Charakter

Charakter

  • 1

クレイモア秘話

Öffentlich
「こんにちは! なぜそんな格好をしているんです?」

挨拶もそこそこに、質問をしてきたミコッテ族の女の子の顔に、見覚えは無かった。

所属しているフリーカンパニーは大所帯で、毎月人が増えたり減ったり忙しい。挨拶どころか顔を見たことが無い者もいるはずだ。
このミコッテ族の子も、そんな内の1人だろうか。
いかにも駆け出しという感じがする。キラキラした瞳、ツヤツヤの皮装備、頭の上に若い葉っぱでも生えていそうだ。


ーーさて、彼女の質問に答えるかどうか。
見ず知らずの相手から、突然で遠慮無い質問だ。答える義理は無く、やんわりと断っても構わないだろう。
聞きたい気持ちは分かるけど。
自分でも目立つな、と思っているし。
しかし、この格好にはちゃんと理由があるのだ。
ちゃんと理由が、あるのだ。

とても大切なーーーー




私の出身はアラミゴ地方の田舎で、小さな集落だ。
そこで家族と慎ましく暮らしていたーー20年前、アラミゴが陥落するまでは。
子どもだった私にとって、家族みんな無事で、一緒に逃げられたのは不幸中の幸いと言えるだろう。
ウルダハ周辺を転々としながら、なんとか毎日を過ごしていたのだけれど、生活はいつまで経っても上向きにならず先細り。
そして霊災がトドメとなり、生活はいよいよ苦しくなり、先が見えなくなってしまった。



私は、家族と離れる事を決意した。
現状を打開できればという淡い期待で、飛び出したようなものだったけれど。
しかしなんとその思い切りが良かったのか、偶然にもウルダハで、ゴールドソーサーのスタッフ募集を見つけることができたのだ。
すぐさま飛びつき、幸運にも採用となった。
そこで働く毎日は、張りのある日々だった。
酒に酔って怒鳴る客を静かになるまで「説得」したり、イカサマを仕掛けていた悪い客を外まで「ご案内」したり。
嫌な思いをした事もあったけれど、仲間はみんな優しく、いつだって楽しい場所。
家族との手紙のやりとりや、仕送りも順調だった。ようやく生活に余裕が出始めた。


ある時、私はイカサマに手を貸した、という嫌疑をかけられる。施設の利用者から密告があったのだという。
勤めて数年、培った信頼もあり、初めは「何を馬鹿な」という反応だった。しかし、見たことも無い証拠や覚えのないアリバイが次々と出始め、次第に空気が変わっていくのを感じた。
そもそも、周到に用意された罠に対して、こちらは気にも留めなかった日々の記憶くらいしか武器が無い。当然、おぼろげな証言しか出てこなかった。
同じエリアで、ずっと一緒に働いていた仲間達は最後まで疑わずにいてくれたけれど、結果的に私は退職に追い込まれてしまったのだった。
ーーーー後からの調べで、それは私が「接客」した成金商人と冒険者くずれの仕掛けた罠だと判明する。



悔しくて家族には話せなかった。
家族のもとへ帰る事も出来ず、なんとなくウルダハに向かって歩いていた。
半ば何も考えずに、出会った人に手を貸したりくだらないトラブルに巻き込まれたりしていた気がする。
そこで冒険者になる事を勧められたのだ。


そうして私は、ウルダハで冒険者となった。
その後は、冒険者の名に恥じぬ、活躍っぷりだったと自分でも思う。
がむしゃらに依頼をこなして、こなして、こなして。
冒険して、冒険して、冒険して。
戦って、戦って、戦って。
この頃は特に振り返る間もなく、突き進んでいた気がする。


さて、ようやく本題、と言うべきか。
私は暁の血盟に参加して、あちこちで蛮神討滅に従事していた腕を買ってもらい、”十二賢者の行進”にも参加していた。
あの事件以来、暁の名誉が挽回されるまで、わたしはクルザスにあるとある集落に身を潜めていた。冒険の途中で親しくなった狩人が暮らす集落だった。
ある日、その狩人が私に小包を渡してきた。

ーーこれは?
ーー贈り物? 祭日でもないのに?
ーー誰から? ……なんで笑ってるんだ?

小包を開けてみると、中身は見覚えのある、懐かしいコスチュームだった。
手紙やメッセージなど無く、ただMGPが1ポイントだけ添えられていて、私はそれだけで送り主と、そのあたたかな思いやりが察せられた。
自分の現状をどこから知ったのか、どうやって場所を突き止めたのか、どうしてそこまでしてくれるのか。
疑問と嬉しさと寂しさがないまぜになり、私は一晩中泣き明かした。



翌朝、私はコスチュームを武具に投影し、身に纏って出立の準備をした。
結論、あの場所には戻らないと決めていた。
大切な思い出の場所であるからこそ、今の自分にはふさわしく無いと思った。冒険をするうちに、私はたくさんのものを背負う事になっていて、それらを降ろして帰るには、しのびない。
だからせめて、彼らの思いには応えよう。

私が冒険者として名を上げるほどに、この外見は人の目に留まるだろう。
きっといつか、私の活躍を口の端に上げる者が、あの場所に訪れるだろう。
それが私の応え。

ありがとう。
私は元気にしているとも。






ーーーーと、いう話を聞かせてあげたい気持ちは無いわけではないのだけれど。
あえて話さない。
それよりも私の事を軽く印象付けて、誰かに話したくなるようにしたい。
実のところ、こういうことは初めてでは無く、いつの間にか定着した答えができていた。

不敵に鼻で笑い、胸を張って、腰に手を当て、ただ一言。




「ーーーー趣味だ!」
Kommentare (1)

Mugino Bi

Tonberry [Elemental]

φ(・ω・)趣味…っと。
Kommentar verfassen

Community-Pinnwand

Neueste Aktivitäten

Die Anzahl der anzuzeigenden Einträge kann verringert werden.
※ Aktivitäten, die Ranglisten betreffen, werden auf allen Welten geteilt.
※ Aktivitäten zur Grüdung von PvP-Teams können nicht nach Sprache gefiltert werden.
※ Aktivitäten deiner Freien Gesellschaft können nicht nach Sprache gefiltert werden.

Nach Art des Eintrags sortiert
Datenzentrum / Stammwelt
Sprache
Anzahl