最強最愛のビギナーズ 第十話「光のエターナルバンド」前編向かい合うリリーナとマリシャス。
「ボクの玩具の分際で、随分と手間を掛けてくれたもんだね‥」
「元だろ?まあ、アタイは自分をアンタの玩具だと思った事は一度も無いけどねぇ」
会話を交わしながら徐々に、にじり寄る二人。
その光景を見守るトンとアス。
「でもね‥光の戦士を疑魂の器にすれば、どんな強力な闇の戦士になるのか今からワクワクが止まらないんだよね」「アンタ、面白いこと言うねえ!出来るならやってみるがいいさ!」
「ほざくなよ、偽りの存在が!」
立ち昇る開戦の狼煙、先ず動いたのはマリシャスだ。
手に闇の力を貯めリリーナに放つ。
「アグリゲーションバレット!」
闇の弾丸がリリーナ目掛けて勢いよく飛んでいく。
その場で豪斧を一振りして叩き落とす。
「ちっ!まだまだっ、アグリゲーションバレット連装!」
多数の闇の玉を現出させ高速で標的に解き放つ。
あらゆる角度から獲物を狙う攻撃魔法。
リリーナを四方から取り囲んだ時、一斉に襲いかかる。
「これならどうする?光の戦士!」
「ふぅ‥」
一呼吸おいた後、斧を構え飛ぶ。
「スチィィィルサイクロォォォン!!」渦巻く旋風の一撃が全ての魔法を瞬時にたたき斬った。
スッと地面に着地したリリーナは、涼し気な顔をアシエンに向ける。
「これじゃ、まるで子供の遊戯だね、アシエンってのはお遊戯会を催す集団だったのかい?」
怒りで手を震わせるマリシャス。
「光の戦士!!ボクを馬鹿にして、粉微塵にしてやる!!」
怒りに火が着いたマリシャスがさらなる魔法を練る。
「今度の魔法はそんなに優しくは無いぞ!」
両手を前に突き出し高速で詠唱を始める。
「これで終わりだ、デス・エクスプロージョン!」
どす黒い死の球がバチバチと闇の波動を散らしながらリリーナを襲う。
「芸にひねりがないねえ、どんな攻撃だろうが、叩き伏せるまでさ!」
魔法の外見と構成を見たアスが声を上げる。
「お姉様、その魔法は‥触れてはいけません!全力で回避して下さい!」
だが、既に遅く、リリーナの斧が勢い良く魔法と激突した。
途端に巻き起こる大爆発。
「お姉様!」
「お姉ちゃん!」
手を叩き喜びだすマリシャス。
「ハッハッハ!それは触れた途端に爆発を起こす大魔法、流石に叩き斬れずに消滅したみたいだね、ボクを侮るからそうなるのさ!」
爆風が渦巻く中から声がする。
「イテテテ‥なるほどこんな魔法もあるんだね、勉強になったよ」
そこには、爆風を自慢の斧で振り払うリリーナの姿があった。
「ウソだろ‥あの魔法を直撃して生きてるなんて‥あり得ない!ボクはそんなの認めないぞ!」
「大した威力だけどさ‥今のアタイをやるには物足りないねぇ、で、アンタの手品はもう終わりかい?」
「こ、殺す!!絶対に殺す!!」
「期待してるよ、アシエン」
熱く燃えがるマリシャスに対して、冷静な熱さのリリーナ。
「こいつは多くの魔力量を消費するので使いたくなかったけどやむを得ない‥」
大量の闇の力を指先に集約するマリシャス。
傍から見ていてもその質量が尋常では無いことが伺える。
「アタイの技と、アンタの魔法どちらが上か分かりやすい勝負をしよう!」
リリーナも獅子の奥義を放つべく、深く構えを取る。
「その魂さえも闇に還元せよ‥悠久破壊魔法デストラクション・ブリット!!」黒と赤が入り混じった時空さえも揺るがす勢いの闇の弾丸が発射された。
「獅子の祈りと気高さを力に変えて‥、聞け、魂の咆哮!ソウル・レオクラッシュ!」
獅子の力を斧に集約した、ダイナミックな大振りの渾身の一打をマリシャスの破壊魔法に向け叩き込む。
真っ向から激突する巨大な二つの力に空間の大気が揺れ、竜巻のような突風が辺りに吹き荒ぶ。
「くっ!」
マリシャスが放った破壊魔法の威力に押され始めるリリーナ。
「アハハッ!キミもう諦めなよ、偽物にしては良く頑張っと思うよ」
ふと悲しそうな顔で語り出すリリーナ。
「‥アタイの人生はさ、空っぽだったんだよ」
「こんな時に何を言っているのかな?そうか‥恐怖で頭がどうにかなってしまったんだね!」
「前のアタイならこの攻撃に耐えられず、終わりだったかも知れない‥でもね」
「何なんだよ、キミは、何が言いたい!」
「今のアタイには護りたい妹達が、家族が居る‥だからこんな所じゃ到底終われ無いんだよぉぉぉお!」
その瞳にみなぎる獅子の力と活力。
リリーナの心の叫び共鳴したかの様に全身に神々しく湧き上がる光の力。
「私達はお姉様の力を信じています、そして必ず今の困難も退けられると」
「お姉ちゃん‥やっちゃえー!」
「忌々しい外野と光の力め‥、だまってそのまま大人しく砕け散れよ!」
「‥この力は妹達と‥アタイの未来を切り拓く為にある!だからアンタは何が何でも負けられないのさ!」
必殺技を打ち込んだ状態から、斧を基軸に身体を更に一回転させてリリーナは二打目の咆哮を叩き込んだ。
「なにっ?」
「おらァァァァァァ!」クロスした魂の咆哮とリリーナが魂の唸り声をあげる。
‥ゴォォォォォ!‥
破壊と魂の一撃がお互いの威力に耐えきれず大爆発を巻き起こし、轟音が鳴り響く。
その光景をみたマリシャスは唖然としていた。
「バカな‥ボクの最強魔法を砕いた!?」
「余所見してると危ないよ坊や‥」
プライドを砕かれ油断したその隙を、既にリリーナは逃さなかった。
大爆発の中、爆風を物ともせずマリシャスの目の前に迫っていたのだ。
「な!?」
「獅子断絶・デッドリィィィクラッシュュュ!!」
必殺の獅子の一打を受け障壁ごと豪快に後ろに吹き飛ぶマリシャス。
「グワァァァ!」
壁に激突して地面に落ちる。
バリアこそ破れなかったが相当な衝撃とダメージを与えた事だろう。
たまらず膝を付き息を荒くしている。
「この勝負どうやらアタイの勝ちのようだね!」
息が上がりながらもニヤリと笑うリリーナ。
「「ヤッター!!」」
手を取り喜ぶ姉妹達。
「‥認めない‥認めない‥」
下を向きながらボソボソと何かをつぶやくマリシャス。
「アンタも戦士なら潔く負けを認めな、でもその存在、決して見逃す訳にはいかないねえ‥」
「何でこのボクがこんなヤツに‥ボクは負けてない‥待てよ‥コイツを倒す方法があるじゃないか‥どうしてこんな簡単な事に気が付かなかったんだ‥こうすれば勝てる!」その言葉に一抹の不安が過ぎるリリーナ。
「アンタ達、その場から離れろ!」
妹達に警戒の言葉を飛ばすが‥時既に遅し。
闇の空間を通じて瞬時に移動したマリシャスが姉妹の背後で破壊の高速魔法を錬成し終えていた。
「君達‥これで死んでよ、デス・エクスプロージョン!」
トンとアスは身体のダメージも有り、突然現れた存在と攻撃に全く対応出来ていなかった。
マリシャスの手元から容赦無く放たれる死の黒球。
目をつぶり抱き合うトンとアス。
「お姉ちゃん助けて!!」
トンが思わず声を上げた。
直後に巻き起こる、黒き爆発。
飛び散った粉塵が一頻り落ち着きを取り戻した時に目に入った光景は‥
背にその攻撃を受け姉妹を守った、リリーナの姿だった。
「‥あ、アンタ達、大丈夫かい‥?」
あの攻撃をまともに受けながらも、姉は妹達に優しく微笑み掛けていた。
「お姉ちゃん‥ありがとう!」
涙ぐみながらトンが御礼を述べる。
しかし、絶望はその直後に訪れた。
突如、リリーナが吐血したのだ。
「お姉様っ!!」
アスが思わず叫ぶ。
その身体を見ると、所々に貫通した黒い刃が見受けられた。
「この瞬間を待っていたんだ‥シャドーブレイドのお味はどうだい、光の戦士?」マリシャスの足元から伸びた影が刃の様に、リリーナを貫いていた。
恍惚の表情で嬉しそうに笑うマリシャス。
「アンタは‥」
「おっと、卑怯とか汚いとかそういうのは良いからね、キミに勝つ為の手段をボクは実行した、ただそれだけさ‥」
「そこまでしてアタシに勝ちたいのかい‥」
「ああ、勝ちたいね、ボク達の目的の為にはどんな手段だろうとね」
「‥清々しい程のクズだね‥カハッ‥」
大量の吐血がその身に受けたダメージの深刻さを物語っていた。
「お姉様、今すぐ回復を!」
回復魔法を施そうとするアスの手を制するリリーナ。
「お姉様‥?」
「アス、気持ちはありがたいけど、アイツはその隙を私達にはくれない、それにこの傷は‥もう無理かもな‥だから大丈夫」
「まさか、その傷でまだ戦うおつもりですか?」
「お姉ちゃん死んじゃうよ、もう止めて!」
二人の肩に優しく手を添えるリリーナ、そして語る。
「‥止められないね、今のここで止めちまったらアンタ達を守れない、だからさ‥戦うのは今なんだよ、そしてそれをアンタ達に見ていて欲しいんだ」遮る二人の手を優しく振り払い、強い意志で再びマリシャスに立ち向かう。
「キミ、確実に絶命するダメージを与えたはずなんだけど‥なんで動けるの‥」
疑問なのか恐怖なのか、マリシャスがリリーナに尋ねる。
「なんでかって?そりゃ大切な家族を護りたいからに決まってるだろう、まあ、アンタには一生分からないかも知れないけどねぇ、だから‥アンタを倒すのさ」
鬼気迫る言葉に出来ない圧に、マリシャスが後ろづさる。
「始めようアシエン、‥アタイの最期に相応しい戦いをさ!」
嬉々として斧を振りかざしマリシャスに飛びかかるリリーナ。
姉の決意を涙しながら見守る妹達。
「なんなんだよいったい、これが光の戦士だって言うのか‥」
重症を追っているはずの存在が自分を脅かしている事実に、マリシャスは怯えていた。
リリーナは戦いながら姉妹との記憶の日々を恍惚の表情を浮かべ思い出していた。
‥‥‥
今思えば、アタイには本当に何もなかったね。アンタ達の出会うまで、アタイは何も考えずただがむしゃらに目の前の敵を駆逐する事だけをやってきた。
そこに疑問も持たなかったし、それが当たり前だと思ってた。
でも、あの日必死に二人で協力して生きようとしてるアンタ達を見て心に熱いもんが込み上げてきたんだよ。
こんな気持ちは今まで感じた事が無かった。
あれが必死に生きるって事なんだって知ったよ。
だからあの時、何が何でもアンタ達を助けなきゃって、気が付いたら身体が勝手に動いてたんだ。
アタイが動けなくなった時に、すかさず二人がけ身を挺して助けに入ってくれたのも嬉しかった。
旅立ちの日にアンタ達から、姉妹の提案を受けた時は正直動揺したよ。
自分が何者かも分からない奴が、こんか眩しい光の様な子達と一緒に居ても良いのかってね。
でも、アタイの存在が何であれ、強くアンタ達二人と居たいと思ったんだ。
きっと、この二人と過ごせばアタイの未来は変わるってさ。目的も無く生きてたアタイにとっての、希望ってやつだったんだろうね。
それ位、アンタ達の存在は眩しかった。
光そのものだったんだよ。一緒に過ごす様になってからは、喜怒哀楽、感情ってやつを知る事が出来たね。
楽しい時には笑って、悲しい時には泣いて、怒りを感じた時には怒る。
それが当たり前の事だと知ったよ。
生きてる実感っていうのかな、そいつを沢山感じられたんだ。
ああ、アタイにも心ってやつがあるんだ。
感じる事が出来るんだって嬉しかった。
これからも‥二人との時間を過ごしたかった‥
リリーナと一つになった時に見えちまったんだよ、未来がさ。
あれが光の力をだったのかは定かじゃない。
‥そこにアタイは居なかった。でも、アンタ達二人は居た。
アタイじゃない別の姉も居たね。
だったら、アタイは自分の使命を果たすだけさ。
いや、姉として妹達の未来を切り拓く手伝いをしたいのかな。
責任を持ってアンタ達を未来に送り出す、だから後は新しい姉と自分達で未来を切り拓くんだよ。
それが姉として出来る最初で最後の仕事だからね。ありがとう‥アタイをアタイにしてくれて。
‥‥‥
現実世界では、大怪我を負っているとは思えない勢いでリリーナがマリシャスを追い詰めていた。
渾身の力を振り絞った剛撃の連続に、マリシャスは防戦一方。
いや、既に戦意を喪失していたと言った方が正しいのかも知れない。
それほど目の前のリリーナに畏怖していた。
「このボクが‥敵を恐れている‥?アシエンのこのボクが‥そんなことあってはならない!」
自分を奮い立たせ負けじと反撃を始めるマリシャス。
「折れた心からよく立ち戻ったね、それでこそアタイのフィナーレに相応しいよ」
「調子に乗るなよ偽物がぁああ!ボクはアシエンのマリシャスなんだ、キミ如きにおくれをとるものかよ!」
強い意志と意志を技にのせてぶつかり合う二人。
マリシャスがふと口元に笑みを浮かべる。
「癪だけど認めよう光の戦士、キミは強い!‥だからこそ、ここで確実に仕留めさせてもらうよ」
「いい心意気だねぇアシエン、そろそろケリをつけよう!」
互いを倒すために互いが用意する最後の技、それは‥
一切の装飾など無く、シンプルに持てる力を全力でぶつける。
それこそがこの決着には相応しい。
二人共そう思ったのだろう。
それぞれが単純な総力をその手に溜め始める。
静まり返る屋内に流れる永遠とも感じられる一瞬の時。
目をかっと見開き相手に最短距離で向かう両者。マリシャスの手には全魔力を込めた最大の一撃が。
リリーナは共に数々の死線を乗り越えてきた相棒の斧に、全ての力を込めて振り切る。
マリシャスの最大魔力の一撃はリリーナの腹に直撃した。
リリーナが振りかぶった渾身の一撃は、マリシャスを守る闇の障壁に防がれた。
闇の力を凝縮したマリシャスの一撃が激しくリリーナの全身に響く。
「グゥウウウ!」
思わず声を上げ、再び吐血するも、手元の力は一切緩めない。
それどころか、更に一歩踏み出し障壁に止められた斧に力を込める。
‥ピキッ‥
なんと、無敵の防御を誇っていた闇の壁に亀裂がはしった。
「バカな‥」
思わずマリシャスが驚く。
「アタイ達、光の戦士を舐めるなよ‥これが、それぞれの心に宿る光の力だよ!」渾身の一打に更に心力を加え、光り輝くリリーナの斧。
それはまごうことなき光の戦士の一打であった。
神々しい光を放った斧がマリシャスの障壁を頭上から真っ向斬り裂いた。
そして光は中のマリシャスも一刀両断にした。
「こ、これが‥光の力か‥やるもんだね‥」
「光の戦士も捨てたもんじゃないだろう‥アシエン?」
「そうだね‥光の戦士リリーナ、君の名と共に覚えておこう‥」リリーナの一撃を受け、マリシャスの身体は光の粒子の様に分解していった。
「‥逃したか、運命ってのはどうやら簡単には変えられない様だね‥」
その場にリリーナが崩れ落ちる。
即座に駆け寄る妹達。
「お姉ちゃん、しっかりして!」
「お姉様、お姉様!」
空間に揺らぎが生じ、気が付くともとの墓所に戻っていた。
マリシャスを倒した事で固有空間が解けたのであろう。
「駄目、ここじゃ暗くてキズがよく見えない、トンちちゃんお姉様を外に運ぶよ」
「分かった!」
二人はなるべく揺らさない様ゆっくりと、リリーナの上半身と下半身を持ち上げ外に運び出した。
外はすっかり朝になっており、森の木漏れ日が優しく三人を包み込んだ。
その間にも治療に専念するアス。
「アスちゃんどう?お姉ちゃんのケガ治せるよね?」
その問に難しそうな顔でアスが答える。
「‥駄目、ぜんぜんキズが塞がらない‥あまりにもキズが深いのとお姉様の魂自体が消滅しかけてる‥」
「そ、そんな‥どうにかならないのアスちゃん」
「私の力じゃこれが限界‥」
「二人共、そこにいるかい‥」リリーナが虫の息で二人を呼んだ。
「お姉ちゃん!私はここに居るよ!」
「お姉様、私もここに居ます」
力を振り絞って手を身体の上に持ち上げるリリーナ。
「二人共この手を握って、そして顔をよく見せて欲しいんだ‥」
すぐさまリリーナの手を取り、顔を見せる妹達。
全身何処を見てもボロボロになった姉が、満足そうに二人の顔を見る。
「アタイはアンタ達を‥アンタ達の未来を守る事が出来たんだね‥良かったよ‥」
「お姉ちゃんのお陰で私達は無事だよ‥」
「お姉様、命を懸けて助けて下さりありがとうございました‥」
キズの具合からリリーナの生命が長くない事を、二人は察して涙していた。
「‥そんな悲しい顔をしなさんなって、アタイはこれで満足してるよ‥だって可愛い妹達の笑顔を守れたんだからね‥」一呼吸おいて話し続けるリリーナ。
「アンタ達にはこれから過酷な運命が待っている‥、今までとは比較にならない程の運命がね‥、でもきっとアンタ達なら越えられるとアタイは信じてるよ」
姉の最後の言葉を黙って聞き届ける二人。
「‥今から数年後アンタ達は運命の出会いを果たすだろう、そしてその人と再び姉妹の歩みを進めることになる、新しい姉とも上手くやるんだよ‥」
こぼれ落ちる涙を拭うこと無く頷きながら、妹達が相づちを打つ。「でも、たまにはアタイの事も思い出して欲しいかなって‥そいつは贅沢な願いか‥ハハッ‥」
リリーナの手を握る二人の手に力がグッと入る。
「絶対に忘れないよ‥お姉ちゃんの事‥」
「だって、リリーナお姉様は永遠に私達のお姉様ですから‥」
その言葉を聞き安心した表情を浮べるリリーナ。
「‥いい人生だった、アタイとして生き、アンタ達っていう家族も出来た‥文句無しの人生だったよ‥」
横たわる姉の呼吸が徐々に浅くなっていく。
「最後に‥昨日話したアタイの夢の‥話だけどさ‥あれ‥実はねあれ…とっくに叶って‥るんだよ‥」
その言葉を聞き逃さない様に耳を傾ける妹達。
「アタイ…の夢は‥大切な家族と‥一緒に‥過ごす‥こと‥夢は‥叶った‥んだ…」
満面の笑みで想いを受取るトンとアス。
「トン‥アス‥あり‥が‥とう‥これからも‥ずっと‥一緒‥だ‥よ‥」
お返しの様に満面の笑みを妹達に返すリリーナ。
「二人とも…大…好き…」その言葉を言い終えると共にリリーナの瞳からこぼれ落ちる涙。
そして、二人が掴んでいたリリーナの手からは力が抜け地面に落ちる。
リリーナの顔は‥とても満足そうだった、穏やかでまるで眠っている様に見えた。
同時にその顔は、自分の人生を全うした事も表情が物語っていた。
リリーナは大切な妹達に抱かれて今、静かに旅立った。
「お姉ちゃん、私達に出会ってくれてありがとう‥」
「お姉様、こちらこそ‥お姉様と過ごしたかけがえのない時間を忘れません」
「ねぇ‥アスちゃん‥」
「なに‥トンちゃん」
「明日から笑顔になるから‥今は…思い切り‥泣いてもいいかな‥?」
「もちろん‥お姉様だってきっと喜んでくれるよ‥だから今は一緒に泣こう‥」
雄大が森が見守る中、二人は最愛の姉を抱きしめながら時を忘れ、天を仰ぎ泣き続けた。〜10話後編に続く〜最強最愛のビギナーズ 第十話「光のエターナルバンド」後編はこちらのリンクから!■FF14外伝 連続空想小説 最強最愛のビギナーズFF14の世界であるエオルゼアを舞台にしたビギナー姉妹とアクア・ルビーの物語。
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