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弔風のカトレア第三十四話「グリダニアの英傑」

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黒衣森の奥深くクォーリーミルから南へ進んだところにある古城アムダプール。
長い間精霊たちによって秘匿されていたこの土地に、深紅の異装に身を包んだエレゼン族の男が一人現れた。

グリダニアの冒険者ギルドから古城アムダプールに居座ったカルト集団「最後の群民」の教徒を追い払うよう依頼を受けた彼は、単身で数十人の教徒たちを相手取り、血の一滴も流させずに制圧して見せた。

我先にと部下を置いて逃げて行った「最後の群民」の幹部から偽善者と罵られたがそんなことは百も承知である。

必要が無ければ命を奪わない。彼はこれを信条としている。

もう五年も前の出来事であるカルテノー平原の戦い。
その最前線で彼は杖を振るっていた。
何人も殺されたし、何人も殺した。あんなことはできるだけやらないほうがいいに決まってる。

グリダニアの隅っこ、小さなカルト集団とのいざこざが何のきっかけで大陸全土を巻き込む大戦争に発展するかなんてわからない。

多くの人はありえないと笑うだろうが、可能性は決してゼロではない。
彼はそれを心底恐れている。

もし、そうなってしまったら。あの時こうしておけばなんて後悔しても遅い。

帝国との戦争だってそうだ。
きっと始まりは小さな争いと驕り。それがカルテノーの戦い、そして忌まわしき第七霊災に繋がった。

燃え盛る世界で、仲間たちが死んでいくのをただ見つめていた。
助けるために、救うために学んだ癒し手として回復魔法。

あの地獄の光の前では、そんな物は何の役にも立たなかった。

たった一撃で人間が蒸発する。
瀕死の体でも生きてさえすれば救う余地はあった。
だが、目の前で繰り広げられていたものはそんな希望など悉く打ち砕く惨劇。

さっきまで肩を並べていた友が消えた。
さっきまでいがみ合っていた敵も消えた。

癒す救うなんてものが入る隙間はどこにもなかった。

彼自身がこうして生きているのも、たまたまあの光に焼かれなかったからでしかない。
彼はそれを知っている。

故に、彼は甘いだの偽善だのと罵られても、より大きな種が蒔かれることがないように、杖から持ち替えた細剣を振るっているのだ。

彼が古城に潜む残党がいないことを確認し終えた頃、彼を訪ねてヒューラン・ミッドランダー族の少女が一人古城へやってきた。

「お師匠様。お疲れ様です」

「スフレ?なんでお前がここに」

「ミューヌさんから頼まれて、お師匠様に緊急の要件を伝えに参りました・・・・・・これを」

スフレから封筒を受け取り差出人の名を確認すると。そこにはカヌエ・センナと記されていた。

「・・・・・・カヌエ様から?」

手紙を読む。

そこに書かれた内容はこうだ。

三国と暁の血盟の同盟軍が近いうちに、帝国軍の要塞に攻撃を仕掛ける。
その主要部隊の一つとして、光の戦士アルビオン・ルーチェ率いる冒険者部隊を結成することとなった。
冒険者部隊のメンバーは少数精鋭の八人で、そのうち六人は光の戦士の協力者である。
残りの二人を三国の冒険者ギルドに所属する腕利きから志願者を募っているところであるが、とある人物がこの俺スカーレット・ローゼリアを推薦したらしい。

その話を聞きつけたカヌエ様が直々に、是非とも部隊に参加し、このエオルゼアのために戦ってほしいと言ってきているわけである。

「・・・・・・面倒ごとを。俺を推薦したのは、どこのどいつだ」

「私は何も聞いていませんので、それはミューヌさんかカヌエ様に直接伺うのがよろしいかと」

「はぁ・・・・・・一先ず、グリダニアに戻るとしよう。返答はその間に考える」

「はい。古城の外にチョコボを待機させています。それを使ってください」

「相変わらず準備がいいな。行こう」

古城出た彼らはそれぞれチョコボに跨り、グリダニアへの道を急いだ。

翌日。

グリダニアの冒険者ギルドから、暁の血盟経由でアルビオンたちに冒険者部隊に参加する二人、スカーレット・ローゼリアとスフレ・シャーロットの名が伝えられた。
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