Charakter
朝の日課も終わったので、来た道を戻り、今度こそ冒険者ギルドの扉をくぐる。
長年一緒にいるであろう、和気藹々としている人々もいれば、自分と同じように一人でこの場に足を運んでいると思われる冒険者もいる。
「おはようございます」と一声かければ、「今日も?」と返される。連日同じ事をしていれば流石に覚えられてしまうのだろう。少しだけ苦笑を浮かべた。
「今すぐにでも出発できるわよ」
「お願いします」
受付嬢が奥にいる団体に声をかけ、その中のリーダー格と思われる男が自分の方へと歩み寄ってくる。
ここ数日、彼女は蛮神・ラムウの調査を続けていた。毎日違う冒険者と組む事になるのだが、組む相手にはやはり自分と合う合わないがあり、成果は芳しくない。
けれど彼女はそんな事を言い訳にせず、日々自分の腕に磨きをかけ、知識を蓄えながら挑み続けている。
近寄ってきた男は多くを語らなかった。
蛮神ラムウに関する経験と彼女の実績だけを聞き、それに応えると「行くぞ」と短く告げられる。
他のメンバーも似たような重苦しい雰囲気なのかと思っていると、気さくに話しかけてくる白魔道士やモンクもいた。隊を組むまではやはり少しばかりの不安を覚えるが、こうした雰囲気の冒険者がいる事に安堵を覚える。
全員がチョコボに騎乗したのを確認すると、リーダーの合図と共にグリダニアを後にした。
「はぁぁぁぁぁぁ───」
がっくりと肩を落とし、いつもと同じくラベンダーベッドの帰路についていた。
衣服はぼろぼろ。髪だって乱れている。流石にこんな格好で食事を取りにいくわけにもいかず。加えて先日よりも更に遅い時間だ。誰も起きていないだろう。周囲のカンパニーハウスも消灯していた。
今朝組んだ冒険者達とはそう時間もたたないうちに別れを告げる事になってしまった。
理由は多くないが、よくある責任の押し付け合いだった。
その後もグリダニアに戻り、何度か違う冒険者達と組んでみた物の、やはりというかなんというか、後一息の所でラムウに認めてもらえず、こうして帰路についているわけだ。
「手応えはあったし……明日こそ……」
疲れた自分の心身を鼓舞するように、一日の成果をまとめてみる。
結果だけ言ってしまえば、本日の失敗の原因は彼女に責は無い。それでもストイックな本人は、まだまだ自分が未熟だと思い、「やっぱりあの場面は───」だとか「雷鼓で繋がれた時の───」等と、自問自答をしていた。
口に出すつもりはなかったのだが、ブツブツと考え込んでいると、気がつけばカンパニーハウスの前までたどり着いてしまっている。慣れとは恐ろしい物だ。
当然のように灯りは消えていると思っていたのだが、談話室だけが明るかった。「まさか───?」と思い、けれども皆を起こすのも気が引けるので静かに玄関を開けてみると、やはり誰もいなかった。
「ん───?」
見慣れた机の上に見慣れない一枚の紙といくつかの食器が置いてあった。
宛名には自分の名前が書いてあったので、短い文章に目を通してみる。
『おかえり。上手くいった?もし失敗してても、次は上手くいきます!』
『おかえりなさいませ。食事を用意しておきましたので、良ろしければ───』
恐らく上の文章がマスターである彼女の物で、下に書いてある丁寧だが堅苦しいのがリテイナーの物だろう。
最初こそ呆気に取られてたが、呟くように「ありがとうございます」と、その場にいない相手に礼を言い、静かに席につく。自室で食べても良かったのだが、何故だかここで食べたくなってしまった。
疲れているのであまり食欲もなかったのだが、一口食べてみると不思議な美味しさがあった。あまり胃が受け付けないのでは?という心配もあったが、気がつけば完食してしまっている。味付けや食材等、食べやすい物を選んでくれていたのかもしれない。
「ごちそうさまでした。ありがとうございます」と再び小さく礼を言う。
特に根拠は無いが、明日も頑張れそうだな、と感じる事が出来た。
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あとがき
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。
今回はFC内の出来る詩人さんをモデルに書かせていただきました。
タイトルと同じ印象の方で、それでいて優しく、人付き合いも良い素晴らしい人です。
練習PTに通う方や、弱音・愚痴を吐かない方はこうして頑張っているのではないか?という想像の元、こういった話になりました。
それを陰乍ら応援している方や、うちのマスターならこういう感じかな?という、あまりオチらしくないオチにまとまりました。個人的には気に入ってます。
余談ではありますが、執筆中にモデルの方が髪型を変えられてしまったので…以前の髪型のまま強行しました。ごめんなさい;;
そろそろ男キャラ主役の話も書きたいなぁ…と思ったんですが…うちのFC男キャラあまりいないんですよね、実は(ノ´∀`*)
なかなかストイックに描いてもらってて、嬉し恥ずかしだね(^^;)
練習pt好きやから行ってるけど、ばっちり観察されていたとは…
何はともあれタイミング悪く見た目変えてごめんね!笑
>Jhon Doさん
IDに疲れた時にFC窓開いてたら、何度か見かけた事があったのでw
セリフはあまり無かったのと、文字数が多くなってしまったので、読み辛くて申し訳ない。・゚・(ノД`)・゚・。
髪型に関しては、私もかなりタイミングが悪かったのでこちらの責任ですよ!
ジョンちゃんはイメージどおり!
文章全体から心地よい空気を感じますね!
>O'puku先生
今回は文字が多くなってしまい、読みにくくて申し訳有りません。
重ねて、あまり読み物が得意ではないと仰っていたのに読んでくれてありがとうございます!