近年、海賊という「伝統業」から脱却し、新たな海洋ビジネスを探るリムサ・ロミンサの指導部。
しかしながら、彼らの新規事業の地下に、汚濁にまみれた黒い暗渠が設けられていることを知る者は少ない。
今回、週間レイヴン編集部は、彼らの推し進める「無人島開拓」の深い闇を追った。
■無人島開拓とは
2年前、黒渦団率いるリムサ・ロミンサは、その領土に点在する無人島を積極的に開拓し、新たな貿易拠点とする施策を打ち出した。
未だ人の手が入っていない無人島で、草木や希少な岩石等々を採取し、畝に種を撒いて野菜や果実を育て、家畜・家禽を飼育し畜産物を得た上で、最終的にそれらを加工して販路に乗せる――。
経済活性化のテストケースとなったこの事業は、シェルダレー諸島がその嚆矢となり、現在は解体された元「暁」のメンバー、タタル・タル女史を仲介として、とある冒険者の手に渡った。
この施策は上手く働き、黒渦団は貿易拡大を大いに喜んだという。
――最初のうち、は。
■朽ちた島
開拓が始まってから2年。
突撃取材を試みた記者の目に飛び込んできたのは、あまりに非倫理的な、残酷な光景だった。
土に埋められたまま放置され、小さな芽が頼りなく萎んでいるだけの、荒れ果てた畑。
建造したはいいが、何に使うでもなく風雨に晒されたまま廃墟と化したランドマーク。
そして、何より記者の胸を痛めたのは、給餌を絶たれて久しい、骨と皮だけになった家畜たちだった。
当誌はこの惨状を受け、無人島の准管理者であるねこみみさんと、畜産を担当するぼくちくくんに直撃取材を試みた。
以下はそのインタビューの受け答えである。
――現在の無人島の無惨な現状をどう考えていますか?
ねこみみさん「(荒れ果てた原因は)ぼくたちじゃないですにゃー」
ぼくちくくん「冒険者じゃないの?」
――ここでは毎日給餌をしないにも関わらず、畜産物を剥ぎ取っていますよね?
それについては?
ねこみみさん「しらない」
ぼくちくくん「(無人島開拓は)すんだこと」
――これは動物虐待……エオルゼア鳥獣保護法に抵触しているように思います。
ねこみみさん「冒険者が勝手にやったことだにゃー」
ぼくちくくん「死ぬまで搾り取る。それはできるよね」
――お二人は、現状の無人島を変えようとは思わないんでしょうか。
ねこみみさん「ぼくたちもメンテナンスされてないから、もうすぐ機能を停止すると思うにゃー」
ぼくちくくん「限界集落に配置された故障寸前の魔法人形と、餓死寸前の畜生。お似合いかもしれない」
――お忙しい所、本日は取材に応じて頂いてありがとうございました。
ねこみみさん「モノは皆、結局朽ちるにゃー。でも一番心が痛むのは、ぼろぼろになった廃墟そのものよりも、何も出来ないまま、ただただ朽ちていく過程を見続けることだにゃー」
ぼくちくくん「一理ある」
■おわりに
ここで本件の取材は終わった。
記者はインタビューに応じてくれた礼を述べて、無人島……正真正銘の無人島を後にした。
無人島開拓にどんな課題があったのは、その現状を暴くことを目的にした本記事では敢えて触れない。
だが、末筆ながら強く思うのだ。
だとえ動物であろうと植物であろうと、生命たちの尊厳が放置されている事実を看過すべきではない、と。
黒渦団にはただちに事業の見直しをし、道徳に沿った無人島開拓計画を遂行すべきだ。
併せて、開発の魅力を提示し、冒険者が捨てることのない仕組みを捻出するのは急務と言えるだろう。
(週間レイヴン 特別号 11/11発売 / 文責:Marosuke Kijima)
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