目次はこちらガレマール帝国皇都ガレマルド、
パラメキア諜報機関。
その作戦部14課へもたらされた報は幹部達の耳目を引いた。
「異端審問局が事実上の機能停止、か、、」課長を務める男が言った。
「ええ、他の担当官からも異端審問官からの監視が滞っているとの報告が複数上がっております」
「さすがは彼女といったところかな」
「ですね、、ここは思い切って動くべきではありませんか」
「まぁ待て。対イシュガルド外交にも影響することだ。部長の判断をいただかねばならん」
パラメキア諜報機関、作戦部長室。
「長官とも話したが、諜報網の拡充自体は賛同しておられる」部長室の奥の席に座る作戦部長が言った。
課長は問い返した。「賛同しておられないのは?」
「アイメリクに対する積極工作だ。あまりに話がうまく行き過ぎているのを危惧しておられる。
アラグの秘術を探る任務で送り込んだら神殿騎士団幹部の愛人に収まった、、これはまだいい。
その幹部が神殿騎士団総長に就任したら彼女自身が神殿騎士団幹部にのし上がった、、あの報告を聞いた時は長官も私も空いた口が塞がらなかったぞ」
「私もさすがに驚きましたが、しかし、好機を逃すわけにもいきますまい。
私らが怖気づいて彼女を引き揚げていたら部長は納得していましたか?」
「、、、いや」
「戸惑っているのは私とて同じです。まさかアイメリクが実父の教皇を消してその事実上の後継に収まるとは、、」
「彼女はそんなことをアイメリクに勧めたのか?」
「報告によれば権力獲得の使嗾はしたがまさかここまでやるとは想定外とのことです」
「彼女も彼女だが、アイメリクは我等の予測を遥かに超えてくる男らしいな、、一番エージェントにしたくないタイプだよ」
「アイメリクを排除しますか?」
「、、、得策ではないとわかって聞いてるんだろうね?」
「はい。現状でもイシュガルドの政局がどう動くか全く読めません。
そんな時にアイメリク排除はさらに混迷を深めるでしょう。我等は動きづらくなるだけです」
「となると、我等がまず為すべきは、、」
「今は諜報網拡充に専念すべきと考えます」
「地味だが、それしかないだろうな、、異端審問局に対してはどう対応する?」
「アイメリクがこの先異端審問局に対しどういった方針を採るかまだわかりませんが、このまま連中が眠ったままでいてくれると考えるのは危険です。むしろ、暴発を危惧すべきかと」
「異端審問局の者達が新政権に対し手柄と力をアピールしたいと考えるのはおかしな話ではないからな」
「問題は、そのアピールをどう行うかですが、、」
「アイメリクに反旗を翻してくれれば都合がいいんだが、、その可能性、あると思うか」
「異端審問局にはそこまでの胆力あるリーダーはいないようです」
「となると、アイメリクに媚を売るしかない、、そのためには、、」
「何か手柄を立てるのが近道でしょうな、、問題は、何を相手にしてか、ですが」
「一番の可能性はドラゴン族だろうが、もう一つの可能性を考慮せねばならん、ということだな」
「われらがガレマール帝国、、、」
「とは言っても連中がはるばる此処ガレマルドや他の属州にすぐに来る可能性はまずない。
標的とするなら、イシュガルド国内の、我が方の諜報員やエージェント、だな」
「ですな、、しかし、今すぐ全員引き揚げさせるわけにもいかんのでしょう?」
「これまで構築した諜報網を放棄はできん。まして、すぐに拡充しろと言われている今の状況ではな」
「陛下からの命令ですか?」
「いや、政務官連中がうるさくてな、、事態の急変に皆慌てふためいている。
何でもいいから情報を取ってこい、というわけだ」
「以前は連中、イシュガルドを刺激しないよう諜報網も必要最低限にしろ、って言ってませんでしたか?」
「自らの言葉に責任を負えるようなご立派な方は帝国では偉くなれんよ」
「そうでしたな」課長は乾いた笑いを浮かべた。「で、どうします?
何もしないわけにもいかないのでしょう?」
「さしあたっては諜報網拡充を最優先としよう。ただし、ゆっくりではなく、急いでな」
「急いては事を仕損じますよ?」
「だろうな」
「?」
「そこのところは政務官連中に対し長官から念を押していただく。
後で我等の責任にされてはたまったものではない」
「ですな、、」課長は一呼吸置いて、続けた。「担当官を増員しますか?」
「いや、エージェント増員で行きたまえ。本当に暴発した場合の被害は最小限にしたい。
追加の資金は部の費用から出す」
「彼女には何か具体的注文はありますか」
「異端審問局は今は様子見でいいが、何か動きがあったら報告するように。
あとは、状況報告だけでよかろう。というか、今はそれ以上させてはならん。
ここまで政権に食い込んだ者を失うリスクを冒すべきでない」
「承知しました」席を立とうとしつつ課長が言った。「前長官が御存命ならば、彼女の活躍を喜んだでしょうね」
「どうだろうな、、養子とはいえ、娘さんに情愛をかけているお方だったからな。
心配で眠れなくなったかもしれんよ」
「ふふ、なるほど」
次回に続く、、、。
~あとがき~Zum Anzeigen klicken Zum Verbergen klicken
本部のお偉いさん連中は諜報員というよりデスクワークメインの管理職のイメージで書きました。