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Rin Carnation

Ridill (Gaia)

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 5回に1回の割合で帽子を忘れるくせのあるK君が、正月にA,B,C軒を順に年始回りをして家に帰ったとき、帽子を忘れてきたことに気がついた。
2軒目の家Bに忘れてきた確率を求めよ。

 東出が不倫するなんて思ってもみなかった高校三年の頃、友人から「ちょっとこの問題解いてみてよ」と言われた僕は、意気揚々と 4/5 * 1/5 = 4/25 と書き上げ、思いっきりバツをもらった。これは確か早稲田の過去問だったはずだが、「入試問題がこんな簡単なはずがない」と思いつつも、これしか書けなかった。確率の基本である、「すべてのケースを合計すると1になる」という本質を見失っている。
 僕の考えでいくと、家Aに忘れる確率は 1/5 、家Cに忘れる確率は 4/5 * 4/5 * 1/5 ということになるが、この3つを足しても1にならない。「どの家にも忘れない確率」があるからだ。問題の前提として「帽子を忘れてきたことに気がついた」のだから、どの家にも忘れない場合があってはならない。

 この問題を出してきたのは佐藤という友人だった。
 彼とは小学生からの付き合いなのだが、不思議な特技があった。
 じゃんけんが強いのだ。
 強い、とはいっても、あからさまに勝ちまくるわけではない。ほんのちょっとだけ、人より勝率が高いのだ。それも、普通の人からすれば気がつかないレベルの、微細な変化量なのだ。しかしながら、昔からの間柄である僕は、「ここ一番」のとき負けなしであることをなんとなく感じ取っていた。古くは給食のデザート争奪戦から始まり、忘年会のじゃんけん大会ではみごとPS3をモノにしていた。
 かといって、単に運のいい人というわけでもなく、ビンゴやくじといった、じゃんけんではないものに関しては、一転して弱かった。いや、弱いというわけでもなく人並みなのだが、じゃんけんに比べるとそう感じてしまった。

 佐藤のじゃんけんの強さについて、知っている人は僕の他に誰もいなかった。なにしろ、デュエルマスターズで先手後手を決めるときとか、サッカーでキックオフするチームを決めるときのような、日常の何気ないじゃんけんでは、勝ったり負けたりだったので、よほど察しのいい人でないと気づけないであろう。けれども、絶対に負けられない乾坤一擲のじゃんけんにおいては、彼は負けることはなかった。
 しかしながら、これはきちんと統計を取ったわけではなく、経験則に過ぎないものであったので、僕も悩んだ。ひょっとしたら、ただ勝負強いだけの人なのかもしれない。はたまた、僕の思い込みで、じゃんけんで負けることもあったのに忘れているだけなのかもしれない。

 思い込みの力は恐ろしい。

 たとえば、このゲームにはロット勝負というものがある。
 あなたの身の回りに、「ロット弱い自慢」をする人はいないだろうか。何かにつけて、また勝てなかった、ほらダイスの数字見てよ、俺ほんとロット弱いわ。そのようなことを言う人。
 まあ、言ってしまえば、思い込みだ。
 ロットで負けたという記憶だけが強く残り、負けるたびにその事実が印象深く刻まれる。どこかではロットで勝った経験もあるだろうに、自分は弱いと思い込んでいるから、その主張を裏付けたいがゆえ、勝った経験は忘れ、負けた経験のみ覚える。そういうものだ。
 以前、僕もスカラ装備を集めにID周回したことがある。いつまでも狙いの装備が出なかったものの、所詮は確率なので、まあそんなこともあるかもなとしか思わなかった。後半は飽きてきたので、部活終わりに保健室で後輩にいじめられる・お仕置きパート(高音質).wavを聴きながらやっていたら、プレイに集中することができず、思いっきり視線攻撃を食らい死亡した。片手操作は難しかった。

 とにかく、人間には思い込みというものがあるので、この佐藤の謎の力についても、主張を裏付ける根拠は何一つなかった。僕も、この真相を彼に尋ねることはしなかった。禁忌、という言葉は過ぎるにしても、触れてはいけないもののような気がするし、どのみち、正しいという礎もない。


 そんな僕らも高校三年になり、にわかに受験への緊張感が高まっていたころ、学校行事で遊園地に行くという謎のイベントが開催された。受験生なのに何やってるんだと思うが、息抜きという名目らしい。その日は制服ではなく私服、みんな思い思いのオシャレをしていた。いつも顔を合わせている女子生徒も私服姿だと普段と違った輝きを感じさせてくれた。フラミンゴのような細い脚を露出してる人もいた。男子は男子で、それなりの身づくろいをしていた。パーカーの下にパーカーというMr.パーカーJr.の先駆けみたいな人もいた。僕の親友の山下という友人はいつも通り真っ黒だった。
 バスで一時間ほど揺られ、目的地に着いたあとは、なんでもアトラクションに乗り放題の券みたいなのを渡され、夕方まで自由行動だと言われた。ここで、充実した生活を送ってる人ならば、恋人と一緒に同じ時を過ごすのだろうが、そんなものは存在しなかった僕、でも、友達といれば寂しくなんてないから。同じような非リア仲間3人と、楽しく遊んだ。
 非リア仲間と一通り園内を回り、次はどこに行こうかなと話してるとき、
「よう。」
と声を掛けられた。リア充グループのKというクラスメイトだった。見ると、不思議なことに彼は一人だった。
「お前らこれからどこに行くの? 一緒に行こうぜ」
 なんでも、さっきまで彼女と一緒にいたのだが、周りに冷やかされ恥ずかしくなって別行動することになったらしい。なんて羨ましいんだ。
「じゃあ、結構歩き疲れたし、次はあれに乗ろうか。」
と、佐久間君が指さした先は、観覧車だった。

 観覧車、実は僕はこのときまで、生まれてこのかた観覧車というものに乗ったことがなかった。乗る機会もなかった。なんか地域のデパートに、寂れた街並みとは不釣り合いな観覧車はあったのだが、乗ったことはない。というか、僕はおろか知り合いにも誰一人としてそこの観覧車に乗ったという人はいない。「誰かが乗ってるのを見た」という人も聞いたことがない。マジで金の無駄だろって思った。観覧車に乗ったところで、こんな田舎じゃ、眺めなんて下から見ても横から見ても大したものじゃないだろう。そのデパート、平日なんて、生鮮食品を買いに来た主婦くらいしか客がいないのに駐車場だけは馬鹿でかいから、免許取りたての人が駐車の練習に使ってたくらいだった。田舎のデパートにそんなもの設置してどうしたかったんだ。
 そんなわけで、初めて乗る観覧車を前に、僕はいささか恐怖した。特に高所恐怖症を自覚しているわけでもないのだが、何となく抵抗があった。しかしながら、友人たちの手前、「怖いからやめよう」なんて恥ずかしくて言えるはずもなく、ビビってるのを悟られないように努めて涼しい顔をしていた。

 僕らみんなで観覧車に乗り込もうとした。ところが、一つのゴンドラには4人しか乗れなかった。僕、非リア仲間3人、K君、合わせると5人、明らかに容量オーバー。ここで、「あ、じゃあ俺は…」と乗るのを辞退すればよかったのだが、言おうかどうか迷ってるうちに、グーとパーで二人と三人の2グループに分かれて乗り込むことになってしまった。冗談じゃない。まだ4人でいるからK君と話せるが、K君と二人きりになったら気まずすぎる、K君のことは嫌いではないが、カーストが違いすぎるのだ。話すことなんて何もない。ここは何としても三人グループのほうを引き当てなければならぬ。
 グーとパー、みんなはどちらを出すんだ。何としても、多いほうに入らなければ。

 期待するなっ…! 他人に…!
 自分だっ…! 自分…!
 自分を救うのは…自分だけ…!

「グーとパーで分かれましょ」
 結果、K君のみパーで、残りのオタクたちはグーだった。ある意味、順当に分かれたともいえる。
「じゃあ、じゃんけんで負けた人がK君と乗ろうか」
と山下が言った。自然と「負けた人」がK君と一緒にとしてるあたり、山下のサイコパスぶりが垣間見えた。そして、それを受け入れている皆も僕と同じ気持ちだったのだと察した。
「じゃんけんぽん!」
 結果、僕と佐藤が負けた。今考えれば、この時点で二人ずつに分かれたわけだから、この二人で組んでどちらかにK君を入れればいいのだが、当時は何故かその発想に至らなかった。ただ、負けたほうがK君と気まずい空間を過ごすという共通認識だけが4人の間にあった。
 そして、僕と佐藤がじゃんけん、これが最後の勝負、絶対に負けたくない。
 夢ならばどれほどよかっただろうか。雲一つない午後三時の太陽の下だった。

 佐藤の表情を見ると、自信がありそうに見えた。彼だって、絶対に負けられない戦いなのだ。いつも通りなら、ここで佐藤に勝てるはずがない。
 でも、その日の僕は違った。佐藤のじゃんけんの力について、ある噂をまた聞きしたのだ。「彼は相手の出す手をその瞬間に判別している」、と。つまり、ごくわずかな時間、後出ししているのだ。キンだかスジだか、専門的な用語でよくわからなかったが、相手の所作から分かるらしい。そんなことが可能なのかと思ったが、今までの経験を考えると、納得せざるを得ない。相手に感づかれないくらいの瞬く間に敵の出す手を判断し、咄嗟に勝てる手を出す。ものすごい洞察力だ。確かに、彼は周囲の人間の髪型の変化にすぐ気づくし、古典の先生(50歳)が教室に入ってきた瞬間、ノーブラであることをいち早く認知していた。彼の慧眼があれば、可能なのかもしれない。
 向上心のないものはばかだ、この言葉が僕の頭の中にこだました。これを逆手に取れば、勝てる。そう思った。

「じゃあ、じゃんけんしようか」
 佐藤が言った。瞬間、風が吹いた。風上に立っていた彼の髪の毛が逆立っていた。

 勝たなきゃゴミだっ…!

「じゃんけんぽん!」
 その刹那、僕はパーを出すふりをしてチョキを出した。彼の表情が一瞬、レモンを噛んだときのように強張った気がした。そう、もしその噂が本当ならば、最後の最後に手を替えれば勝てるはずなのだ。
 しかし、対戦結果はあいこだった。当たり前だ。パーを出すように見せかけたなら、相手はチョキを出すのだからこちらはグーを出さなければならない。自分のバカさ加減に衝撃を受けた。
「あいこでしょ!」
 ハッとしてるうちにもう次の勝負の音頭が始まっていた。ちょっと待って、という間もなく、何をどうフェイントを掛けたら勝てるのか、考える間もなく、すっかり憔悴しきった僕は、チュウニズムをやってる人みたいな動きをして、素直にグーを出した。アイムアルーザー、気づいた頃にはもう負けていた。

 決してK君のことは嫌いではない、でも気まずい、何を話したらいいのか、そんなことを心の中で思っていた。
 しかし、K君は優しかった。
「お前、もしかして観覧車怖いの? 俺も高いところ苦手なんだよね」
 僕みたいなカースト下位の人間と仲良くなっても何もいいことはないと思うのだが、彼は自然体で色々と話しかけてくれた。いつの間にか観覧車への恐怖心は消え彼とも打ち解けることができた。観覧車の頂上から受ける陽射しはまぶしかった。

 僕は勝手に、陰キャ特有の臆病な自尊心と尊大な羞恥心を覚えてK君に壁を感じていたが、誰とでも優しく楽しく接する、これが自然にできるのが、彼のリア充たる所以なのかと感じた。まさに、「脱帽」であった。
Kommentare (2)

Crims Duskychord

Alexander (Gaia)

どっぷり読み込んでしまった (*´Д`*)

テンポと言いバランスと言い素晴らしい作品(?)でした
(≧∇≦)b

Rin Carnation

Ridill (Gaia)

じゃんけんで熱く戦ったり、ビルの間の鉄骨を渡るような漫画があったら面白いな〜と思いました、今度ヤングマガジン持っていきます
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