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私は名もないリテイナー

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 私は名もないリテイナーだ。

 ただ、名もないというのは語弊がある。ちゃんと主人につけてもらった名前があるし、主人からもらった服装で生活をしている。
 報酬は十分満足しているし、不満はない。預かり荷物の倉庫番だったり、指定された食材や木材を取ってくる繰り返しのような毎日だが、嫌味な上司もいなければ部下もいない。
 そもそも、主人はリテイナーを私一人しか雇っていない。他に雇わないのか尋ねても、『お金がかかっちゃうしね』とぼんやり答えるだけ。

 そんな私だが、気になることが無いと言えば嘘になる。

 最近、主人が変な服装を着てくることが増えたのだ。その種類は様々で、黒いローブのようなものを着てフードを深くかぶっているときもあれば、小さな青髪の女の子が中で動いている機械(アラグの遺物だろうか)を持っていたりもする。
 そういうときに限って、長く自宅から出てこず奇声を上げており心配になったりもするが、戻ってくるなりいつも通り仕事を投げてくるからさほど心配はしていない。

 そもそも私の仕事は出来高ではない。ひと月に一回、『エン』という特殊な通貨を貰っているため、リテイナーとしては主人が仕事を投げてこないほど作業当たりの単価は高くなる計算になる。
 リテイナー組合では、ひたすらパームシロップを取りに行かされたり、掘り出し物と称して危険なダンジョンへの潜入を迫られることもあると聞く。それに比べれば作業も少ないうえに支払いが滞ることもなく、私は主人に恵まれたといえるだろう。

 そんな過酷なリテイナー業だが、離職率は低い。何を隠そう『エン』という通貨はアラグ金貨よりも流通量が少ない。一流の冒険者がどこからともなく稼いでくる『エン』は、噂によると持っているだけでリムサ・ロミンサの溺れた海豚亭でVIPルームに案内されるらしい。
 その一方で、『エン』の扱いを間違えると酷い目に遭うというのは、新人リテイナー研修で耳がタコになるほど聞かされる。『エン』を『ギル』に換金したり、公序良俗に反する金銭取引を行った瞬間に『モルディオン監獄』と呼ばれる監獄へと強制連行され、リテイナーとしての資格をはく奪されるのだ。
 それほど『エン』というのは、現行の制度を壊しかねない貨幣なのだろう。

 さて、英雄と呼ばれる方の旅はまだまだ続くが、私の仕事は変わらない。
 次は遠くの大陸へ行くそうだが、私たちリテイナーは主人がどこに居てもすぐに駆け付けるだけだ。

 私は名もないリテイナーだ。

 私はただ、旅の安全をお祈りするのみ。
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