかにカーブして、一行の今いる地点まで続いている。空中回廊だったわけだ。
「あれを歩いてきたのか……?」
「いや、おかしいぞ。あんな垂直なところは歩けないし、下り坂を降りていた感覚はなかった。ずっと真っ直ぐな道を歩いていると思っていたぞ!?」
 バティストが狼狽の声を上げる。それは全員が同意見であった。
「前が……!」
 再度周囲を見渡したリリが指差す。光の靄が晴れたことで、前方の視界も開けた。一行のいる位置からほんの半マルムほど離れた場所で、透明なチューブ状の通路は垂直に下方へと――つまりは地上へと降りている。垂直路には通路いっぱいに広がったプレートが浮いている。一種のエレベータのようだった。
「広いわね……」
 周囲の光の靄がすべて消えたことで、周囲の風景が一望できた。
 基本的になだらかな地形、あちこちに耕作地があり、森や湖も見える。前方には、巨大な城が聳えていた。白の周囲に城下町はなく、代わりに数万人を優に収められるだろう集会場が城下に広がっていた。
「……あれが……『夢幻宮』でしょうか」
 リリの声に、全員が頷いた。
「そうだろうな」
 バティストが同意して、前方のエレベータを指し示す。
「あれで降りる以外に手立てはなさそうだ」
「だな。行こうか」
 サイラスが歩みだし、全員がそれに続いた。

 エレベータで降下するにつれ、降りる先が城下の集会場に隣接していることが分かった。そこは舞台のように周囲から数段高くなっており、城側に扉のない門が建っている。
 舞台の上、門のすぐ側に、一人の女性が待ち受けているのが見える。
「一人か。もっと盛大な出迎えを予想してたんだが……」
 サイラスが軽口を叩くが、顔は笑っていない。一人でいるのは、一人でも問題なく自分たちの相手をできるということかもしれないからだ。
 エレベータが降下しきり、チューブの壁が開いた。四人は外へ出る。
「ようこそ、『真世界』へ」
 女が恭しく一礼した。白いローブ、清楚に結い上げた髪。仮面は付けていない。普段の彼女を知るものが見れば目を見張るだろう、たおやかな仕草で、彼女――アステラは微笑んだ。
「わたくしは『純潔派』、『四善(アガトス)』の一人、『公平(インパシアリティ)』と申します」
 だが。
「……アステラ……! 貴方もなの……!?」
 一瞬で。
 一瞥しただけで、リリはアステラを見抜いた。
「……!」
 あまりの衝撃に、アステラは反応することさえできなかった。
 完全に“あのとき”の自分から脱却したつもりだった。顔だって、幾度も修正を重ねた。分かる要素がないと思っていた。――なのに。
 なんで一発で見抜く?
「アステラ……? アステラ・ユーフェミア? あの、ぱっと見おとなしいけど闘争心が凄かった子?」
 ラヤ・オが戸惑っている。そう、こっちが正常の反応だ。
「そうです! 分からないなんて先生どうかしてますよ? ね、アステラ!」
 笑いかけられる。
 ああ。
 この屈託のない笑み。
「……イメージを……だいぶ……変えたんだけど」
 動転したあまり、アステラは考えていた策も演技も一切出さず、素で反応してしまった。しかも、“今”の自分じゃない。あの頃の、アイ・ハヌム時代の自分。
 まるで、その頃に彼女に話しかけられて、挙動不審になったように。
「わかるよ! 友達のことを忘れるわけないよ!」
「……え」
 友達。
 友達と言ったのか? 彼女にとって、『その他大勢』であったはずの自分を、
 
 友達、と。
 
 アステラは。
 泣きそうになった。
 こちらへ歩んでくるリリに縋り付いて、今起きていること、“彼女”が何をしようとしているか、を告白したい衝動に駆られた。
 けれど。
 ほとんど同時に、アステラの中で、今までよりもずっとどす黒い感情が沸き上がっていた。
 なんだこいつ。
 どこまでまっすぐで、どこまできれいなんだよ。
 届かない。
 自分は絶対にこのひとと同じ場所に立てない。
 絶対に届かない。
 自分の心の中に黒い沼がある。その沼から汚らしい手を伸ばして、この空を行く白鳥を掴まえて、引きずり込んで――汚してやりたい。

 アタシの全てを使っても。
 あんたをアタシのいる場所に堕としてやる……!

「アステラ?」
 いつの間にか手の届く距離まで近付いていたリリを、思い切り蹴り飛ばした。
「――ッ!」
「近寄んなこのブス!」
 調整された肉体の力は魔物並みだ。一気に仲間のところまで引き飛ばされたリリが、腹を押さえてうずくまり吐血した。バティストが慌てて駆け寄る。
「ムカつくんだよ優等生! アブソリュート・リフレク!」
 アステラの叫びと同時に、リリたちの周囲へ、十ヤルムはある魔力の『板』が何枚も出現し、彼らを取り囲んだ。
「まずい! 集まって!」
 ラヤ・オが結界を張る。それも――狙い通りだ。
 一瞬遅れて、彼らの上空に円形の『板』が現れ、床もまた『板』そのものと化した。『板』は表面を鏡のように煌めかせ――
「ざんねェんラヤ・オ先生。結界じゃあ、アタシの『聖隷眼(せいれいがん)』は防げない」
 アステラの左目が、眩く輝いた。過去最高の術式速度と精度で、彼女は左目に宿る魔法を起動した。
 放たれた白い光が、リフレクで反射される。周囲すべて、床も天井さえも輝かせた光。瞼を閉じてもなお目を灼くその光が、四人の精神を侵略した。

6-4

 体を鎖で戒められている。
 何も見通せない闇の中で、リリの両手両足に鎖が巻き付いている。両手は頭上で一つにまとめられ、鎖は上へ消えている。その鎖で上へと引かれている。両脚には左右別々に鎖が巻き付き、それぞれ斜め下へと消える鎖によってその方向へ引かれている。
「あ……ぐっ!」
 引き裂かれる痛みに悶える。なぜこんな状況に、という思考は閉ざされている。苦痛と恐怖だけが、リリの思考を埋めていた。
 苦悶の吐息と、ぎりぎりと締め付け、引かれる鎖の音。筋肉と骨が軋む。
 その音の中に、異音が混じった。
 ずるり。ぬたり。
「え……?」
 痛みに耐えながらリリが下を見た途端。闇の明度が下がった。十ヤルムほど下に、異形の触手がびっしりと生え、蠢いていた。
「……!!!!」
 恐怖に息が詰まった。いやだ。あんなものに触られたくない。
 その恐怖に応えるように、触手の群れがゆっくりとリリへ伸び始めた。
「ゃ……っ」
 必死に抵抗する。けれど拘束は解かれないし、引く力も緩まない。
 その間にも触手は伸びる。
 最初の触手が、リリの足に触れようとする。
 恐怖がリリの心を完全に満たそうとした、そのときだった。

『だいじょうぶ』

 懐かしい、それでいて聞き慣れた声が聴こえた。
 次の瞬間。
 リリの目の前に、白く輝くクリスタルが出現した。
「光の……クリスタル?」
 声に出した途端、それは眩い光を放ち、鎖も触手も、闇の世界そのものをも消し飛ばした。

「な……!?」
 アステラの驚愕が、リリを我に帰した。
 『真世界』、透明なエレベータから降りた、舞台の上。愕然と口を開くアステラ、そして自分の周囲にはラヤ・オ、バティスト、サイラス。自分も含めた全員が、昏倒から覚めて起き上がるところのようだ。
「今のは……」
 アステラの精神攻撃。それは分かった。だけど、それを解いたのは……

「やはり……」
 遠隔視の魔法で状況を確認して、エレフテリオスは呟いた。
 『夢幻宮』内の自室。
 映像の中で、リリが困惑しながら起き上がっている。
 アステラの『聖隷眼』は完璧だった。エレフテリオスが息を呑むほど、非の打ちどころのない術式だった。彼女が行使してきた術の中で、最高の出来だったと言っていいい。
 それを、打ち破った。
 遺跡の『夢幻球』を解析したときに、そうではないかと思っていた。
「それが、君の――『超える力』か」
 だとすれば。
 まだ希望はある。
 たとえ、この後に敗北を喫するとしても。

「な……なんで……なんでなんだよ!!!」
 アステラは絶叫した。
 完全に理解不能だった。今の術式は完璧だった。負ける要素など微塵もなかった。なのに。なのになぜ。
 リリの覚醒に続いて、他の三人も目を覚ましている。見ればわかる。全員の術が消滅している。
 信じられないという思いのなかに、アステラが見知ったモノが混じってきていた。
 まただ。
 また、このエンディングか。
 また、敗北で終わるのか、自分は。
 一気に溢れる涙を拭きもせず、アステラは叫んだ。もういい。全部、
 
 アタシも含めて全部なくなれ。
 
「マノス!!!!」
 次の瞬間、バニシュを用いて潜伏していたマノスら『戦隊』――アステラ配下の陸戦兵団が、一斉に姿を現した。
 いや、ただ姿を現しただけではない。バニシュの効果が切れたのは、彼らが攻撃魔法を放ったからだ。姿を見せたのは結果に過ぎない。
 三十人ほどの、戦闘用白魔法に特化した兵たちが放つホーリー。それらはすべて通常のホーリーではなく、直線の光線としてリリたちに襲い掛かった。
 ――獲った。  
 マノスは確信した。配置した兵はすべて、アステラへの攻撃ルートを外してある。命令違反だが、その責めは自分が負えばいいことだ。
 ただし違反したのはそこだけだ。侵入者たち四人を灼き焦がし絶命させるに足る火力。全員が対処する余裕のない瞬間を狙ったタイミング。
 すべて、完璧だ。

 そのとき。
 
「お待ちなさい」

 静かだが、よく通る声が静止の言葉を発した。
 それだけで。
 たったそれだけで、マノスたちが放った攻撃魔法はすべて、雲散霧消した。
「――あ……!!!」
 その場にいた『純潔派』の全員が、慌てて跪いた。涙を流したアステラでさえ、その泣き顔のまま膝を屈した。
「待っていましたよ。二人とも」
 声の主が、ゆっくりと舞台へあがってくる。
 呼びかけられた二人――リリとラヤ・オも、その声の主が誰か分かっていた。
「やっぱり……」
「あの子たちがいるなら、貴方がいても何の不思議もない……そうよね、ここは『純潔派』の世界なのだから、貴方がいないはずはなかった。――メリナ・コムヌス!!」
 ラヤ・オの叫びに、『純潔派』教主、メリナ・コムヌスは微笑みを浮かべた。
「元気がいいのは貴方の取り柄だけれど。呼び捨てにするのは如何なものかしら。ラヤ・オ・センナ?」
 灰色の髪を高く古風に結い上げ、厳かで、それでいて華美に感じさせぬ長い法衣。すらりと伸びた背筋、肌の張りも造作にも、衰えを感じさせるところは微塵もない。
「むしろ前より元気そうに見えるわね……。まさか、千五百年ずっと生きてきたわけじゃないでしょうね?」
 苦笑しながら、ラヤ・オは一歩前へ進み出た。
「どういうつもり? この事件の最初から、あんたたちは現世の粛清を口に出してきてる。それをあたしたち現世に生きる者が容認するわけがないことくらい、あんたもわかるでしょう!」
「粛清を、人への断罪だと捉えてはなりませんよ」
 あくまでも淡々と、メリナは語る。
「人の罪を雪ぎ、人そのものを許す。それが、真の救済。わたしが行う、世界すべてのひとへ施す救いです」
 メリナの周囲を、輝くエーテルが覆っていく。
 裡に秘めた魔力が迸る。
 人が山を仰ぎ見るような、愕然とするほどの力を、メリナは解き放った。
 姿が変わる。
 翼の生えた、美しい女性。目は伏せられ、四本の腕のうち上の両腕が人を抱くように前へ差し出されている。そして、下の両腕は長い杖を握り持っていた。
「蛮神……!!」
 愕然とラヤ・オが叫んだ。
 女神の目が見開いた。メリナと同じ瞳の色をしたそれが、ラヤ・オたち四人を、慈愛を込めて見つめた。
『もう、なにも心配はいらないわ。世界のすべてを、わたしが救うから。
 わたし――女神ソムヌスが』
 
『Sweetest Coma Again』7へ続く
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