第21章 かつて星を救った英雄たち宇宙きたー!!
息もできる!
重力もある!
ハイデリンは青かった!
テンペストでみたのと同じ形のエーテライトに、城みたいな綺麗な建物。
アシエンたちの別荘かな……いやーでもあの人らのセンスじゃないね。
すると、どこからともなく私を呼ぶ声が。
????「……者よ……こちらに…………。
ハイデリンに導かれし者よ…………。」声に導かれるまま建物を登っていくと、かつてテンペストで見た古代人のような人がいた。
ただ、着ているローブは黒ではなく、まるで白磁に星を散りばめたような美しい柄をしている。
ふむふむ、彼はハイデリンに創られた人で、ゾディアークの監視をしているらしい。
月の監視者「大穴のまわりに、6つの構造物があるのが見えるだろうか?
あれらがすべて破壊されたとき、ゾディアークが解き放たれる。
先ほどの攻撃で5つが砕け、うち1つを修復……。
残り4つの「剣」も、全速力で修復を試みているのだが……。
ゾディアークを構成する、贄となった者の魂。
その思念が、封印が弱ったことで浮かび上がっているのだ。
彼らが「剣」の修復を阻害している。
どうにか排除してきてはもらえないだろうか?」そういえばここに来る前にも一人彷徨い歩く古代人の影のようなものを見たっけ。
でも彼らは星を救うために自ら犠牲になった人々だと聞いている。
悪いやつならともかく、彼らを倒すのはねぇ……。
監視者の反応は意外そうだ。
まあこっちはハイデリンのテンパードじゃないですし、自分の意志で判断させてもらってますよん。
月の監視者「彼らを排除してほしいと言ったが、
なにも戦う必要はない。
まずは古き人の思念に触れてみて、
どうするか判断するといい。」とりあえずこっちに任せてくれるみたいだ。
ひとまず各所で彷徨い歩く彼らに触れてみるが、誰もまともに会話ができる様子はなかった。
曖昧な言葉をつぶやいては消えていく、まるで指で触れては弾けて消える泡沫のよう。
ただ彼らの言葉を聞いて、終末によりもたらされる死が不死であるはずの彼らでも回避できないほど凶悪なものだということは理解できた。
そもそも終末とは、創造魔法の暴発によってもたらされたものなのか、それとも創造魔法が暴発する原因となったものを指すのか、そのあたりの理解が曖昧なんだよね……。
周りに古代人の影がなくなると、突然目の前に光に包まれたワンちゃんが現れた。
アフガンハウンドにも似た、ゴージャスな長毛種のワンちゃんだ。
監視者のペットだろうか?
すごい懐かれているらしく、先導で次の剣までの道案内をしてくれた。
よしよしよしーって撫で回したい。
しかしややこしい地形だ……飛べるようになるまで覚えられる自信がない……。
うわ、なんだなんだ、このサボテンダーみたいな生き物は。
Aモブのサボテンダーバイラリーナもびっくりするほどバイラリーナっぽい。
このエモちょっと欲しいぞ。
ワワッ、いっぱい出てきた。
想いを囁く幻影「終末が振りまいた「絶望」というものは、
あまりに理不尽だった。唐突だった……乱暴だった……。
あんなものが在ってはならない。
だから私たちは、命を捧げてゾディアークを創ったのだ。」
祈りを囁く幻影「ゾディアークが……私たちが世界を救う……。」
願いを囁く幻影「取り戻すのだ、楽園を……。」
憂いを囁く幻影「星と愛しあっていた、あのころを……。」
誓いを囁く幻影「そして人は再び、星の意志となる……。」
想いを囁く幻影「命を紡ぎ、天地を満たし、
一切の絶望なき世を創るだろう……。」過去の輝かしい情景に縛られているのか、漏れ出る言葉は狂気じみてきている。
気づけば大量の思念に囲まれて逃げ場がなくなっていた。
戦うのか? 戦うしかないのか?
あたふたしていると、どこからともなく気の抜けた声が流れてきた。
私を取り囲んでいた思念たちが、道を開けるように姿を消し始める。
懐かしい雰囲気の幻影「……ああ、やっぱりアゼムの色だ。
その魂を持つ、けれどもアゼムではないキミがここにいる。
いることを認められている。」そののんびりとした口調と物言いはまさか……。
ヒュトロダエウス、創造物管理局局長でエメトセルクの友人。
彼とはかつて幻影のアーモロートで二度出会い、そのたびに助言をもらっている。
そんな彼がなぜこんなところに?
ヒュトロダエウス「エメトセルクがワタシの幻影を創った……
それも、アーモロートごと……。
フフ……エメトセルクがねぇ……フフフ……。
でも本当に、ずいぶん時が経ったんだね。
彼が、失くすことを、そんな風に悼むようになるなんて。
残念ながら、ワタシはキミが出会った幻影とは別物だよ。
別物というか……本物(オリジナル)というか……。
ゾディアークを成す、贄となった魂のひとつなのさ。」そういえばそうだった。
あまりにもそのままなんでそのことを失念していた。
当時の人類の半数を贄として捧げたと聞いていたけど、彼もその一人だったとは。
それにしてもエメトセルクのことを語る時の彼は楽しそうだ。
ヒュトロダエウス「キミたちが、ゾディアークやあの星を、
どこに導いていくのかはわからない。
……でも、ワタシは信じるよ。
エメトセルクと出会って、そしてここにいるキミを。」
ヒュトロダエウスはすべて理解した上で、私たちに星を預けることを納得してくれている。
それなら、私はなんとしてでもファダニエルたちの思惑を阻止しなければ。
それにしても、託せた、かぁ……。
エメトセルクも心の奥底では、過去を取り戻すという願いより、まだ見ぬ未来に進んでほしいという考えに同調していたのかもしれない。
秘話でも語られていたけど、ソルが初めて息子の顔をなでた時に願ったことって、つまりそういうことだったんじゃないかな。
そこに鳴り響く轟音。
音がする方に視線を向けると、封印の剣が一つ崩れ始めていた。
ヒュトロダエウス「おや、「剣」がひとつ壊されたね。
近くにいるのは……ああ、この色だと、今のファダニエルかな。
もう片方は誰だかわからないけれど……
なんだかすごいのが来たみたいだ。」語彙力ぅ。
それはそうと、無事な剣は再び残り一つに戻ってしまった。これはまずい。
ありがたいことに、この場の思念たちははヒュトロが収めてくれると言ってくれた。
彼にまかせて、私は最後の剣へと向かおう。
ヒュトロダエウス「では、良い結末を。
懐かしく、新しいキミ…………」ワンちゃんは乗るもの。
いいなぁこの子、たまに別の場所でも乗ってる人見かけるし、どこかでホイッスルが手に入るのかな。
最後の剣に到着するも、見せつけるように目の前で破壊されてしまった。
というか、こんなあっさり破壊できるならあんな大掛かりな砲台とか必要だった?
ファダニエル「ゾディアークからは、
エリディブスという核が抜け落ちている。
さながら、本能のみで生きている赤子です。
使うも乗っ取るも、たやすいこと……。」なんかガ○ダムとかエ○ァみたいね。
ゼノス「さて……。
いよいよだが、お前はどうしたい?
俺としては、かの蛮神を喰らい、世界を喰らったあと、
怒れるお前と狩り合いたいものだが……」こっちの怒りはすでに怒髪天超えて有頂天だよ!エンピレアムだよ!
そのきれいな顔ボッコボコにしてガレマルド全市民の前で土下座させてやんよ!
武器を構えにらみ合う二人。
しかし、交差するはずだった殺意は呑気な声によって霧散する。
ファダニエル「ああ、すみません。
戦うなら「こっち」を先にしてもらえますか?」ファダニエルが両手を広げ、清々しい表情のまま穴に落ちてしまった。
こういうときくらいちょっとは空気読んでよ。
この瞬間、最も意外な反応をしたのはゼノスだった。
明らかに動揺している。
戦う以外、何をしても何をされても無関心だったこの男が、初めて見せた人間らしい表情だ。
ちなみにこの表情撮るのに3回くらいカットシーン見直したのは秘密である。
ファダニエルが落ちて少しの間のあと、ドクンと大地が脈打つ。
これはいよいよゾディアークが復活してしまうらしい。
突如視界を覆った闇の中で、かつてゾディアークの贄となった人々の声がこだまする。
それは世界を救う願い、過去を取り戻す決意、そしてその想いを利用されることへの嘆きだった。
いいですとも!
かつて世界を救った英雄たちの願い、今の英雄である私が叶えよう!
誰!?
中の人的にはすごく聞き覚えがある声なんだけど、それは置いといて……。
エメトセルクをハーデスと呼ぶのは、もしかして……?
いや、今はそれより眼の前のゾディアークだ。
古代人が創った割には見た目が禍々しいなぁ。
もっとビジュアル大事にしよ?
さあ、BGMもかかって盛り上がってきたし、いつものアレいってみよう!
時空を超えてきたれ!
ひとたび我らに力を貸したまえ!
彼方の勇士、稀なる強者達よ!
それから色々あって……
討滅完了!
戦ってる間、金色の小さなゾウさんとかパッスルドレス着た白い妖精さんが見えた気がするするけどきっと気のせいだと思う。
いやーそれにしても強かった。
全滅こそしなかったものの、あの「耐えられますか?w」のあとの連続頭割り攻撃は一人でも欠けるとなかなかヤバいね。
特に森羅万象ぐるぐるは復習しておかねば……。
はたしてゼノスはこの光景を見て何を思うのか。
強き神だと期待していたゾディアークへの落胆か、それとも?
心なしかいつもより辛そうな表情に見えるのは私の気のせいだろうか。
月の監視者「待たせてすまない……!
ゾディアークを、ひとまず再封印するだけの準備が整った。
まずは貴殿をこちらへ退避させる。
転移魔法に備えてくれ……!」あ、そうか、トドメさしちゃうとまずいんだった。
それならファダニエル引きずり出して一旦脱出しないといけないね。
でも完全に融合しちゃってるっぽいし取り出せるのかな。
それともまとめて封印?
ゾディアーク「ふふ……くくく……。
不完全とはいえ、ゾディアークの力でも倒せないなんて。
本当に、本当に厄介な人たちですね……。
ですが……残念、私の勝ちです!」なんと、起き上がったゾディアークが自分の核を破壊してしまった。
ゾディアーク「最初から、狙いはこちら……
ゾディアークを殺すことだったんですよ。
ついでにあなたを潰しておけなかったのは残念ですが、
このとおり、本懐は遂げられる……!
さあ、今度こそ始めるといたしましょう……
真なる終末の災厄を!」ただ淡々と流れるファダニエル、もといアモンの最期の独白。
「かつて同じ魂を宿したあの男」とは初代ファダニエルだろうか。
「彼の掛けた問い」とは一体なんだったのか。
かつてゼノスとの問答の際、アモンは自分も同じく過去の夢を見ると言っていた。
なら、その問いはその時受けたものだということ?
それにしてもこういうちょっぴり切ないシーンをシルクスのアモンの格好でやるのなかなかシュール。
素顔は最後まで見せてくれないんだろうか。
いやいや、今はそれよりもゾディアークが消滅してしまったことが問題だ。
それにあれが消えたということは、その贄になった人たちやヒュトロダエウスも……。
地表に戻ってひとつ息をついていると、突然視界が赤く染まる。
歪む視界、耳鳴りのような雑音、そして絞り出すように響く憎悪に満ちた歓喜の声。
星空に浮かぶハイデリンが虫に食いつぶされるようにたちまち黒く染まって――
月の監視者「息を吐くんだ、呼吸に意識を向けて……。」その声で、我に返った。
改めて見上げたハイデリンは、訪れた時同様、青く輝いている。
どうやら今見たのは超える力による終末の予兆だったらしい。
本格的にまずいことになってきた。
こんなときは慌てず騒がず、まずほうれんそうだ。
一度戻って暁のみんなにも知らせないと。
うへぇ、またなにか出てきた。
これ以上の厄介事は勘弁……と思ったら見覚えのある大鎌――なんだ、ゼノスか。
ゼノス「新たな獣が、お前の縄張りに踏み込もうとしているのだろう。
その目も、耳も、牙も、もはやこの身に向けられてはいまい。
また、探さねば……
かつて神龍にそうしたように、お前が闘志を注ぐものを。」また勝手なことを!
前から思ってたけど、どうもこの男は自分から挑むということを知らないらしい。
怒りも絶望もお腹いっぱいだから結構です。
ゼノス「…………そうか。」ゼノスはそれだけつぶやくと、何をすることもなく去っていった。
ただすれ違う時、ねっとりとした視線を向けてきたので、目を合わせないようにするのに必死だった。
それにしても、ゼノスにしてはずいぶん聞き分けがいい。
正直、ヤケになって「全部壊してやろう」とか言い出したらどうしようかと内心冷や汗だった。
……ははぁん、わかった。
唯一の話相手だったファダニエルが自分の目的を遂げて消えてしまったからしょげてるんだな。
他人と考えが違う者同士、互いに利用してるだけのつもりでも通じ合うものがあったんだろう。
悪友と一緒に嫌がらせを画策するのも結構楽しんでいたのかもしれない
いくら孤高を気取ってても、ゼノスも人間ってことだね。
月の監視者「……あの若者の気配が消えた。
この月から去ったようだ。
貴殿があえて彼を追わないのであれば、
私から、改めて話をさせてほしい。
ゾディアークのこと……いにしえの終末のこと……
私の知り得るすべてを託そう。
あの青き星の、未来のために……。」そうだ、まずはみんなで話し合わなくちゃいけない。
これから私たちはどうすべきなのか。
ただ一つ気になっていることがある。
さきほどの予兆で聞いた声は、一体だれのものだったのだろう。