「その後のガレマルド」目次&登場人物紹介セナトゥス駅。地下、政務官執務スペース。「政務官、先生と捜査官の方々をお連れしました」
「ご苦労。寒かっただろう。下がって休んでくれ」「はっ」
Sound
Only「お初にお目にかかります政務官」そう言って主任は自分とリッキウス捜査官を紹介した。
Sound
Only先生が尋ねた。「主任は政務官とは初対面かね?」Sound
Only「ええ。主任捜査官が政務官と話す機会などまずありませんから」
「確かにそうかもしれんが、
全政務官含め帝国の高官でその存在を知らん者はいなかったぞ」Sound
Only「一介の主任捜査官の私をですか?」
「主任は有名人ですから」
「ヴァリス帝肝煎りの汚職捜査の第一人者、、
狙われたが最後逃げられない、、官界では悪魔、怪物、と恐れられていたからな、、。
汚職撲滅に従事する検事達ですら頼りにする以上に畏怖していたくらいだぞ」Sound
Only「あまり人間扱いされてないようですな」
「私は単に堅物捜査官と聞いていたんだが、、、」Sound
Only「それが最も正鵠を得た人物評でしょうな」Sound
Only「光栄です」
「その堅物の、、ええと、、」Sound
Only「どうなさいました?」
「なんと呼べばいいのかね、その、主任捜査官殿の名は、あまりに長いのでな、、」Sound
Only「主任で結構。上司も部下も同僚も皆そう呼んでいましたので」
Sound
Only先生が補足した。「彼は名前を短縮されるのを嫌うんです。
それよりは肩書のほうがましというわけですよ」「はあ、、なるほど、、」「主任は先生にすら名前の短縮を認めませんから」
「その主任殿に、今のクガネ大使館の状況を聞きたいのだが、、」Sound
Only「わかりました。
ですがその前に、ガレアン・コミュニティとしてはどこまでご存知でしょうか。大使館の状況について」
「実のところ、ガレアン・コミュニティを認めていないことと、
職員の多くが逃げたことくらいしか、な、、」Sound
Only「では、ヴァリス陛下崩御の直後から話しましょう」
主任はヴァリス帝急死後の大使の対応から話し始めた。「彼も仕事は真っ当にしていたのだな、、」Sound
Only「ええ、、。ですが、今は人が変わってしまわれた、、」
「それはラザハンからも聞いていた。
故にラザハン大使館に利益代表を頼むことにしたのだが、
彼に対する配慮が足りなかったかもしれんな、、」「懸命に働いたが故に心が壊れたか、、」「愛人に怒鳴り込まれるまではまだ持ちこたえてたんですけどねー」
政務官たちの姿勢がぐらりと傾いた。「なんだと?!」Sound
Only「ヴァリス陛下崩御後、本国から給与も届かなくなってからの事ですが、大使殿の愛人が大使館に乗り込んできまして、、」
「手当が滞ったって文句言いに」
「大使館に乗り込むとは、、衛兵は何をしていたんだ?!」「一人は愛人のアッパーパンチで戦闘不能。
もう一人は立ったまま気絶してて愛人素通し」
「なぜそうなる?!」Sound
Only「空腹のためです。本国から給与も食料その他物資も届かないので、、」
「、、、」政務官達は空いた口が塞がらなかった。「主任は止めようとしたんですよ?」
「止めようとした、、ということは、、主任も空腹でダメだった、のかね?」Sound
Only「いえ。
我々ウィギレス職員は情報担当官・・即ちパラメキア諜報機関クガネ支部長・・の指揮下にいましたので、給与はそちらから出ていました。
ですので空腹ではありませんでしたが、上司たる支部長に止められまして、、」
「なぜ、、」「僕らも支部長に聞きましたけど、放っとけの一点張りで」
「それは職務怠慢ではないのか?!」Sound
Only「我々もそれは考えましたが、部下の身ではどうにもならず」
「その後はどうなったんだ??」「愛人が暴れ疲れてから、支部長が直接話して、去っていきましたよ」
「ならいいが、、いやよくないぞ!クガネ当局に訴えて捕まえるべきだろう!」Sound
Only「それは大使が止めました。帝国の恥を公表することになると」
「奴個人の恥だろう?!?!」Sound
Only「ガレマール帝国特命全権大使、の恥、です。
それは確かに帝国の威信を傷つけることになるでしょう」
「確かに、それは、そうだな、、」「、、、それで、奴は完全に壊れた、というのか、、」「大使だけじゃありません。
他の職員もこんな大使についてけないって思ったみたいで、、多くはロクス・アモエヌスに行っちゃいましたよ」
「それは職場放棄ではないのか、、もう責めるのもばかばかしくなってきたが、、」Sound
Only「支部長が目をかけていた職員は留まるよう個別に説得していました。
今思えば、大使館をパラメキア諜報機関クガネ支部の完全支配下に置くつもりだったのでしょう」
「以前から事実上クガネ支部が主で大使館はその隠れ蓑って言われてましたけどね」
「ラザハンからはこんな話は聞かなかったが、、箝口令が徹底していたのか、
あるいは彼らが我々には伝えなかったか、、」Sound
Only「前者でしょう。支部長は大使館を去る職員に旅費だけでなく餞別すら与えていましたが、この騒ぎの件の口止めだけは徹底していました」
「漏らしたらパラメキア諜報機関の工作官が殺りに来る、ってね」
「無茶苦茶だな、、、もう大使館の体を成しておらんぞ、、」Sound
Only「最低限の体裁を保つつもりはあるようです。だからこその箝口令なのでしょう。
それすら守れなくなると外交特権が認められなくなる可能性がありますから」
「その外交特権は、我等ガレアン・コミュニティの在外公館としてではなく、
ガレマール帝国の、か?」Sound
Only「ええ」
「もう帝国としては存在し得ないというのに、、なぜ、、」「支部長はクガネで独立勢力として生き残るつもりなんです」
「?!?!」Sound
Only「元々パラメキア諜報機関クガネ支部はクガネを拠点にひんがしの国への影響力を増すことが任務としてありました。
実際、クガネ奉行所やひんがしの国の上層部の連中は支部長の薬籠中にあります」
「それを今でも続けているというのか、、」「でも、帝国がダメになっちゃって、本国からの活動資金もなくなって、当然お偉いさんたちも掌返しが当たり前に」
「それはそうだろう」「そこで支部長、諜報員を使って色々活動して、ひんがしの国への影響力の回復にかかったんです」
「?!どうやって、、、」Sound
Only「さすがにそれを支部長に尋ねる度胸は我々にはありません」
「、、あまり真っ当な方法ではなさそうだな、、」「真っ当なビジネスもありますよ。弟さんが運送業やってて」
「弟?」Sound
Only「支部長の弟さんは軍の補給将校なのですが、チャーター便専用の運送業をしているんです。支部長の人脈でクガネの大店やひんがしの国の要人が顧客になっているそうで。
我々がここへ来る際もお世話になりました」
「なんと、、」「支部長が裏のビジネスを、弟さんが表のビジネスを、って棲み分けして、双方支え合って結構儲けてるみたいですよ」
「少しはこちらにも回してほしいぞ、、」Sound
Only「それを避けるのも帝国を名乗る理由の一つのようです」
「くっ、、、!」「ひんがしの国はそれを良しとしているのか?」Sound
Only「そのようです。
とはいってもガレアン・コミュニティを認めないということでもないのです。
ひんがしの国はガレマール帝国同様ガレアン・コミュニティも真っ当な国家として国交を結ぶつもりではあるようです」
「それはラザハン経由で我等も聞いている。二股を掛ける気か、、」Sound
Only「いえ、そんな高尚な思惑ではありません」
「?」Sound
Only「ガレマールを代表する正当な国家がどこかなどという争いに巻き込まれるのは御免だというのが彼の国の方針。
故に帝国の後継国家がいくつあろうと全て正当なものとして承認するつもりのようです」
「彼等らしいというべきか、、」「まぁ面倒な争いになるよりはいいだろう。
今の我等には外交面で大きく動く力などないのだからな」Sound
Only「大使館の現状の説明は以上でよろしいでしょうか?」
「あ、ああ、十分だ、ありがとう」Sound
Only「では、私の方の本題ですが、、」
Sound
Only先生が応えた。「事件の件だね。では、テルティウム駅へ向かおう」次回へ続く、、。
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大使が愛人に怒鳴り込まれる話は大使の人物紹介で書いてもよかったんですが、聞いて政務官が呆れる描写を書きたかったのでここにしました。