今日も俺は、雇い主である若き冒険者に、長めの説教を食らっていた。
いつもの事だが、声が高くて耳が痛い。
「18時間でギガントードの皮1枚って、あんたサボりを隠す気もないの!?」
こちらの言い分もあるのだが、今言うと火に油だ。
この雇い主は、この世界でも指折りの冒険者で、各地で蛮神を倒して回っているらしい。
新しい蛮神が生み出される度、仲間と討伐に出向き、戦利品を持ち帰ってくる。
そしてそれを惜しげも無く、召使い(俺)に装備させるのだ。
売ったらいくらになるか分からない様な、貴重で豪華な装備を躊躇いもなく。
持ち逃げした所で、俺には逃げ切る自信も、売りさばくツテも無かったが、
それでも不用心過ぎると毎回思う。
今回も説教はまだまだ続きそうなので、ほんの少し前の、人生最高の瞬間を思い返す。
雇われたばかりの頃、俺はただの倉庫番だった。
給料は、良くも悪くもなく、普通。
平民が着ける職業の中では、結構上位の職業なのだが。
倉庫番の仕事に慣れて来た頃、情勢が変わり仕事に変化があった。
ただの倉庫番に「冒険者の真似事」をしろと言うのだ。
肉体労働があるとは聞いていなかったし、モンスターは普通に怖い。
絶対やりたく無いと思ったが、決められた時間内に、言われたアイテムを納品すればいいだけらしい。
しかも、給料は先払い。
(こんな楽な仕事で、今よりいい給料が?)
最初は疑ったが、本当に先払いで、ベンチャースクリップと呼ばれる、換金用硬貨を渡してきた。
アイテムは、売られている物を買って持っていっても問題ない様だ。
しかも毎日のように依頼が来るので、どんどん懐は潤っていった。
その金を使って夜遊びも覚え、いい飲み屋にも通うようになった。
こんなに楽で美味しい仕事、他にはない。
高い酒を飲みながら、俺は自分のツキに乾杯した。
しかし、そんな美味しい話がいつまでも続く訳がない。
そこで現実に引き戻された俺は、若い冒険者である雇い主の、長い長い説教がひと段落するのを待ち、
「すみませんでした。」と、頭を下げた。
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