戻ったら話し合いがまだ終わってないからしばらく待ってたらヘルメスが出てきた。
結論は出したと言ってたけどどうなったんだろう。
エメトセルクとヒュトロダエウスは中にある客室でそのまま休む事になったらしい。いいご身分だな。まあエメトセルクは実際良い身分だけど。
私にも部屋を用意してくれるらしい。使い魔なのに扱いがいいぞ。ヘルメスはそういう所が多分古代人として浮いてるんだろうな。
メーティオンが案内は私達が先と言ってヘルメスを止めてエルピスの花の元へ連れて行った。
さあ、私がこの花をドス黒い色で染めて見せましょう!
……あまりドス黒くならなかった……。
普通に綺麗な薄い紫色に見えるぞ。
メーティオンはヘルメスに暗い寂しい気持ちはヘルメスだけじゃないと言った。
それでヘルメスは私がメーティオンの頼みを聞いた事に気付いた。
ヘルメスが仮面を取った。
切れ長の緑の目をしたイケメンだ。この世界美形しかいないのか?
「よければ少し……話をさせてもらえないだろうか?」
私の恨みつらみと悲しい記憶と怒りと悔しさをお話しすればよろしい?
メーティオンが蛍に喜んでる。
ヘッジホッグだっけ、ハリネズミが来た。一瞬自分のミニオンかと思ってびっくりしたわ。今連れ歩いてるから。
ヘルメスの声が聞こえないからイヤホンするわね。
おお。ここ風の音とかしてたのね。
お高いノイズキャンセラーイヤホン、色んな音が聞こえる。
ヘルメスは星の為に生きるという人に定められた生き方を悪いとは思ってない。
でもエルピスで働いてるとどうしようもない違和感に襲われる事がある。
ファダニエルの座について話を受けた時にヒュトロダエウスが言っていた事を覚えてるか聞かれた。
えーと、今のヒュトロダエウスは天命を全うして死ぬんだからいいじゃないみたいな話だっけ?
大体合ってた。
死とはやり遂げた者が選ぶ選択だから最期の瞬間はいつも美しい。
でもそれはあくまで人の話。
創られた生物が星の益にならないと判断されたら問答無用で消されて死を与えられる。
生まれたばかりで何も成し遂げていなくても。
処分の際には苦しませないようにしているけど、死を与えられる事を察した生物達は怯え、憤る。その終わりは美しいものではない。
……何も分からないうちに消す訳じゃないのか。そこは生物の方も察してしまうのか。
これ現実の実験動物とか、犬猫の殺処分と通じるものがあるね。犬猫の殺処分は大分減ってるし0になった年もあるけど。
今は犬か猫のどっちかは0になったんじゃなかったんかな、うちの地元。
ヘルメスはそんな事実を誰も気にしてないと嘆く。
星を善くするという目的は当然だし、疑う事なくそれを信じて行なっている。
「自分の前には……死にゆく生物達の瞳には……哀しみも、絶望も、理不尽への怒りも確かにあるのに……」
それを感じ取れるのならヘルメスはこの世界で生きづらいだろうな。
この世界は素知らぬ顔で幸せそうに笑い続ける。
エルピスの花はいつだって無垢な白と明るい歓びの色に輝いている。
大多数の古代人がそうであるように。
エメトセルクは古代の世界は幸せだった、喜びに満ちてた、平和だったって言ってた。
でも別視点からの話も必要だよな。
誰もがそうやって歓びに満ちてた訳じゃない。ヘルメスのように悩んでる人もいたんだ。この世界の不条理さに。
それは現代と変わらないじゃんエメトセルク!
「その事への違和感が……何か暗いものが……日に日に胸の内で膨れ上がっているんだ……」
終末の災厄のきっかけはお前かヘルメス。
それカルザールと一緒……。貴方が古代の偽神獣ですか。
周りにおかしいと叫びたい一方でおかしいのは自分じゃないかと恐ろしくなるとヘルメスは話した。
現代だとおかしくはないんだけどな。
探せばいそうな気もするけどな、ヘルメスと同じ考えの人がこの古代世界にも。
でもこの世界で哀しみを知りエルピスの花をこんな色に染めるのはヘルメスだけじゃなかった。
私は現代人だけどな。
あと私、ここでは人じゃなくて使い魔なんだけどいいのかい?
花の傍らで何を思ったのかは聞かないし、メーティオンにせがまれて仕方なくなったのかもしれないけど、それでもありがとうとヘルメスは礼を言った。
まあ仲間だよ仲間って言ったし。
「こうして確かに哀しみがあり、怒りがあり、苦しみがある。その事実を知っていてくれる事がこんなにも優しい」
ヘルメスの声が泣きそうだな。
選択肢が出た。
「どういたしまして」
「くよくよするな!」
「つらい経験なら任せて……」←
本当だよ。任せて。いっぱいあるわ。
「あ、す、すまない……。何か触れてはいけない所に触れたようだ……」
ヘルメスが慌てた。別にいいって事よ。
それほどの困難に遭いながら私が生きてる事にヘルメスは励まされるらしい。
よーし酒持ってこい!飲めないけど!
失礼な話かもしれないと言われたけど少し失礼でしたね。
突然星の話をされた。話をそらすな。辛い経験もっと話してやろうか。
星の正体は宇宙のゴミでしょ?違ったっけ。
星の1つ1つがアーテリスと同じ大地で出来ている。うん。それは知ってる。
古代人は星の為に生きてるけど別の価値観を持つ生物もいる。当たり前ね。
「自分は彼らに問いかけたい。彼らが何故生きるのかを……命の意味を」
どの命も死ぬ為に生きるんだよ。
デュナミスで空を飛ぶ鳥メーティオンを創ったのはそれを問いかける為。
メーティオンはここにいる1人だけではない。
彼女には大勢の姉妹達がいて、既に宇宙に飛び立っている。意志を持つ生命を探して星から星へと翔んでる。
おい。フラグ立てるな。それ許可取ってるの!?
地球……じゃない、アーテリスに対して悪意を持ってる生命がいたとしたら、メーティオン達の力でその想いを増強して何か大変な事になるじゃん。
ウルトラマンを知らないのか。地球外生命体が攻めてくるのは十八番というか王道展開でしょ!?
アラグも宇宙探索してたけど古代人もやってたのか。
まあハイデリンが月を創るくらいだものな。それくらい余裕か。
宇宙探索は予想外の出来事の連続で思ったような成果が上げられてない。
でもそろそろ次こそは何かしらの結果が報告されそうらしい。
これはもうフラグですね。悪い予感しかしない。
ミドたんが来たのはもっと後だっけ?ハイデリンの守る星に来たのよね。じゃあこのずっと後か。
もし私が滞在してる間に報告が届いたら結果を共有してくれるって。
これ終末のキッカケになるんじゃないかな……。
天脈に対して干渉するなら宇宙から来た生命の方が理に叶う気がするの。
ところで今は夜だったのね。そう言えば蛍いたものな。
だからエメトセルク達はもう休んでるのか。
これ以上夜が深くなる前に帰ろう。明日揃って寝ぼけた顔をしていたらエメトセルク達に申し訳が立たない。
ヘルメスがそう言った。
ヘルメスがメーティオンを呼ぶ声が優しい。
返事をしてヘルメスに駆け寄ろうとしたメーティオンが何かに気付いたように空を見上げた。
何が見えてるの?すぐにヘルメスに駆け寄ったけど何のフラグよ。不穏だな。
翌朝。
エメトセルクに話しかけたら自分達が話し合いをしている間何か問題を起こしてないかと言われた。
何も問題は無いよ。エルピスの花を暗く染めたらヘルメスが仮面取ってくれました。
ヒュトロダエウスに身体を気遣われた。
「キミも少しは休めたかい?それほどエーテル量の少ない身体じゃ疲れるでしょ。休憩をしたかったら遠慮なく言うんだよ」
休みたい!です!一緒にお茶したいです!
メーティオンにはエルピスの花を見せられた事に対するお礼を言われた。
これで今日が乗り越えられたらいいって。
……今日は一体何があるの?Xデーなの?
ヘルメスは今日の仕事に向かう。
リュカオンの処遇が決まった。
エルピスに現存する観察用に創造されたリュカオンは7体。その全てを消滅させる。
…………殺処分決まったのか。
ドーロスの観察は正しく行われていたし、結論も間違ってなかったから、ヘルメスはエルピス所長としてそれを認めなければならない。
リュカオンを解き放てば生態系は破壊されるし自身も死滅する。
この世界のどこにもエルピスにもリュカオンの居場所は無い。
イデアを制約のつく危険生物として残せないか創造物管理局に提言するつもりらしい。
それはヒュトロダエウスも支持するって。
現存する個体は全部殺処分。
ドーロスがリュカオンを観察場所から連れ出していて、消滅させようとしてる。
ヘルメスはそれを人の行いの結果として見届けるつもりらしい。
もう既にめっちゃ辛そうなんだけど大丈夫ですか。大丈夫じゃなさそうだな。
エメトセルク達も視察だからそれに付き合うらしい。
ヘルメス大丈夫?正気保てる?辛いなら立ち会わなくてもいいのでは?
クエストタイトルが『結論と責任』だわ。
橋の先で赤い獣が4体死んでた。確かにそんなに美しい獣ではないな。
側でドーロスが肩で息をしてる。大分大変だったみたい。
彼によるとしくじったらしい。
強力な鎖の魔法でリュカオンを縛ってたけど、今までにないくらいに暴れ出して魔法が千切られた。
4体は殺したけど3体は逃げた。あら大変。
ヒュトロダエウスがエーテルを追った。2体は上空。
エメトセルクもエーテルを追って1体はこの先の草原にいる事を視た。
ヘルメスと私で草原の方に対処して、空の方はエメトセルクが殺ってくれるらしい。
エメトセルク強いからな。
ヒュトロダエウスはお留守番?あ、微力だけど手伝うって言ってる。
メーティオンはここでドーロスとお留守番。
リュカオンを倒す時の気持ちをメーティオンまで味わう事はないからとヘルメスは言った。
私にも無理強いしないと言ったけど私は行く事になるんでしょ。
メーティオンにヘルメスを追ってと言われ、ドーロスにも怪我は大した事ないからそれよりもリュカオンを頼むと言われたので、仕方ないから行きます。
いたわ。浮いてるわリュカオン。
ヘルメスが岩陰に隠れてる。
ありがとうと巻き込んですまないと同時に言われた。
リュカオンは浮いてるから上手くやらないと逃げられるって。
降りてきてくれないかなー。
私がリュカオンの正面で気を引く。リュカオンは火球を飛ばしてくる。それに耐えて正面に立ち続ける間にヘルメスが魔法で不意打ちをかける。
じゃあ学者かタンクがいいんだな。
リュカオンの出したファイアエーテルと2連戦。
チョコボと一緒に戦った。普通に倒せた。
そのまま指定地点で立ち続けたらムビになった。
ヘルメスが杖を出して魔法を放った。風魔法だな。
リュカオンを一撃で倒した。
倒したリュカオンに駆け寄り謝るヘルメス。
魂が安らかである事を祈り、冥界が穏やかである事を祈り、リュカオンの生きたいという願いがいつか叶う事を祈り、恨んだまま赦す必要は無いと言った。
その様子を途中から来たエメトセルクとヒュトロダエウスとドーロスとメーティオンが見ていた。
リュカオンは消えた。
エメトセルクがヘルメスに十四人委員会に入れと言った。ここでの仕事はヘルメスには向いてないと。
ヘルメスは自分がここを去っても他の誰かが選別を行うのなら同じだと憤った。
「教えてくれ!星を善くするという名分は今消えた吐息よりも重いのか!?」
それを今度は人に対して問いかける事になるのよ貴方達は。
だからエメトセルクはきっとそう答える。
そう思ったのにエメトセルクは何も言わなかった。
やり遂げた者が死ぬというのならいつか星が最善に至った時にはよくやったと満足して死に絶えるのかとヘルメスは怒鳴る。
ほとんどの古代人はそうやって死に絶えたわね。星の為になるのならと命を差し出したわ。
ファダニエルの座を継げば今のファダニエルは死ぬ事を肯定する事になる。
それが正しい事なのか分からないし、こんな事で悩んでる自分が人の代表として立っていいのかも分からない。ヘルメスはそう話す。
メーティオンがヘルメスに責めたり怒るのはとても苦しいからダメだと駆け寄った。
ヘルメスはまだ選べる余地が残ってるのなら少し頭を冷やして考えたいと言った。
でももう案内は出来ないからヒュトロダエウスにそれを頼みたいって。
ヒュトロダエウスは「好きにさせてもらうから心配ないよ」と答えた。
ヘルメスは私にも目的が果たせる事を願ってると言った。
この人本当他人や別の生物の事ばかりだな。ちゃんと自分の事も考えなきゃダメだよ。
ところで別行動になるのがもうフラグにしか思えない。
私達はひとまず十二節の園に戻ってこの後どうするか相談する事になった。
エメトセルクはそろそろアーモロートに戻りたいのでは?
ヒュトロダエウスにここでひと段落といこうかと言われた。
あらやっぱ帰るの?
「キミも突然の事ばかりで驚いただろう?怪我はしていないかい?」
怪我はしてないから大丈夫。
エメトセルクは残り2体ももう処分したといった。
この件はこれで終了。あとはいつも通りに何もかも事が進んでいく。
エメトセルクはヘルメスの考えは理屈としては理解出来ると言った。
素晴らしい終わりだったとしても知人が星に還った後にふと寂しく思う事はあるからと。
ふと、なんだ?常にじゃないんだ?
じゃあ何故貴方はアーモロートを再現したのよ。寂しかったんじゃないの?
でもこの時点のエメトセルクには分からない感情だというのは私も理解するわ。
ヘルメスは理屈で理解してほしい訳じゃない。感情で理解してほしいんだと思う。
それこそ私がエルピスの花を暗く染めたように同じ感情を抱いて理解出来る人がもっといないと……。
でも感情を理解出来たとしてもエルピスでの殺処分は無くならないと思う。
イデアを提出する時点で危険そうなのは弾くしかないよな。
そういう哀しい生物を生み出さないようにしないと。
「だが、何かを喪った事で、あれほど深刻に悲しんで、とり乱した経験はない。……どんな想いなんだろうな、あれは」
……エメトセルクそれブーメランだからな。貴方もうすぐそれを経験する事になるからな?
そう言ってるこっちの方がめっちゃ辛いからな?
エメトセルクはヘルメスにかけるべき言葉が正直見当がつかないって。
これ以上塞がないといいと心配してる。
ヘルメスの感情が分からない人間は何も言ってあげられる事はないと思う。
分かるよ、とも言えないでしょ。
「理屈では」分かるなんて言われたらヘルメス怒るよ。
ヒュトロダエウスがこの後どうしようかって言った。見たい場所があるなら案内するって。
私はまだ見ぬ素材がありそうな今行けない場所に行きたいです。
エメトセルクはヘルメスはまだ断った訳じゃないから本人と別行動になっても視察を続けたいって。
他の職員に話を聞いたり、やれる事はあるから。
ヒュトロダエウスはキミもキミで真面目だねぇと言いながら付き合うと言った。
私も引き続き一緒に行くかと聞かれたから頷いた。
3人で新たな区画へ向かおう。
新たな場所なら新たな出会いや証言にも期待出来るとヒュトロダエウスは言うけど、新たな場所には新たな素材があるんです!
待ってろ新しい素材!嬉しいな、新しい素材!
エメトセルクはヘルメス達もこっちの方向に立ち去ったから行き先が同じという事もありうると言った。
それなら安心かな。ヘルメスを1人にしたくない。メーティオンは一緒だけど彼女はヘルメスの鏡だから。
ヒュトロダエウスに寄るとここから道なりに北に向かうとナビ・ノトスがあるらしい。
ナビは転移装置だっけ?
最初は使用権限を持つ人が同伴してないと使えないけど、ヒュトロダエウスが既に権限を持ってるから一緒に利用したら次からは1人でも自由に使える。
よし!じゃあ早く行こうか!新しい素材を採りに!
エメトセルクに先に断っておくが必要に迫られない限りエーテルを視る目でヘルメスを追う事は無いぞと言われた。
わざわざ言われなくてもそんな事しないって分かってるよ。
「他人の動向を終始覗き見るなど品性に欠ける……」
漆黒の時も常に見てる訳じゃないって言ってたものね。
そもそもエーテルを視るのと物質を視るのは眼の焦点を変えるようなものらしい。
彼らも普段は物質の方に目を向けてる。
そりゃそうよね。
ナビ・ノトスは『ゼピュロスの喝采』に繋がってる。
西の浮島を主とした区画。今目の前にある巨大な岩の塊はその浮島の底面にあたる。
めっちゃデカいな?地図見ると広そうだし絶対新しい素材あるでしょ。
ゼピュロスの喝采に着いた。第二区画らしい。一体いくつまであるんだ。
いくつかの保管、実験施設と観測拠点のポイエテーン・オイコスがある。
その辺りを巡ってヘルメスの仕事ぶりを聞き込みするみたいだけど、ヒュトロダエウスが何かに気付いた。
ダストバニーだ。ここではオレイアスか。
ヒュトロダエウスが可愛いねって。
その後ろから何か来た。エメトセルクも気付いた。
ヒュトロダエウスによるとイデアを登録したばかりの新種のサメだって。
二足歩行するサメなんですけど!?
サメは海洋生物の中でも人気だから亜種を創ろうとする人が多いらしい。
へー。古代人もサメ好きなんだ。
ヒュトロダエウスの説明が続く。ボイスだけで文字は出ない。
空飛ぶサメや頭がいっぱいあるサメを色々作ったらしい。B級映画かな?
二足歩行のサメ、なんかこちらを襲おうとしてる。
ヒュトロダエウスは後ろ向いてるから気付かない。
私とエメトセルクが臨戦体制に入ったら空から何か降ってきてサメを一撃で気絶させた。
ハイデリンだ。ハイデリンがサメやっつけた。
ハイデリン、面識あるんだな。
ヒュトロダエウスがヴェーネス様と言った。まだヴェーネスと呼ばれてた時だっけ。
エメトセルクが過去に委員会に属した者はほとんど退任と共に星に還ったけど、ヴェーネスは座を譲った後もこうして活動してると説明した。
ほとんどに含まれない稀な例だって。
ヴェーネスの過去の座って何だったんだろう。アゼム?
「ヴェーネス……前代のアゼムを務めた人物だよ」
当たった。ああ。だからハイデリンはヒカセンに肩入れするのか。
ヴェーネスはヒュトロダエウスに久しぶり会えて嬉しいと話した。
エメトセルクにもまた眉間の皺が深くなったのでは?と挨拶した。それは挨拶なのか?
「まだ若いのに……。あまり顔をしかめてばかりでは行けませんよ」
エメトセルクががっくりと肩を落とした。
愛想笑いを浮かべる。
「あなたの後任が、ずいぶん、大変、とても、やんちゃなもので」
ヴェーネスもやんちゃっぽいけどな。
「まあ、あの子は元気?」
「相変わらずですよ。この前なんて噴火間近の火山に突撃したりして」
ヒュトロダエウスが答えたけどアゼム何やってんの。
後で是非聞きたいらしい。私も聞きたいわアゼムの話。
ヴェーネスが私を見た。
どうも。貴女のテンパードです。
めっちゃびっくりした後に少し厳しい顔をして、じーーーーーっと黙ってこっちを見つめてくる。
これ何かに気付いてるな。
「もしや今よりも先の時間……つまりは「未来」から来たのではありませんか?」
何で分かるんだ。エスパーか。
エメトセルクとヒュトロダエウスもびっくりしてる。
私にハイデリンの紡いだ魔法がかけられてるのを感じるけどそんな事をした記憶が無いからって。
だから未来の自分がかけたと分かるの頭いいなヴェーネス。
ピンポンピンポン正解でーす!
ヒュトロダエウスがどんな魔法なのか尋ねた。
旅人の為の護り。あらゆる状況でエーテルの変質を防ぐ。
ハイデリンのテンパードの仕組みが分かった。だから私はどんな蛮神にも汚染されないのか。
選択肢が出た。
「もしかして光の加護……?」←
「蛮神の信徒にならなくなる?」
心当たりならあるよ。
護りの魔法は沢山あるけど私にかかってるのはヴェーネスの術式で間違いないって。まあかかってるし。
「だからといって未来から来たなどと!いくら何でもありえない!」
エメトセルクが言う。事実だから仕方ない。
ヴェーネスとヒュトロダエウスが私を見る。ヴェーネスが未来の事を話してはダメか言った。
タイムパトロール来ちゃうんで無理です。
エリディブスの言葉を思い出した。
私が戻る場所はここだから、過去で何をしようと変わらない。
私が戻る未来は変わらないけど、ヴェーネス達が別の歴史を歩む可能性はあると話したらしいぞ。
誰も検証してない領域に挑むのがヴェーネスは好きらしい。まあ月を創るくらいだしな。
エメトセルクががっくりと肩を落として、ヒュトロダエウスが笑った。
どんな事実を知っていても未来は訪れる時まで分からないから心配する必要は無いとヴェーネスは言った。
わざわざここを訪れたのには大事な理由があるのだろうとヴェーネスが尋ねた。
終末の災厄を退けたいのよ。
「よければ話してみてはもらえませんか。力になれる事があるかもしれません」
ヴェーネスに言われたけどタイムパトロール来ちゃうんで。
本人に対策聞けるなんて思わないんですけど!?
エメトセルクがため息をついた。
それが本当ならとんだ事情を隠してたものだなって。
まあ言える訳ないし信じてもらえる訳ないじゃない?
エメトセルクも聞く気満々だった。
委員会としてしっかり聞かせてもらうって。
私が何者でどうしてここへ来たのかを。
未来で貴方を殺す者です。
ヴェーネスが落ち着く場所に行こうって。
彼女はエルピスで働く古い知人からの依頼で数日前からここにいる。
ポイエテーン・オイコスに館を借りてるからそこへ行こうって。
部屋じゃなくて館なのすごいな!?
「大丈夫。この出会いはきっと間違いじゃないわ」
ヴェーネス、人の心読めるの?
そうでなければこんな分かりやすい目印を付けて過去の自分の近くに向かわせたりしないって。
向かわせたのは貴女とは別の人ですけど。
「わかりますよ。他でもなく私の考えですもの」
本人がそう言うのならそうなのかな。
2022年7月31日
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