力を求めていた。
しかし配られた配役はその想いとは余りに掛け離れていた。
何者にも劣らず、何者からも干渉される事のない絶対の力を求めていた私には、記憶と呼べるものが存在していない。
故に力に固執する以外自己を定義する事が出来ずにいた。
だが実際私が手にしているのは幻具と呼ばれる癒しの力を操る魔具。
敵対する者を薙ぎ倒す力ではなく、傷付き倒れた者を奮い立たせる力だ。
理想と現実とは常に掛け離れているものであるが、私はその事実を受け入れる事が出来ないでいた。
私の事を指し人々は「光の戦士」と讃える。
だがそれは本当に私を現したものだろうか。
記憶のない私にとって、その言葉は余りにも他人事である。
仮にそうだとして、癒すことしか知らない私にその異名は重荷でしかない。
周囲の期待に応える為、大したことのない攻撃を幾度も繰り返すばかりだ。
そしてその時は直ぐにやってきた。
己の力の限界を迎えたのである。
癒し手としての力は日に日に増してはいるものの、傷付ける破壊の力は成長の兆しを見せることはない。
魔物の巣食う迷宮に挑むには、余りにも無力なのだ。
そうして私は、ある一人の歴戦の覇者に声をかけた。
華奢なミコッテの体躯には不釣り合いな巨大な斧を手に先陣を切る彼女こそ、私が本来望んだ姿の様な気がしたのだ。
彼女はかつての仲間達と築いた「帰る場所」を一人守っていた。
戻る事のない者達との想いと共に。
マスターピース、即ち目覚ましい偉業の意味を持つフリーカンパニーに新たに所属する第一号となったのだ。
そうして彼女の元に、数々の仲間達が集い始めた。
種族も力も様々な彼等は、いつの間にか古株の位置付けとなっていた私を面白半分か、或いは本心かはわからないが師と呼ぶ様になっていた。
知識も力も未熟な私にとって、光の戦士と同じぐらいに不釣り合いな称号だ。
力を求める私は己の資質に絶望すら覚えたものだが、彼等と共に行く数多くの戦場を通じ、いつしかその在り方が変わりつつあった。
「先生、あのダンジョン手伝ってください!」
何かを傷付ける力ではなく、彼等を護る力を、私は今日も追い求めている。
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