Charakter

Charakter

  • 0

『憧れ』

Öffentlich
 キラキラしたものが好きだった。
 例えば木々の間から見上げた時の優しい木漏れ日だとか、まるくて可愛いビー玉だとか、夜空に瞬く星の光だとか。
 幼い頃のユキはいつも考えていた。
 何故こんなにも綺麗で、ピカピカ、キラキラしたものが、世界にはこんなに溢れているんだろう、と。
 あっちを見ても、こっちを見ても、そこかしこにあるキラキラ。
 そのキラキラが大好きで、でもどうしてこんなにもキラキラがあるんだろう?と思ったりしていた。

 その中でも一際眩しく見えたのが、御伽噺の中のえいゆうさま。
 お母さんが枕元で読んでくれた、世界を救ったひかりのせんしのお話。
 カッコ良くて、強くて、優しくて。
 でも他の人よりもずっと、ずっと、悲しい思いをいっぱいしてきた、そんな人のおはなし。
 あるえいゆうさまは友達をなくし、あるえいゆうさまは恋人をなくし。
 家族をなくし、家もなくなり、それでも世界を救うえいゆうさま。

 どうしてそれでも。
 このお話のえいゆうさまはキラキラし続けられるのかな。
 悲しくないのかな?さみしくないのかな?つらくないのかな?

 物語はいつでもハッピーエンド。
 世界を救ったえいゆうさまは皆に囲まれて笑っているね。
 でも本当は、悲しかったんじゃないか、笑いたくなかったんじゃないかな、とユキはいつも思っていた。


 だからある時、お母さんに聞いてみたんだ。
 えいゆうさまは、寂しくないの?と。



 ユキは未だに覚えている。
 母は困った顔をした後に、それでも言った。

 寂しい事もいっぱい、悲しい事もいっぱい。きっと苦しい事もすごく、いっぱい。
 だけど嬉しい事も、楽しい事もいっぱい。
 全部が全部、辛い事だなんて事はなかったのよ。
 
 英雄様がキラキラしてるのはね。
 色んな色の思い出を、いっぱい、いーっぱい持っているからなんだよ。
 他の人より悲しんで、その分だけ深く人を好きになれたから、きっとキラキラしていられるのよ、と。

 キラキラと光る、思い出の宝石。
 英雄様はそれを大切にしてたから、いつでもキラキラしていたのだろうか。
 自分に芽生えた憧れは、その大切な、眩いばかりの思い出に惹かれて抱いたものだったのかもしれない。

 突然意識が、混濁しかける。
 あぁ、これはきっと夢なんだろう、と自覚する。
 ちょっとだけ懐かしい母との記憶。
 そして英雄様への憧れをはっきりと自覚した時の記憶。

 まどろみに沈む前に、母は優しく頭を撫でた。
 あなたの心の思うままに。
 そして隣にいる人を大切に。
 そうすればあなたも、いつかキラキラできるから。

 そうして意識は途絶えた。
 声は遠く、手の温かみはもう無い。
 だけど。

 目を覚ましても、この胸の高鳴りは覚えている。
 心の底にあり、いつまでも消えない、キラキラした思い出の記憶。

 光の戦士という名の英雄への憧れ。
 そして過ぎ去った在りし日の、今は亡き母との思い出。
 自分の心の宝石にも、きっとキラキラした思い出が少しはあるに違いない。
 そしてそれはこれからも増えてゆく、そんな予感がするのだ。

 手を握りしめる。
 今はまだ足りないかもしれないその輝きも、いつかは眩い宝石箱のように煌めく事を信じて。

 少しづつ。けれど、ひたすらに。
 光の戦士の背中を追いかける。
Kommentare (0)
Kommentar verfassen

Community-Pinnwand

Neueste Aktivitäten

Die Anzahl der anzuzeigenden Einträge kann verringert werden.
※ Aktivitäten, die Ranglisten betreffen, werden auf allen Welten geteilt.
※ Aktivitäten zur Grüdung von PvP-Teams können nicht nach Sprache gefiltert werden.
※ Aktivitäten deiner Freien Gesellschaft können nicht nach Sprache gefiltert werden.

Nach Art des Eintrags sortiert
Datenzentrum / Stammwelt
Sprache
Anzahl