◆◆◆第1話「邂逅」◆◆◆
ある日、モー・カリマッカ(変な名前ですが私です)は、目の前を慌てた様子で駆け抜けていく白いウサギを目撃しました。
「たいへん、たいへん。このままじゃお茶会(零式募集)に遅れちゃう」
そう言って白ウサギは駆けていき、ぽっかり地面に空いたYoutube動画に飛び込んでいいきます。
それを見たモーは、あらあら、不思議だわ。ウサギさんもYoutubeを見てるなんてデジタルネイティブ世代なのね、とぼんやり思いながら、10秒ぐらい経ってから、「ん?」と思いました。
いつもは静かなメテオDCのPT募集が、今週はやけに騒がしいことに気がついたのです。
多いときで10や20ぐらいしかなかった高難易度のタブが、100を超えたり200を超えたり。こんなに募集の出てるメテオを見たことがなかったモーはびっくりして、怯えながら威嚇を始めました。
シャーッ!!! がるるる・・・・・。
野生の本能を呼び覚ましながら、モーは歯を剥き出しにしてうなります。でも尻尾は下がって股の間に挟まれているので、かなりビビってます。
そうです。今週は7.05零式の、初めての週だったのです。
どうなる、モー。がんばれ、モー!
つづく。
◆◆◆第2話「殺意」◆◆◆
7.05零式の、1層の見学会にだけ行ったモーは、とりあえず白ウサギさんの後を追いかけてみようと、Youtube検索欄に「FF14 零式」と打ち込んでみました。
打ち込んだ後、少し首をかしげてから、検索ワードのあとに「かんたん やさしい」と続けて打ち込みました。
長くなった検索ワードを満足げに見てから、いざ、検索。
するとどうしたことでしょう、モーの足元にもぽっかり穴が開いてしまったかのように。
モーは不思議な不思議な零式動画の世界に迷い込んでしまったのです。1層ギミックを動画に説明されながらモーは「りろんはわかる」とつぶやきました。
りろんはわかる。
うごけるきはしない。
しかしそこでへこたれるわけにはいきません。
PT募集欄でよくみる単語で検索してみることにしました。
モーは検索欄に新しく、その単語を入れて……なぜだかその単語を目にしているとお腹が減ってきました。だっておいしそうだから。
モーは少し首をかしげてからその後に「おいしい」と付け加えました。
すると現れた動画には、キツネ色の衣と、ぷりぷりしたハムの。
1層の全貌がまだ分かってないモーは、ハムに小麦粉の衣をつけて油で揚げ始めるその実写動画も、もしかしたら後半フェーズのギミック解説かもしれない、と思いました。いつも見慣れてる14の画面とは全然別物だけど。概要欄を見ると、必要材料も載ってます。このギミックを攻略するための素材でしょう。
(明日はハムとパンとキャベツを買って帰ろう)とモーは思いました。
食いしんぼうの彼女は、そこに目玉焼きも一緒にはさんじゃおう、と邪悪なことを考えていました。
どうなる、モー。がんばれ、モー。
つづく。
◆◆◆第3話「破滅」◆◆◆
その”ハムを小麦粉で包んで挙げたもの”を挟んだサンドイッチはとても美味しく、モーは食べながら(これはIL710級のおいしさだ!)と戦慄しました。
いちいち例えがエオルゼアっぽくなるのはかなりヒカセン脳になっている証拠。
調子に乗って一緒に買った缶ビールも開けてしまいます。
よく冷えたビールとサンドイッチが混然一体となり、モーは夢心地となりました。この美味しさは零式クリア後の装備ロット勝ちに匹敵する幸せ。モーはまだ1層の見学会に行っただけですが。
げふー、とすべてを食べ終えて攻略したモーは、とろんとした夢見心地のまま、しかし少しカロリーが気になりだしました。
揚げ物だしカロリー高いし、大丈夫かな? あ、ちなみにハムを小麦粉で包んでキツネ色に揚げたその料理ですが、PT募集を見てたら急に検索したくなってこれはきっと零式攻略に関係のある何かだとは思うのですが確信は持てず、こっちはリアルの食べるほうなのですけど、って何を言ってるんでしょうか私は、こっちとかあっちとかないでしょう、しっかりして私、でもなぜか頭の中がそれでいっぱいに……。
そんなことを考えていると、彼女の目はやがて、上のまぶたと下のまぶたが近づいていきます。
そう、それはまるであたかもペア割りのように……。
く~、と安らかな寝息が聞こえ始めたのはそれがすぐ後のことでした。
どうなる、モー。がんばって、モー。
つづく。
◆◆◆最終話「零」◆◆◆
あくる日、すべてを悟った目でモーは呟きました。結論を出したのです。
「油で揚げてるから、高温によりカロリーは消えてゼロ」
まさかのサンドウィッチマン方式で、昨日のカロリーを零にしたモー。
その目は悟りを開いた賢者のように。あるいはPT半数以上が壊滅してLB3も溜まってない時のヒラのように、すべてを受け入れる目でした。
モーはさらに、開きっぱなしだった零式攻略動画のタブを見ながら呟きます。
「初週は見学に行ったから、零……式攻略完了」
己を鼓舞するかのようにモーは呟きます。
今日は8月5日。零式第1週は、明日でリセットです。つまり(戦果は)零。
しかしただの零ではありません。ハムを小麦粉で包んで揚げたカツサンドっぽいやつおいしかった、という輝かしい戦果がありました。ビールも飲みました。カロリーはゼロ理論によりこの宇宙から消失しています。かんぺきだ。
彼女はそうして自分を、世界を騙すことにしたのです。
これはなんの日記なんだ、と思う人もいるでしょう。私も書いてて思います。ガイウス様がムビで渋い顔しながら「瞞着……」って言うやつです(瞞着…意味:ごまかすこと)。
でも焦らないでモー。
いつかそのうち零式も本来の意味でクリアできる時が来るでしょう。それがいつかは、きっとモー次第。
今はなんか零式募集多すぎて野良で行くの怖いからやめておくだけで、ほんとのあなたは強い子だから頑張れるはず。たぶん、きっと、もしかしたら、まんがいち。
ボクらはいつだって4層という空を目指して墜ちていくイカロス。
火曜になればみんな仲良く地上の1層。
でもリセットってつまり……やりなおせるってことじゃん!
だからまた、明日がある!! 明日があるから零じゃない!
がんばれモー! この日記は自分を励ますために書きました! えらいぞモー! 正直だ!! 明日はどっちだ! そのうちがんばる!
つづかない~~~!(おわり)
------------------------------
零式って、「れいしき」って読むのが正式でしょうか?
「ぜろしき」って今まで読んでました……高難易度だからカロリーは零。