竜詩戦争も終わったことだし、亡命仲間のアルフィノとタタルに付いて感じるところを書いておこうと思う。
新生エオルゼアが何処のチョコボの骨とも知れぬ冒険者が光の戦士として覚醒し、エオルゼアの英雄となっていく物語であるとするなら、その後の第七星歴ストーリーおよび蒼天のイシュガルドは、一度は英雄となった冒険者の失墜と復権の物語であると言えよう。
イシュガルドに流れ着いた時、冒険者の傍らにはアルフィノという名のエレゼンの少年とタタルという名のララフェルの女性が居た。彼らにとっても第七星歴ストーリーと蒼天のイシュガルドは挫折と復活の物語であると言える。それぞれの状況には多少の温度差があったにせよ、いずれも当人達にとっては至って深刻な問題だった。
アルフィノは英雄となった冒険者と肩を並べて立つために、冒険者や暁の血盟が持たなかった群としての力を求めた。しかし彼のエオルゼアの守護者たろうとする理想は、それを利用しようとした老獪な大人達の手酷い裏切りによって瓦解してしまう。
最終的に彼は組織を御しきれなかった原因を己の未熟に見出し、より小規模な形で出直すと同時に個としての力も求めるに至る。つい先日には護衛の隙を突いた異端者に襲撃され半泣きになっていたような人間が、気が付けば異端者が飼っているクマの奇襲を受けても単独で返り討ちにし、やがてはイシュガルドの誇る最精鋭たる蒼天騎士を衆人環視の元でボコボコにして張り倒し、仕舞いには1000年分もの怨念に塗れた(ぴー)ズヘッグの目玉を素手で鷲掴みにして抉り出すのだから、成長期というものは恐ろしい(シナリオの重要なネタバレになるので一応伏せ字にしておきました)。
ていうか蒼天騎士のグリノーとポールクラン(趣味は決闘裁判)はあんなぽっと出の坊やに負けておいて恥ずかしくないの? 何なの、彼の編み出した召喚獣カーバンクル・ルビーとかオブシダンとかって、実は伝説のポケモンか何かなの?
イシュガルドでの冒険、特にキャンプ・ドラゴンヘッドの守備隊長である銀剣のオルシュファン・異端者達の指導者であった氷の巫女イゼル・当代の蒼の竜騎士である屠龍のエスティニアンとの交流は、彼に仲間と共に歩むこと・広い視野をもって物事を見ること・強い意思の力でもって己の決断を押し通すことを教えた。彼にその自覚はまだ無いが、これらは英雄と呼ばれる者に必須となる素養である。
今はまだ仲間達と力を合わせてもたった1人を救うので精一杯だけれども、その1人とは1000年続いた竜詩戦争を終わらせイシュガルドの民を終わりのない戦いの連鎖から救った神殿騎士団長アイメリクをして、何をどうしても救うことが出来なかった1人でもある。アルフィノは英雄の背を追う内に、自身も着実に英雄の器として成長している。
一方でタタルはと言うと、彼女も己の無力に忸怩たる思いを抱いていたという点でアルフィノの同類であった。尤も彼女は組織としては勿論、個人としてもアルフィノよりもずっと無力であったし、彼女が見ていたのは冒険者(だけ)では無くてミンフィリア(や暁の血盟の賢人)達であったという点は異なる。
当初のタタルは暁の血盟の拠点の受付嬢として働く傍ら、組織の厳しい財政状況を何とかするべく独自に内職を始めようとしていた。採掘士であったミンフィリアに倣って鉱石の採掘に行けばモルボルに襲われ、鉱石掘りの道が容易では無いことを知る。
次いで暁の血盟の人手不足を憂いた彼女は、直接的な戦闘力を身に付けることでその一助となるべく巴術士を志すも、記録的な早さで召喚に成功したカーバンクルがこれまた記録的な速さで敵前逃亡。適性があるのか無いのかどっちなんだ。流石にこれには冒険者も苦笑いである。
結局のところ彼女の憧れる英雄達の真似事は出来そうに無いということで、彼女は彼女に出来ることを模索するようになる。コスタ・デル・ソルの浜辺で別れる時、冒険者はいつまでもタタルを見送っていたりしないでさっさと背を向けてしまう。これはタタルの目指すべき方向が冒険者のそれとは明確に異なるということであり、また冒険者がタタルの行く末を心配していないということの現れでもある。
話の舞台がイシュガルドに移った後のタタルの活躍は地味でありながらも目覚ましいものだ。彼女は情報収集のためイシュガルドの下町にある酒場で給仕のアルバイトを始めるのだが、仕事の合間に作った賄いが好評だったことから料理も手掛けるようになり、酒場の客経由で知り合った老婆から裁縫を教わり、自作のメイド服でもって名実共に看板娘として定着し、踊り子(フ・ラミン直伝)までこなして客から情報と貢ぎ物を巻き上げるのだ。才能の塊ではないか。
彼女のコミュニケーション能力と生産職適性・それらに裏打ちされた冒険者達へのサポート能力は圧倒的であり、タタルの献身無くして冒険者達の成功は無かったと言って良いだろう。とりわけ意味不明なデザインの腋出し衣装で妹とペアルックという罰ゲームを長年強いられていたアルフィノにまともなデザインの防寒コートを渡して凍死の危機から救ったことは、未来の英雄の運命を変えたと言っても過言では無い。
彼らは冒険者のような神に選ばれし勇者の類では無いが、それぞれがそれぞれの戦いを己の力で征してきており、とても好ましく映る。その物語には電波展開が無いとも言う。
このゲームはそういった本筋から外れたサイドストーリーの数々も見応えがあって面白く、だからこそゆっくりじっくりと、色々考えながら話を進めていきたいと思う。あと、詩学以外のトークンとか集めるの面倒臭いし…。
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