世界巡覧の回顧録:サベネア島イェドリマンサベネア島の海の玄関口、イェドリマン。太陽光の強い熱帯地域のため色褪せない極彩色が豊かに使われている。エーテライトはオールド・シャーレアンと全く同じ新型だが、街の意匠や在り方は両者全く異なる。
こういう人間味溢れる街が大変好き。
船着き場。土と石で造成された埠頭は都市計画的に造られているが、周囲の木造桟橋は使い勝手に合わせて後付けされたように見える。船の乗上げもできるスロープが付いている。偉い。
イェドリマン周辺は遠浅で小型船しか入港できないらしい。
停泊している小型船。主に漁と物流運搬が用途だろう。孔雀の羽のようなデザインの帆が大変特徴的。帆は縦帆式。
現地で地産できる木材と膜材を主材料としているように見える。後方の盛上がっている部分は荷置きだろうか。雨よけの布屋根が素敵。
埠頭で荷下しされた物は陸側へ運搬される。陸路側は人力車か手運び。人力車は見えるが階段にスロープが付いていない。階段上に板敷して運搬時のみ一時的にスロープを造るのかしら。人も街も在り方に独自の色が出ていて面白い。
イェドリマンの対岸に位置するアルネア島。イェドリマンは遠浅のため停泊できるのは小舟のみだが、アルネア島周囲は水深があるため大型船も停泊できる。貿易や遠方からの観光客の受け口はアルネア島で、そこから小舟で分散して本島に渡る。
この一帯を仕切る商会の拠点建物。極彩色。石材による組積造。四周立派な壁を回した安定した構え。屋根は緩い曲面勾配の瓦葺き。雨が多い土地のためか苔むした屋根瓦は味があってとても好き。
商会建物の内観。内部も極彩色で飾られ活気ある印象を受ける。事務作業をしている受付、特産品など数々の商品が置いてある。
組積造でロングスパンを飛ばすことは難しいためか、建物の中心に大黒柱が立ててある。また面白い意匠の柱だ。
商会建物。ラザハンの特産の一つはシルクの織物。建物内を見渡すと至るとこに織物が見られる。壁に丸めて立ててあったり、インテリアとして掛けてあったり。サベネア島の他の特産としては、香辛料・果実・魚・錬金薬などなど。
サベネア島やラザハンでは象のモチーフが度々見られる。商会建物の照明掛けも象を模している。アルカソーダラ族が象の系統であったり、その祖とされる象頭の神獣が信仰として根付いていたりと、文化のルーツ的に象が大切にされているようだ。
民家。組積造。恐らく主材料となる石材は現地で採れたものだろう。屋根材も石材のようだが、屋根受けの梁はどうやら原木材を丸太組みにしている。
石材は梁にあまり向かない。材料の向き不向きを意識した設計だ。好き。
よろず屋のテント。仮設ではなく本設に見える。テントと言うよりは膜屋根の建物と捉える方が良いのかもしれない。地面にピン打ちされたロープの張力で膜屋根が張られている。膜材の柄や色使いが独特で目を引く。でもぼったくりには注意。
よろず屋のテント内部。中央吹抜けの2層の木造構造物。主な用途は商品のストックのようだ。木製の一本梯子が立て掛けてあるのが見える。これで昇り降りするのか。ご安全に。
民家外壁。ここにもわかりやすい象の意匠が見られる。サベネア島は象大好きだな。
窓枠の形状、上側が玉ねぎ状に湾曲していて独特。いわゆる擬宝珠のようなモチーフだろうか。この地方ではあらゆる物の頂部にこの形状を持ってくることが多い。
西側の門の意匠。まるで門の上から象が出迎えるような面白いデザインだ。門の壁にも象の顔の意匠が入っていて、象の目はラザハン国旗にある真眼に似ている。本当に象が大人気な文化風土だ。
西側の建物。入口に物資が積まれている。守衛をしている星戦士団たちの駐屯所だろうか。
建物を見上げるとここにも大きな象の姿が見られる。極彩色の色使いと相まってよく溶け込んでいる。
郊外の木人。ワンポイントで極彩色が入っていたり、頂部が擬宝珠形状になっていたりと、この地域らしいデザインが随所に見られる。
Color of Thavnair
市場の屋根。市場は屋根だけ掛かった半外部空間となっている。陸屋根の方は石で、丸みを帯びた方は木が建材として使われている。どちらも地産材なのだろう。極彩色の効果なのか活気や賑わいが強調されて見える。
市場。ラザハン織物や魚、穀物類など、土地特産のものが所狭しと並んでいる。商品を確認する者、商談に忙しい者、新たな販路の話に花が咲く者など、喧噪から活気が伝わってくる。これは見ているだけでも楽しい。
市場の隣の建物。そこそこ規模が大きい。この建物だけ高床になっている。用途は市場の倉庫か、はたまた迎賓用の建物か。階段側面の石細工は象の鼻がモチーフかしら。
市場の隣の建物。屋上はフラット屋根でハッチから出られるようになっている。植栽やベンチがあったりと普段から使われている空間のようだ。隅には庇と置き荷。
用途が想像の域を出ないが、これだけ広いと立食会すら開けそうだ。
市場の隣の建物。屋上の奥には衝立で仕切られた東屋がある。展望が良い半外部で、絨毯・四人掛けの円卓と、高級感のある空間になっている。食事会や会談にでも使用するのだろうか。
初めてここを訪れた時に大変お世話になったベンチ。後ろの建物は平面形状が不整形だったり一部1階がセットバックしていたりと何だか面白い。新築時に計画していない増築をどんどん重ねていくとこういう形に至ることが多いが、真相は果たして。
陸側正面の建物。ふんだんに極彩色で飾られた大きい建物で良く目立つ。入口の置き荷の込み合い様と気密性の高い外壁から、用途は倉庫と見た。屋根は急勾配のアーチ、雨溜まり防止の意図かしら。
アキャーリイェドリマン東の小さな漁村。漁に使う釣り竿や銛が立て掛けてあったり、採れた魚が天日干しされていたりと、慎ましくも活気ある日常風景。フラットな足場が必要なところは木で作業床を敷いている。
沿岸漁業の足場。小舟を使った沖合での漁業に対し、泳いで行けるような比較的岸に近い所で漁業ができるように設けられたものだと思われる。おいてある壺を覗くと、掛かった魚が入れられている。膜屋根付きで簡素ながらも機能的。見目も可愛らしい。
言わずと知れたブランコ。自生した樹木を活かして造られている。村にいる子供たちが遊ぶためのものだろう。自然と共存しながら生活するサベネア島の暮らしが伺える。
浜で漁業に使う網の手入れをしているアルカソーダラ達。平坦な作業面が不要なところには木製ステージを組んでいない潔い計画。
必要なものを必要な分だけ。これが自然と共存する在り方なのかもしれない。
「ご馳走様」の宛先
デミールの遺烈郷岩陰の入江にひっそりと佇む錬金術の集落。水辺のエーテライトの周りは桟橋状の船着き場になっている。アルネア島からの物流ルートを考えると海路があった方が何かと便利なのだろう。自然地形の活かし方が見事。
遺烈郷の建物。極彩色豊かな石造りの建物。錬金術関連の建物が多く、縦長で煙突から白い煙が上がっている。一部建物は自然岩と混ざり合ったような立面も見える。錬金術の発展と共に建物も増築し続けたような印象を受ける。
遺烈郷の民家。一部民家は自然岩を掘り込む形式としている。扉のデザインが可愛らしい。遺烈郷の立地自体もそうだが、自然の地形をそのまま活かす使い方が多いようだ。
遺烈郷の建物頂部。錬金術の研究が盛んな集落だけあり、建物頂部には高架水槽らしきタンクや沢山の煙突が据え付けられている。必要に応じてどんどん後付けしていったような印象を受けるが、それもまたこの地域の味だろう。個人的には大好き。
錬金術の作業場。極彩色の石造りの部屋。左右に錬金術用の窯が並び、それぞれ白い煙を上げている。無窓空間でこもった熱と湿気が錬金術の活気を示しているかのようだ。
錬金術の作業場の片隅に、石製の挽き臼を見つけた。挽かれた粉末が桶に流れ溜まる仕組みだ。他の場所ではあまり見ない什器だが、粉末を頻繁に扱う錬金術にとっては日常風景だろう。
建物や什器は、人の営みを静かに教えてくれる。
錬金術の作業机。これまたあまり他所で見ない机だ。丸い所に座るのかしら。胡坐か正座かしら。
机の上は書物、天秤、すり鉢や顕微鏡など、いかにも研究最中の散らかりようだ。ここでの研究が未来を良い方向へ導いてくれる。
錬金術の作業場、部屋の上部に渡されている垂れ幕飾り。この金物もよくみると象がモチーフの形になっている。細かいところまで拘り抜かれていて、象が大切にされているとこが良く分かる。
錬金術の作業場、部屋奥の錬金窯。暗くなっていて目立たないが、よく見るとこの窯の管も象をモチーフにした意匠になっている。特に眼の作り込みに拘りを感じる。ラザハン国章にもある真眼由来かしら。
変な色、変な匂い。
みんなの努力が滲んだ煙。
カジャーヤ演舞場演舞のためのステージ。石造り。見晴らしが良く、ラザ・ハンを正面に捉えた立地は計画的。カジャーヤは武の舞踏クリークタンツの祖の名。
4人の踊り子の石像、花開く極彩色の床の意匠、扇を連想させる孔雀。どれも踊り子に所縁あるモチーフで飾られ、華やかな演舞場を演出している。
ハンサ牧場跡ハンサはサベネア島の特産で、昔はこの地がハンサの牧場だったようだ。ハンサの巣、風化した建屋と柵がその面影を残している。
ハンサの巣。サベネア島はハンサが昔から特産。元はこの地で木床にハンサの巣を置いて飼育していたのだろう。未だ原型を留めている巣も一部見られるが、ほとんどは床が落ちて風化している。
あと柵がちゃんと極彩色を帯びているのが細かい。
風化した建屋。屋根が落ち、柱と壁は一部欠けるものの、根本は比較的健全で、せん断力による斜め方向の亀裂等は見られない。
壊れ方から見るに、強風や地震ではなく、経年や塩害など躯体の劣化に伴い自重に耐えられなくなったといったところか。
ギガントガル採石場サベネア島の特産石材を採る作業場。採石によって人工的な矩形立面になった岩肌が特徴的。岩肌の鮮やかさ、極彩色の垂れ幕、作業している採掘師が相まって大変活気付いて見える。
採掘現場の作業風景。高所作業は木組みの仮設足場を用いる。これなら作業幅は十分とれる。高所作業のため作業員の腰にはロープ、頭にはヘルメットが装備されている。
熱中症・日射病・墜落事故等に十分気を付けて、それでは本日もご安全に。
トラーナ関門一時は厳戒態勢で閉じていたトラーナ関門。この向こうにラザハンがそびえる。門は横へスライドして開閉する伸縮門扉。ジャバラもしくはアコーディオンと呼ばれる形式で、幅員が大きい門に適している。スライド用に足元に溝が設けられている。
関門からラザハンへ続く巨大な石橋。主材料が石材のため、頑丈で安定感のある反面、重量を支える柱断面がかなり大きい。鉄筋無しでアーチ構造でもないということは、柱から柱までは一枚岩かしら。
色も形も変わる空
人と物なら変わらぬか、都の色ならただ一色か
スワルナの大蔵定点観測 その1
定点観測 その2
パーラカの里衆園の森の集落。神獣や寺院の守護者らが主に暮らす里。観光や特定産業を売りとしないため、閑静な土着集落となっている。里全体が一段低い堀内に作られ、外観は人工物が目立ち難いように計画されている。宗教思想上、環境へ配慮した形かしら。
大地から隆起して顔を出す巨象の偶像。もともとこの里はアルカソーダラ族達が興した土地らしく、周辺の地名にも種族特有の名前が多く残っているようだ。
巨象はこの里を見守る守護神か、先祖様なのかもしれない。
里の民家。主建材は木。高床式で藁ぶき屋根。この地の気候故に通気性に優れた設計。
屋根勾配に一定のルールがあり、里の外側が水上、内側が水下になっている。里の外観上の配慮なのか、雨水を内側に流したいのか。設計思想がとても気になる。
里の民家の屋根組。よく見ると大きい梁や柱は複数の木材を束ねて一部材として使っている。面白い。
これなら細い樹木も建材として有効活用できる。木は生物材料で個々のばらつきが大きいため、複数束ねて平均化を図る効果もありそう。
いつも見てないいつもの景色
パーラカの里で休憩
現地調査でパーラカの里に立寄る。良い香りに誘われて焚火で小休憩。香りの主はこの焼き魚か、なかなか大きい。近くの水辺で獲れるレッドドラムなる淡水魚が美味らしいが、果たしてそれだろうか。顔に出ていたのか、ご厚意で少し分けて頂くことに。焚火も人も温かい。
聖仙アガマの墳墓アガマが眠るとされる墳墓。巨大な石造りの人工物で、細部まで装飾が施されている形跡がある。入口は見当たらない。
アガマはアルカソーダラ族で、かつて自族とヒューラン族が争った時に、種族分け隔てなく救いの手を差し出した聖人らしい。
墳墓の頂部についてる装飾。石造に見える。サベネア文化が感じられる独特な造形をしている。神獣の顔を模したものだろうか。側面の曲線部は象の鼻をモチーフにしているようにも見える。
マーヤーの幻泉衆園の森の奥に佇む寺院跡。石造。底までかなり地中深い構造をしている。幻泉と呼ばれているが、もともとは泉ではなく、寺院廃墟に水が溜まったもののようだ。
マーヤーとは神通力のことで、ここはかつて魔術僧達の修行の場だったらしい。
寺院正面の石像。象頭に多腕、サベネアに広く伝わる神獣を模したものだろう。力強さが感じられる。
この規模の巨大石像は、おそらくパーツごとに彫刻したものを接着して形成しているのだと思う。像に黒縁で見える線がパーツの境界だろうか。
寺院構内。プールのように水が溜まっているが、元は露天の広場だったのだろう。側部には象を模した装飾が並び、その鼻は水面下の底までしっかりと伸びている。今ではすっかり苔生しているが、その苔もまたヒッポの餌などに有効活用されている。
プルシャ寺院衆園の森深くの寺院跡。石造で左右対称な構えをしている。元々の寺院がこの形なのか、荒廃の末これだけ残存したのか。
プルシャという名の響きはアルカソーダラ族の其れに近しいものを感じるが果たして。
寺院頂部の彫刻。これも顔を模した像だろうか。葉やペイズリーのような外形に、蛇のような生物が有機的に絡みついている。
象のモチーフがあまり強くない。サベネア島では珍しい偶像かもしれない。
2022/5/24~2022/7/9
2022/11/16~2022/11/26
Mine Chrysanthe