当記事は、RPイベントのセッションを元に、
ストーリー風に物語を書き起こしたリプレイ兼、RPストーリーです。
苦手な方はご注意ください!
https://jp.finalfantasyxiv.com/lodestone/character/12662472/blog/4686470/参加者
■参加者様:
レバットロストバンサイリクまた、ver5.xシリーズのストーリー内容を含みますので、5.xパッチの上のストーリーが未プレイの場合はネタバレの可能性がございます、ご注意願います。
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クリスタリウムに夜が訪れる。
訪れた静寂――が、街は今華やいでいた。
今やそこは、英雄と光の巫女が齎した”希望の園”。
彷徨う階段亭に集う常連客の声も普段以上に明るい。
そこに、珍しい客が一人――ドワーフだった。
そのドワーフは不敵に笑うと、酔客から得た硬貨を握り、
得意げに話し始める。
「
……ああ、山だよ。グルグ火山みたいなでけえ山。そんくらい巨大な……ワームだった」
嘘か真か、ドワーフ族の話は酔客の興味を掻き立て、酔客はさらにもう一枚硬貨を渡した。
「まだ足りない? ふひひ、欲深だね旦那様?」
それじゃあ……そうだな、とドワーフは首を傾けて話し始める。
「名は伏せるが、腕の立つ傭兵だよ。面白いことに、そいつには小さな妖精のオトモダチがいてな――」
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袋一杯のコーヒークッキーはあっという間になくなった。
私は人の波をかき分けていくように、彷徨う階段亭を目指した。
「わっちゃー、人間がウジ虫みてーにうじゃうじゃいやがる」
頭上からユル=ケンが見下ろすように言う。
ふふ、ユル=ケンは面白い例えをするなぁ。
「光の巫女様が若者を集めてお祭りをやるんだって」
「へぇ」
随分と興味なさげにユル=ケンは返事をした。
妖精はお祭り好きだと聞いていたけど、ユル=ケンは違うのかな?
しかし、この活気。
全く信じられない、人が止め処なく動いている。
少し前までは、あの終わらない日差しが――このクリスタリウムでもさえも――制止させていたようだったのに。
私は流れゆく人々を目で追う――と、クッキーの袋をもうひとつ開けた。
「まだ食うのかよ」
ユル=ケンが言った。
「お腹が空いちゃって」
私はクッキーの味と香りと食感を存分に味わないながら、階段亭を目指す。
私は今迄に、傲慢。強欲。嫉妬。
三体の”七罪”を倒してきた。
でも、まだ、足りない。
満腹になるには、まだまだ全然足りなかった。
「はんっ、人間ってのは浅ましい生き物だね」
「ふふ」
でもね、ユル=ケン。
今度の罪喰いは、人間以上かもしれないよ。
私は、階段亭を仲介して請け負った依頼書を眺めた。
だってね、その罪喰いは。
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「暴食編」
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階段を上り、周囲を見渡す。
「おや……」
客席には見知った顔がいくつかあった。
「……お前か」
すっぽりと顔を覆うフードを身に着けているのは、ロストバン。
「……あれ」
きちんと話すのは初めてだと思うが、幾つかの依頼で見かけた同族。
「よう! おそろいで!」
すると、聞き覚えのある声がした。
そこには、私を幾度も助けてくれた、山を下りた”髭なしのドワーフ”、レバットの姿があった。
「やあ、レバット!」
私は彼に挨拶した。
「ロストバンも」
二人とも、『強欲』の罪喰いを倒した時以来だ。
あの時も大騒ぎだったけど、こうして再会できるとは、数奇な物を感じる。
ふふ、仕事が無ければ折角だ、お茶でもご一緒したいところだけど。
「あれ、レバットじゃん」
と、先ほど見かけたドランの子がレバットに親し気に挨拶した。
「よう! 久しぶりだなぁ」
レバットもウインクで返す。
「お知り合いかい?」
私は二人を見比べた。
――レバットの旧知にロストバンまでいるのだ。
私はもしや、と思い。
「私は罪喰いの依頼書の件でクリスタリウムまでね」
と話を切り出した。
「ふひひ、どんなんか見せておくれよ」
レバットがせがむので私は持っていた依頼書を手渡した。
「どれどれ……」
まじまじと依頼書を眺めるレバット。
「私はその依頼書を見て来た」
ロストバンが言う。 夜の民として見捨ておけないといったところか。
「ふふ、ロストバンはそうだと思ったよ。 そして……あなたも?」
私は同族の剣士らしき人物に尋ねる。
そのドランも依頼のため参じたのだっといった。
「よろしくね。僕はサイリク」
サイリクが会釈する。
どこかの任務で一緒になったことはある筈だがこうして改めて話すのは初めてだ。
「ラケティカの夜の民、ロストバンと言う」
ロストバンもアジントタ、と夜の民の挨拶をサイリクに行った。
私も彼と一緒に自己紹介をする。
そうして一通り顔通しをしたところで、私は再度切り出した。
「――新たな”七罪”の情報を知る旅人がクリスタリウムにいるらしい」
七罪。
強力な七体のはぐれ罪喰いの事だ。
「しかも、相当物騒な場所で目撃されたとの事でね」
仲介してくれたグリナードの話が本当なら、その『暴食』が現れた場所は、俄かには信じがたい所だった。
だから、今日はその人物に詳細な話を聞く事になっている。
「じゃあ、これで全部……って事かな」
とレバットが言った。
と言うことは、レバットも依頼に参加する、ということか。
だが、まだ肝心の”旅人”の姿が見えていない。
私が、掴みかねていると、その様子を見たレバットが笑った。
「ふひひひ、生憎、その"情報を知る旅人"ってぇのはオイラの事だ」
「おや」
「そうか……やっぱり旦那が来てくれたか。よかったぜ。安心した」
レバットが私を見てニンマリとする。
(……)
その顔は、どこか普段と違って見えた。
「へぇ~。レバットが…」
サイリクが興味深げに彼を見る。
ロストバンは訝し気に
「また禄でもない儲け話か」
とレバットに尋ねた。
『強欲』の時に懲りたのではないのか、と。
だが、普段のレバットなら笑ってはぐらかすか、逆に胸を張って「おぜぜの為に!」と主張するところだったが、今日の彼は少し違う。
「ふひひ、ところがどっこい、今回はオイラが依頼主だ。残念ながらオイラの儲けにゃならねぇ」
ドワーフの背丈では、必然とロストバンのフードの中を覗き込む形になる。
レバットはウインクして、視線でロストバンに返答して見せた。
え?そうなの? とサイリクも不思議そうな顔をする。
事情を量り兼ねる我々を見てか、レバットは従業員のメイ・タッチに手を振った。
「おう、まあ座っとくれ。ちょいと長い話になる」
レバットは彼には高い椅子によじ登った。
私達にも着席を促すと、やってきたメイ・タッチに、人数分のエールを注文する。
私達は促されるままに席に着いた。
ロストバンは、まだ疑い深い目でレバットを見ている。
「……やっぱりクリスタリウムはケツの座りがわりぃな。どれもこれも家具がでけえ」
若干、心地悪そうにして、レバットは何度も座る位置を変えていた。
レイクランドにドワーフの往来が増えたといえ、彼らの姿はクリスタリウムで見かけることは稀だった。
調度品は当然の如く、ドワーフが使いやすいようには出来てない。
「レバットが儲け話じゃないなんて珍しいじゃん」
彼の性格をよく知っているのか、興味深そうにサイリクが言った。
私も同意ではあった。
(レバットが、罪喰いの討伐の依頼を……?)
どういう事だろう、私の中で彼と罪喰いがうまく結びつかず、推論もたたない。
怪しい儲け話に乗せられた、という方がまだわかるが――彼の様子を見るとそうには思えなかった。
彼の瞳には、罪喰い狩り特有の決意がある気がした。
――私がそうだから、というだけだが。
レバットは少し躊躇うようにして座り直したあと、私達全員を見上げた。
「まずは、集まってくれて礼をいう……さっそくだが『暴食』ってぇ名のはぐれ罪喰いの話は、聞いた事があるかい?」
「ぼう…しょく?」とサイリクが聞き返した。
「聞いたことはないが…名から察するに、森に現れた罪喰いと同等の力を持つ者か」
ロストバンが言った。
レバットが頷く。
『暴食』。
それが”七罪”の名だった。
――随分前にあった目撃情報なら、私も知っていた。
その事をレバットに伝えると、彼は「聞かせてもらっていいかい?」と真剣な顔をして言った。
『暴食』は一度だけレイクランドを襲撃していた。
”七罪”の名を世に知らしめた事件――はぐれ罪喰いとしてバラバラに行動していた七体が、まるで呼応するかのようにして集まった時の事だった。
「分かっているのは、巨体を持ちながら空を舞うこと」
かなり大型の個体だと聞いている、その上、空迄飛ぶ。
「『暴食』を見たものは多かったと聞く。 だが、その詳細な姿を記した記録は残っていない」
なぜなら、見たものは”皆食われたから”だ。
飛び抜けて大食いで、凶暴な罪喰いということである。
しかし、それでも尚――『暴食』には一つの伝承が残っていた。
大食いで、凶暴であること以上に。
その罪喰いを『暴食』たらしめるもの。
「その最大の特徴は……自分と同じ、罪喰いを食うことだ」――罪喰いを喰う、罪喰い。
それが『暴食』だった。