Charakter

「出来ればもう少し情報が欲しい」

それからまた数日経った日、メルからの要望に俺は首を傾げた。
その訳は、リムレーンの像だった。
様々な船には、リムレーンの像を拵（こしら）えて、航海の無事を祈る船は古今から多かったらしく、特に商船が占めていたらしい。（ちなみに今でも小型のリムレーンの像を拵えて航海の無事を祈るのだとか）
その沈没船が商船だった事は突き止めたが、より詳しい情報が有れば、船の特定が出来るとの事だ。
と、言うのも、俺が貰った島の周囲の海域は普段は穏やかだが、一度天候が崩れたらしばらくは大荒れになる海域らしく、そこで行方不明になった船は多いらしい。
（なんて所を貰ったのだろうか…）
俺が見つけた沈没船もその内の一隻らしいが、帆船の詳しい特徴が分かれば、船の名前が分かり、そこから積荷だった箱詰めのワインの正体も分かるのではないかとの事だ。
なるほど確かに…と思った俺は、再び無人島に行き、その沈没船周辺をくまなく調べてみた。
すると、少し離れた所に何かが海底の砂に埋もれているのが見えた。
少し気になり、砂を取り払ってみると、左右曲線に曲がりくねった石の剣が出て来た。
長い間砂に埋もれていたのか、貝類に侵食はされていなかった。
形状からして、フランベルジュの類だろうが、果たしてこれが何かしらの調査に進展をもたらすのか否か…
取り敢えず持ち帰ってみる事にしよう。
何か分かれば良いのだが。